「戦争と女性」 怖かった満州の出来事

東京新聞の発言欄に掲載されている「私の戦後70年」のテーマ投稿「戦争と女性」の中から満州関連のものを一遍転載いたします。東京小金井市の若林高子さん(79)が「怖かった満州の出来事」を書いています。(同紙8月10日付)

画像
 敗戦時、私は旧満州(現・中国東北部)長春市に住み、小学校4年生だった。ソ連兵は8月20日には長春に進駐し、連日、民家に軍靴のまま入り込み、時計や着物など、あらゆる物を強奪し持ち去った。私は目の前にピストルを突きつけられた恐怖を、今でも強烈に思いだす。
 生き延びてかろうじて内地に引き揚げても、夫が戦死、あるいはシベリア抑留などで行方不明の場合、女でひとつで家族を養うのは大変だった。
 伴侶を失った男性は戦後、再婚したケースが多いが、女性の場合は古い道徳に縛られて独身で過ごした人が多いように思う。私の知り合いの女性(当時20代)は、目の前で夫がシベリアへ連行され、消息不明になった。ひたすら帰りを待ち、60余年の生涯を終えた。
 戦後70年、満州は幻の国とされ、そこで暮らした155満員の人びとは、敗戦と同時に見捨てられた。特に女性の場合、母体に及ぼした影響は、はかり知れないものがあると思うが、その実態は明らかにされないままだ。

この記事へのコメント