
忠実な野良犬のペス
安部鹿次郎(25回生)
そのころ、いつのまにか、野良犬のペスが私の家に居候するようになった。ペスは艶の良い黒毛で、耳が長く垂れたセッター種だった。ペスは毎朝、私を駅まで送り、帰って来るころに駅のホ-ムで私を待っていた。
私が5年生のとき、父がドイツ製の空気銃を買ってくれた。郭家店にはパプチャプ公園があり、アンズ、ナシ、スモモの果樹や、その他の木が茂っていた。
そして、雀などの小鳥が群れていた。とくに夕方は撃ち易く、一寸間に20羽はとれた。ペスはそれを得意そうにくわえてくるのだった。

私達を駅まで送って来ていたペスが、いつごろからか、一緒に汽車に乗り込むようになった。駅員も車掌も、それをとがめなかった。公主嶺で降りて、駅の付近で時間をつぶし、私が帰る時刻には、再びホームに現れて、一緒に汽車に乗って帰った。
【注】右地図は当時の満鉄「連京線(大連ー新京)」の路線を表したもの。中央に公主嶺、左に三つ目が郭家店。ほぼ1時間ほどの距離。公主嶺小学校には、お隣の「大楡樹」と合わせて、汽車通学していた児童がかなりいたように記憶している。
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