満洲・公主嶺小同窓会誌 第8章 エピソード -46-

学校からの帰り道だったのだろうか。夏草の蒸れるような繁みを通り抜けて、線路ぎわに辿りつく。特急アジア号が、あっというまに近づき、轟音を残して飛ぶが如くに去る。(記念誌361頁上段)

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   鉄路と手製のナイフ
       深堀澄夫(34回生)

 
 10歳を過ぎた少年達は危険も忘れて、しばし茫然となる。立ち入り禁止だったかも知れぬが、悪童たちにさそわれて、ピカピカな線路の上に、拾ってきた釘を並べて置く。間近に見る鉄路は異様に太く、生き物のように伸びて、伸びて、気の遠くなるような地平に消えて行く。
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 やがてコツ、コツンと響きが頬に伝わってくる。土手に身を伏せて汽車の通り過ぎるのを待つ。刃物のように平たくなって散った釘を探し出すのは、日差しをうけて、キラッと輝く反射が頼りである。
 すぐ近くの官舎に、名倉さんという姓の、いかにも育ちの良い美しい女の子がいた。一、二年下だったが、学校への往来に出会ったときなど、どうしてよいのかわからぬほど、動悸が止まらなかった。いつか手製のナイフを贈りたい、と家人には内緒で引き出しの中に隠しておいた。「僕が作ったんだ。あげる」と。このところ見かけないので尋ねてみると、帰国したという。僕の公主嶺は、今もほろ苦い。

】あの頃満鉄が誇った世界でも有数な特急列車、あじあ号。線路に物を置き飛び散るのを固唾をのんで見たことがある。我々37回生もやった。いまの日本なら家裁送りどころか立派な刑法犯。それをいとも簡単に実行したのだから驚きだ。

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