「私の戦後70年」 東京新聞 -発言・特ー

東京新聞が毎月第4金曜日の「発言欄」に掲載している「私の戦後70年」。今月は特に8日にも載せることになりました。例月同様寄せられた投稿は6本、その中から横浜市の細嶋敬三さん(81)の思いを取り上げましょう。
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      歴史の歯車 逆転させるな
 
 「八紘一宇」「滅私奉公」「一億玉砕」などの四字熟語が今でらかも頭の中に散らばっている。すべては国家優先で軍閥が政治を牛耳り、大東亜共栄圏の旗印の下、国民は戦争のための消耗品にすぎなかった。
 長兄が20歳で収集された時、ビール瓶と空き缶を持参するように指示された。すでに軍隊には水筒も飯ごうもなかった。ルソン島から「・・・満天の星が降るように綺麗で、果物はたわわに実り・・・」と一度だけ極楽の地にいりょうな便りが来た。ハガキには検閲の印が六つも押してあった。
 やがて1945(昭和20)年春、白木の箱が届いた。中には階級と氏名、玉砕地を書いた紙切れが一枚入っていた。あれから70年、戦争を肌身で経験していない為政者たちは歴史の歯車を逆転させようとしている。
 いつの、もっともらしい理屈から始まり、やがて抜き差しならない状態に追い込まれ、国民全体が集団催眠状態に陥れられる。あれだけの犠牲を払った悲劇を再び繰り返す愚は絶対に避けなければならない。

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