「平和の名言」 編者の言葉 早乙女勝元

「たとえ一言といえども、その数行に本人の全人格の重みというか、平和を希求する生き方のすべてが凝縮している例が少なくない・・・・・・」と、「平和のための名言集」(大和書房刊)の「編者の言葉」で早乙女勝元さんが言う。366件のすべてを本ブログに転載させていただいた。いずれも珠玉の言葉の数々である。

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     編者の言葉         早乙女勝元 
 
 本書の企画は、5年前にさかのぼる。
 平和の糧となるような名言・名句を、一日一言として1年366ページに収め、その言葉を発した人となりの解説ををつけて一冊に・・・・・・という提案に、私はすぐさま賛成した。
 たとえ一言といえども、その数行に本人の人格の重みというか、平和を希求する生き方のすべてが凝縮している例が少なくない。時には生命の危険を伴ったような一言もあるだろう。
 それは、混沌とした閉塞状態の今を生きる私たちに、時代と空間をこえた共感と、人間らしく生きる勇気を与えてくれるにちがいない、と思えたからである。



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    平和の尊さ語り伝えて
 
 当時の私は(現在もそうだが)は、民立民営の東京大空襲・戦災資料センター(江東区北砂)の館長役を仰せつかり、年ごとに増える修学旅行生徒たちに、大空襲による民間人の惨禍と、いのちと平和の尊さを語り伝えていた。おそらくただ一回きりの出会いだった。
 「死んだ人たちの分まで、私たちは生きなければ、いけないのです。過去は変えることができません。でも、未来を変えることはできます。それはこの資料センターで学んだことから、今の私たちがどう生きるかにかかっています」そんな高校生の感想文を読むと、平和の種が、いささかなりと彼ら心に届いたことがわかる。種はまかなければ、芽は出てこない。しっかりと根をおろし、そえぞれ個性ある発芽をと願えばこそ、平和の種まき事業にあけくれている日々である。


 人間にとってもっとも得意とするのは忘却で、不得意なのは想像力だといった人がいるが、道理に感動が加われば、想像力もより豊かになるのではないか。
 とりわけ十代の多感な思春期には、一冊の本、一本の映画でも、心の震える瞬間がある。それが、その人の「初心」を形成するにちがいない。
 私の場合はどうか。大学はおろか高校も出られず、戦後すぐ町工場の少年工からのスタートで、自分で自分を哀れに思えた青春だった。それでも、十万人もが死んだ「炎の夜」の生き残りとして、戦争の起きた原因と、大人たちがなぜ戦争を阻止できなかったかを知りたいと、読書に励んだ。それが少しも中断することなしに続いているのは、感動が私を豊かにしてくれたからだち思う。
 日記帳と感想帳の二冊のノートを手離すことなく、読みながら書き、書きながら考えたが、読んだ本のうち、深く心をゆさぶられる文章を、ノートに書きとめた。
 「世界がぜんたい幸福にんらないうちは個人の幸福はあり得ない」
 とは、宮沢賢治の言葉だったが、感想帳の1ページめの白い余白に書きこんだ。自分もこんなふうな気持ちの人間になりたいなあ、と思ったからである。
 青春期からの読書のおかげで、内外の多くの名言・至言が記憶に刻まれたが、そうした機会がなかったとしたら、どうなっていたか。私は私らしく生きてはこれなかっただろうし、文章書きにはならなかったかもしれない、と思う。本書の企画に、いちはやく賛同した所以である。


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 しかし、何人かのスタッフで、名言収集に着手したものの、編集作業は遅々として進まなかった。
 類書として、『一日一言』といった書物はあるが、平和のためのともんryと前例がなく、それに名言は人それぞれの感性によって異なるから、どうしても主観的にならざるを得ない。私自身も百枚以上の原稿を揃えたが、皆さんの合議におまかせして、結果を待っているうちに、昨年3月11日の東日本大震災となった。突然に襲ってきた天災は人災へと移行し、原発による未曾有の大事故は放射能汚染の広がりとなって、これからの人体や環境にどんな影響を及ぼすかは、今なお不明である。


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 私たちの暮らしを支えてきた平和が、いかに不安定なものだったかの、非常事態といえよう。この状況を踏まえて、すでに収集ずみの原稿を改めて再検討し、何度か大幅に差し変え、印刷寸前ぎりぎりまで手を加えて、ようやく最終稿となった。
 収集したコメントはきわめて多彩で、小学1年生の女の子から、来日したばかりのブータン国王まで登場する。スタッフ一同の努力も、本企画を受けてくれた大和書房の協力を得て、古今東西の先哲・文人・一般人たちの平和思想を幅広く網羅し、その熱い心が溢れる一冊となった。
 本書が戦争と平和を考えるきっかけとなり、また恒久の平和を実現しようとする人びとの力の一助になれば幸せである。
  
   2012年6月

【全編ー370】http://38300902.at.webry.info/theme/2d98fcd7a1.html

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この記事へのコメント

  • 才木広之

    生きててすることは、ひとつです

    幸せを思いやること
    2014年05月12日 00:56