老いる集落「5年後見えぬ」 国政遠い存在

 2017年10月22日の衆院選。東京新聞は朝・夕刊とも「10・22ルポ・衆院選」と題して特別枠記事を組み、今回の選挙の問題点を日本の将来を見すえてシリーズで読者に提供している。これは過疎化問題。片山夏子記者が問題点を提起、まとめた。

画像
    20歳未満は小学生1人 
         千葉県館山市 神戸地区松岡

 
 JR内房線館山駅から車で山道を走って20分余り。千葉県館山市神戸(かんべ)地区の松岡地区に入る。水稲、キャベツ、落花生・・・。雨にけぶる田畑が広がる。
 金比羅さんが祭られた山にある集会場に、豊作を祝う「日待ち」の神事のため男集が集まっていた。「もともとは日の出を待ちながら豊作を祝う。今は昼食だけだが、昔は二日間やった。大きな釜でコメを炊き、ごちそうを作った」と最年長の福原勇さん(86)が懐かしむ。松岡集落はコメや麦の産地だった。

画像
 戦後は集落に130人ぐらいいて、子どももたくさんいたという。今は68人中、20歳未満は男子小学生が一人だけ、65歳以上が84%を占める。
 松岡を含めて16の集落がある神戸地区の人口は2950人。30年前から1割減った。館山市はNPOと連携して市内への移住をPRしており、神戸地区も老後を田舎で暮らしたいと考える移住者が増えた。神戸地区の区長会長黒川憲治さん(73)は「移住してきた人が地区の人口の一割を超える。新しい人がいるので人口減はさほどでもないが、少子高齢化と過疎化は止められない」と話す。
 衆院選が公示されても松岡では候補者の姿はほとんど見掛けない。「市や県は身近だけど、国政はぴんとこない」と話すのは福原和夫さん(64)。自民党の候補者の選挙カーが夜、名前を連呼しながら一度通りすぎただけで、「超特急で行ってしまった」。

画像
 松岡では大半の人が若い時は会社勤めなどをし、定年後に田畑を継ぐ。田畑を潤す水を堰(せき)やポンプで管理する水当番も今は7軒で回す。「みんな高齢。いつまで維持管理できるか。5年後は見えない」と武田一郎さん(71)は心配する。早川萬専さん(72)も「若い世代は出て行って他で働いている。ある程度の年齢になって集落に帰ってきても遠い」と言う。
 過疎化の原因を聞くと、萬専さんは「農業の衰退が一番大きい。自信を持ってうまい米を作っても採算が取れない」とつぶやいた。近くに働く所がなく、若い世代は出て行った。子どもの数が減り、今春、神戸小学校が廃校になり、同じ神戸地区内の小中一貫校に統合された。唯一の小学生は三㌔先の学校にスクールバスで通う。

 「日待ち」の席では、どこに投票するか激論になった。「この地域は自民党と共にやってきた。金や力がないと政治は何も動かない」と武田さん。早川」郁夫さん(63)は「それは分かる。でも加計や森友問題を無視していいのか。自民党のここは支持する、ここは違うと思っても一票しかない。難しい」と迷う。
 萬専さんは集落の将来を憂う。「村がなくなくなるんじゃないか。その心配は明日のこと。日本中で過疎化が進んでいる。地方からも声を上げなくては。政治は地方にも目を向けてほしい。でも目を向けてくれた時にはもう遅いかもしれない」(片山夏子)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント