紙芝居で「東京大空襲」③

東京大空襲59周年によせて『春になったらいっぱいね』-あやちゃんのうたがきこえるー吉村勳二・ミヱ著作。



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あやちゃんは、三さいになった。
あやちゃんは、いつものように出かけた。(*12)
頭にはぼうくうずきんをかぶり、
かたにはぬのぶくろをかけてね。
原っぱに行ったけど、
冬なので・・・、
草はほんの少ししかなかった。

馬やのおばさん 「ありがとね、あやちゃん」
馬やのおばさんが、馬のクロに草をやった。
あっという間に食べてしまったクロは、
あやちゃんのぬのぶくろを、はなでおし上げた。
あやちゃんは、ふくろをふりながら、
あ や 「クロごめんね。春になったら、いっぱい ね」(*13)

〔注〕*12-<東京への空襲は1944年11月から本格化し、12月からはほぼ連日連夜になる>*13-この紙芝居の山場母親がおなかのすいた幼児をさとすように、「今度いっぱい食べさせてあげるからね」の意。


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三月九日の夕方、
あやちゃんときみちゃんとおかあさんが、
だがしやさんの前を、通りかかると、
ちょうど、おばちゃんが、表に出ていた。
あ や 「おばちゃん、おふろに いってきたの。おやすみなさい」(*14)
だがしやのおばさん 「おやすみ。あやちゃんも、きみちゃんも、かぜひかないようにね」

おばちゃんは、三人を見おくりながら、つぶやいた。
だがしやのおばさん 「あやちゃんは、ちゃんと話せるようになったし、きみちゃんも、しっかり歩けるようになったんだね!」
    -抜きながらー
そして、・・・・・・

〔注〕*14-<風呂屋も営業日、時間に制約があった>


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三月十日になったばかりのま夜中、(*15)
あのおそろしい、たくさんのアメリカの大きなひこうきが、
東と南の空から、東京の下町におしよせてきた。
この町にも、
ばくだんをいっぱい、いっぱい落とした。
あっちも、こっちも、ほのおにつつまれて、
にげるところがない。
町の人たちは、
すこしでも空が暗い方へと、にげようとしたが、
そのすぐ前が、火の海になっていく。(*16)

〔注〕*15-11~12の場面は炎に追われる緊迫感をもって。*16-<アメリカの大型爆撃機、B29・300余機による無差別爆撃は二時間余り、今の江東、墨田、台東区などを焼きつくし、約10万人もの命を奪った。



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クロのいる馬やにも火がついた。(*17)
おじさんは、馬やの入り口をあけ、
馬やのおじさん 「クロ、生きてろよ」
おしりをたたいて、にがした。
馬やのおじさん 「かあちゃん、川へにげろ、おれは、マサとあやちゃんちへ行ってみる、あとから行くからな、な」
と、いいのこし、走って横丁を曲がって行った。
しごとなかまの馬やのマサさんには、
四人の子どもがいたからね。

マサさんのうちは、もう、やけ落ちていた。

〔注〕*17<緊急時でも馬を放すと危険なので禁じられていたが、飼い主はあの炎の中やむにやまれず放してしまった>

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