戦後72年 「平和の俳句」 -44-

 一昨年から始まった「平和の俳句」も年内限りとなりました。11月の最初の週。いつものように選考から惜しくも漏れた作品の中から事務局の記者が選んだ1句を紹介します。選者は増田恵美子文化部長。(東京新聞10月29日付)

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   母語るへの字の悲劇八高線    
    島田秀男(66) 東京都東久留米市
 

 終戦直後の1945年8月24日、現在の東京都昭島市で、復員軍人や買い出しの人々で満員の八高線の列車が正面衝突した。死者は少なくとも105人。現場近くに住んでいた母トミ子さん(94)は「への字」形に変わり果てた列車の惨状を見た。「せっかく戦争は終わったのに。かわいそうだった」。そう繰り返し語る言葉を、息子は受け継ぐ。

   落とされてその名も知らず原爆忌
     伊豆田敏枝(105) 広島県福山市





激戦地銀漢見上ぐ人ありや 横井真人(74) 愛知県津島市 2017・10・29

】<いとうせいこう>どんな激戦地でも、いやそれだからこそ天の川を見上げる者はあるであろう。戦いの虚しさ、故郷の子供たち、そして平和を思って。

平和です郵便受けに朝刊が 笠井節男 愛知県岡崎市 2017・10・30

】<黒田杏子>ありがたいですよね。この暮らし、ずーっと続いてほしいです。あたり前と思いこんでいる毎日がほんとうに大切なんですね。

太陽は昇るのになぜ争うか 村井 菫(16) 愛知県長久手市 2017・10・31

】<黒田杏子>16歳の菫さんのギモン。このギモンに答えられないもどかしさ。 <いとうせいこう>せっかく朝が来るのに、せっかく陽光が差すのに、なぜ時代を暗くする?

語り継ぐ人逝(ゆ)き広し盆の家 岡本淳子(76) 金沢市 2017・11・1

】<いとうせいこう>しかし語り継ぎたい父は戦地ボルネオ島のことを語らず、今はもう亡いという。 <黒田杏子>人逝き広し盆の家。お気持ちが伝わってきます。

鳥威(おど)し言葉の壁を越えられず 村口宣史(46) 三重県紀北町 2017・11・2

】<いとうせいこう>田畑に大きな音をたてる鳥威し。もしも言葉で話しかけることができれば、あんなに脅威を押し付けることもなかろうに。平和の黙考。

少年兵九条守り秋米寿 板倉喜久男(87) 愛知県日進市 017・11・3

】<黒田杏子>14歳で海軍特年兵。九条に守られて米寿の日を。 <いとうせいこう>87最の作者は海軍を経て警察官に。長い戦後を平和憲法に守られて。

虫の音に囲まれて寝る国が好き 松本光弘(74) 埼玉県上尾市 2017・11・4

】<黒田杏子>欧米の人々にとっては虫の声、虫しぐれは雑音にすぎないそうです。虫の声を聴き分けて、その音色をたのしむ私たちは幸せです。

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