戦後72年 「平和の俳句」 ー19-

 5月第2週の「平和の俳句」。東京新聞は、二カ月に1回、惜しくも選に漏れた作品の中から事務局の記者が選んだ俳句を紹介しています。今回は瀬口晴義社会部長の選んだものを3句取り上げてみました。(同紙4・18付)

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    逝った春被爆二世の友偲ぶ
        川本一雄(61) 横浜市瀬谷区
 
 昭和48年、高校生の時、同級生を白血病で失った。桜が散る季節に弔辞を読んだ。母親が長崎で被爆し、自分のせいで息子が亡くなったと自らを責めた。卒業後の同窓会で教師からそう聞いた。以来、春を許せないという気持ちがある。友の名は立花慶造という。

    マニラ沖百四十海里兄ねむる           
       最上智恵子(78) 東京都日野市
     
    大津波襲いし土手につくしんぼ           
       新倉泰雄(65) 神奈川県横須賀市



空襲のなき大空に家族鯉 駒田博之(81) 津市 2017・5・7

】<いとうせいこう>鯉のぼりと言わず。「家族鯉」と言ったおころに妙味。ゆえに空襲なき空で風に吹かれてほしくなる。親鯉も子鯉も曽祖父母もみな。

鍼治療受けつつ平和談義かな 斎藤佳彦(74) 浜松市北区 2017・5・9

】<いとうせいこう>打つほうも打たれるほうも平和を語っている。理想を語り、日常を語っている。体の不調を語り、あるべき社会を語る。貴重な時間。

忘れない三月十日われ卆寿 坂田愛子(90) 金沢市 2017・5・10

】<金子兜太>坂田さんは90歳。大戦末期の3月10日の東京大空襲を忘れることはない。防火用水に布団を浸しては逃げまどっていたあの夜を。

法守り餓死を選んだ判事居る 池野武行(72) 愛知県一宮市 2017・5・11

】<金子兜太>33歳の山口判事を作者とともに忘れることはない。敗戦直後の国中の飢餓状態のなかで食糧管理法に殉じた青年判事を記憶せよ。

平和とは衣食住なり山笑う 山崎義盛(85) 福井市 2017・5・12

】<いとうせいこう> 着ること、食べること、住むこと。日常が安穏であってこそ山も笑う。 <金子兜太>春が来て一斉に芽吹く。空は美しい。家中が笑う。平和だからだ。

平和県平和市平和町に住みたい 丹羽俊昭(83) 愛知県犬山市 2017・5・13

】<いとうせいこう>本当に私もそう思う。こんな場所で暮らしていきたい。平和国平和県が理想なのだが、果たして国はどうなのか怪しい今だからこそ。

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