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zoom RSS 「雲流るる果てに」−44−

<<   作成日時 : 2010/08/26 13:16   >>

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高久健一 [たかひさ・けんいち] ー東北大学ー秋田県出身、神風特別攻撃隊梓隊、昭和20年3月11日、内南洋ウルシーにて戦死、22歳。 (「雲流るる果てに」227〜233頁)

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  土浦日記その他
 
 九月十日 (昭和18年)
 
 九日、駅前の感激を後に11時土浦着。
 練習生娯楽室にて父上と叔父上に面会、一時間を過ごした。門までお送りしてその後ろ姿に固き決意を誓った。夜、釣床をかけたらうまくゆかない。しかし一生懸命やる。八時半就寝。

 
 九月十四日
 
 今日は当直学生だ。俺がエゴイストでない限り、班の者に徹底的に命令を下すことが出来ねばならない。
 
 九月二十五日 (土)
 
 午前八時第一練兵場に集合。分隊長より科別申渡しあり。俺は勿論飛行。しかも二ヶ月基礎訓練三ヶ月目十二月には飛行だ。
 俺は今日決意の至難を知った。身振ひする。
 決意もまたやはり激しい過程の中に生まれるものであらう。俺は希望と懐疑に満ちてゐる。
 俺の心は河口も判るだらう。
 決意! 決意すること! 訓練への無! 決意!

 
 九月三十日 (木)
 
 父上より速達にて東北大入学に関する件あり。われ大学に未練なし。然れども休学になるとは夢想だにしなかった故、新たなる勇気が湧いて来た。母の加護に深い感謝を覚ゆる。
 
 十月一日
 
 九月三十日付を以て海軍予備学生を命ぜらる。俺は勉めて無言と実行を決意した。俺の出発は始る!
 国に殉じ得る。その自信は我々の日課に於ける細部の実践により生ずるものではなからうか。
 無言実行!
 附言す。実行とは従順なり。
 
 
 十月十一日
 
 午前中、分隊長の訓話あり。「私」「我」を失するを云々された。俺は聞いてゐる中にだんだん心の固まるのを禁じ得ない。断じて強く生きる。弱くなるな。何事にも己の身体を打ちつけよ。貴様は他に負かされるな。真直ぐに進め!
 
 十月十二日
 
 恵美子よりの元気な手紙に思はず微笑む。栗が出たさうな。今日は満月ではないだろう。
 土浦の月も美しい。栗名月には家では大賑ひであろう。夕飯のことを書いて来たが、想像に難くない。母上に便りする。

 
 十一月二日
 
 適正検査日。
 平均良とは言ひ難い。偵察かも知れない。
 最後の速調は我ながら良かった。
 操縦ならんことを希ふ。
 久し振りにて夕食が美味しい。
 汁粉を母に飲ませたい。
 明日は明治節の佳日、晴れるように。

 
 十一月四日 (木)
 
 札幌の子供達より千人針と寄書が来た。
 久し振りに教へ子の筆跡をみて感慨無量なるものあり。俺の教員生活は詩そのものであり、そしてそれは烈しかった。
 みんな元気であるやうに。風邪引くな。
 なつかしい絵巻である。
   (つづく)

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