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zoom RSS 「雲流るる果てに」−43−

<<   作成日時 : 2010/08/21 05:31   >>

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小久保節彌ー函館高等水産学校ー愛知県出身、昭和20年4月16日、南西諸島・喜界島南方にて戦死、26歳。搭乗機ー零戦。(「雲流れる果てに」225〜226頁)

 わが父母、わが故郷

 我が御両親様は慈愛深き御両親であった。今にして想へば不幸の数々慙愧にたへぬ。二十有余年の間斯くも立派に育てゝ下さった御両親、誠にありがたう御座居ました。
 私は日頃父上の言はれる大義に生きます。姉上に対して私は実に不遜な弟であった。無礼の段、平にお許し下さい。御両親へ孝養の程心よりお願ひします。
 弟に対してはもっともっと兄らしくしてやりたかった。然し、彼も今は立派な軍人たるの訓練を受けてゐる。俺の云ふ誠を忘れずに軍籍に励むやう祈る。弟の武運長久を祈る。
 妹よ、あくまで御両親に孝養をつくしてくれ。末女のお前をおいて御両親を看てくれと頼む者は他にない。純情で誠を以て世を渡れ、健康に注意されたし。

 
 祖母様
 
 長い間わがまゝを言ひ然も祖母様は何でもはいはいときいてくれました。どうか御健康に注意されて何時までもいつまでも御無事にお暮し下さい。
 
画像
 我が故郷の何と美しきことよ。四季とりどりの花は咲き、鳥は歌ひ、山あり、海あり、太平洋の雄大なあの土用波の光景が眼にうかぶ。
 椿は咲く、紅い花が咲く。その下で図画を書いたこともあったっけ。ゑのぐ筆をなめなめ拙い絵を書いた。
 或ひは夕野田に鮒釣に行った。稲を荒して叱られたこともあったっけ。
 海! そのもつひゞき、何と雄々しき事よ。幼児より海辺に育ち、真に偉大なる海に親しむことが出来た。ドンとうつ波の音は太古より未来永久につづくであらう。
 我が故郷よ、無尽の幸あれ。そして生れ来る国の子供をいつまでもいつまでも育んで呉れ。我がふるさと人よ、何時までもいつまでも純粋であって呉れ。
 (編者注・絶筆)

追記】「雲流るる果てに」を転載し始めて今回で43回目。小久保中尉のように戦死して逝った学徒兵たちの「遺し言葉」に共通した思いは故郷の山や川を偲び、残された家族への慈しみの心である。あの戦争に大義名分を見出せず死んで行く縁(よすが)をそこに求めた彼らが悲しい。

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