
目の前にはいかなる黒雲が渦を巻いていようとも、全人類の上によりよき世界が年一年、早足で近づきつつあることには、寸毫(すんごう)の疑いもない。私は牢獄のうちに繋がれていながらも、この偉大なる社会の近づいてくる足音を刻々に聞くことができる。
私はもう60近い老人だが、しかし、もし幸いにも天が私に、私の祖母や父や母やの長寿を恵んでくれるならば、私は、私の最も愛するこの日本に、私の愛する娘たちや孫たちの住んでいるこの日本の社会に、私が涙をこぼして喜ぶであろうような変化が到来する日を、生きた眼でみることができるであろう。(自叙伝)
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