戦後70年 「平和の俳句」 東京新聞 -23-

23週目に入った東京新聞一面に掲載されている「平和の俳句」。日に日にいやます平和への想いあふれる句の連続だ。恒例による冒頭の句の紹介は、開拓団で満州に渡った東京港区の田代チズ子さんが父親の壮絶な体験談を詠む。

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    水ぜめの刑に耐え父女性(ひと)守る
                  田代 チズ子(79)
 

 「肥後もっこす」で反戦を貫いた父は召集を避け、開拓団として家族で満州に渡った。敗戦でロシア兵が「女を出せ」とやって来たとき、父はあおむけにされ、両手両足を踏まれて、やかんで水ぜめに遭いながらも口を割らなかった。女たちは丸刈りに男装をして、干し草を保管する穴の中に隠れていた。ロシア兵は剣で干し草を突いて探したが、わずかな隙間で助かった。





立ち止まり犬と平和の風を嗅ぐ 前寺 滋子(77) 愛知県一宮市 2015・5.31

】<いとうせいこう>どちらかを向いて主人と犬が立つ。風はそよ風か。味わう風の香り。 <金子兜太。風のなかでいちばん甘いのは、立ち止まっては犬と嗅ぐ平和の風。

郵便に赤紙はなし春の宵 荒石由記美(46) 浜松市中区 2015・6・1

】<金子兜太>「赤紙」は戦争への召集令状。こんなもののない平和な春の宵。 <いとうせいこう>この当たり前の安心は戦時にもない。なぜそれを捨てる?

夜勤明け青葉芳しああ平和 木村 昌資(45) 名古屋市中村区 2015・6・2

】<金子兜太。会社勤めをしている人なら、誰でも実感している朝。しかし「平和」とまで受け取るかどうか。そこまでの深まりが平凡の非凡。

人の字は平和へ歩く姿なり 岩谷 隆司(73) 三重県亀山市 2015・6・3

】<金子兜太>たしかに「人」の字は、平和へ向かって歩いてゆく姿だ。開放された、ゆっくりと歩いてゆく姿だ。人より自身をもって平和へ。

蛇穴を出づ反戦の署名せり 松本 正光(64) 三重県桑名市 2015・6・4

】<いとうせいこう>のっそりと、しかし確かに再生した抗議の心。穴に戻る日を望む。 <金子兜太>反戦に署名した。冬眠から覚めた春光のなかの蛇のような気持ち。

九条は平和の大樹ヒトツバタコ 桜井 司(72) 東京都北区 2015・6・5

】<金子兜太>ヒトツバタゴは別名ナンジャモンジャ。明治神宮の名のわからない一本の大木を、いつの間にかそう呼んだとの由。まことに平和なことです。

おみやーさんらいくさはあかんぜたねをまく 丹羽 俊昭(81) 愛知県犬山市 2015・6・6

】<いとうせいこう>このタンカ。この正論。そして何がいいといって、最後の五文字だ。農とは種を生かすことなのだから、いくさは命を一気に奪うから。

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