土屋洸子さん 満州を想う ①

旧満州・公主嶺育ちの土屋洸子さん。あの8月は新京・敷島女学校の一年生。戦後の苦難の一年間をかの地で過ごし、引揚げたのが北海道・札幌市。北大の農学部を卒業、いわゆるリケ女ながら文筆をよくし、満州に関する書籍の書評を書き記している。

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     中国からの引揚げ 少年たちの記憶
 
 手元に『ボクの満州』(亜紀書房1995年7月)がある。敗戦の年に女学校1年生だった私は、旧満州(中国東北部)から6歳の妹と札幌へ引揚げたので、満州や引揚げに無関心ではいられない。赤塚不二夫、上田トシコなど12人の漫画家の手によるこの本は、45枚の絵が挿入されているがモノクロなので、原画がみたいと思っていた。

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 『ボクの満州』に続く 『少年たちの記憶』は、中国での少年時代を過ごした12人の漫画家が「少しでも当時の記憶を残したい」と強く願い、単なる画集ではない内容の本にあった。カバーの絵は黄金色の空に真紅の夕陽が燃え、1本の木もない赤い大地の地平線に汽車が走り、二人の子どもがそれを見ている。表紙は赤い布地に黒い線で太陽、汽車、地平線が描かれる。見返しの淡茶色は空を覆う黄砂の色で、これらは満州を思うときのまず目に浮かぶ光景と色彩である。本の前半は71組の絵と文章で一中国での生活、敗戦、引揚げなど、子どもの目に焼きついた当時の記憶が漫画で見事に記録される。

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 後半は豊富な資料で構成されている。おとな・子どもの記憶、引揚船や受入港、残留孤児・婦人のことなど、数々の参考資料も収載、外地引揚げの得難い記録の一冊である。漫画家のプロフィィルや引揚げ当時と現在の自分をキャラクターたちが囲んだ絵は楽しい。ちなみに当時12歳以下が残留孤児、12歳以上の女子が残留婦人、肉親探しは続く。(土屋洸子)

【注】『子どもの本棚』(日本子どもの本研究会編)2002年12月号 <資料あんない>から

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