詩集 ロ号33番 永井和子 -8-

 詩人 永井和子(1934~2015)年、彼女の処女詩集。身辺に起きた細々とした出来事を詩にうたいあげてつづった。全55篇からなる長編だが、順次手元に届けたい。

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■夜のベッドで

 わずかな残り布を裁ち合わせ つづくり合わせて
 小さな娘の小さなブラウスが
 一枚できた
 子供たちが寝入ってからの
 ほんのわずかの時間に
 音をしのんでかけたミシン
 ただそれだけの仕事に
 なにかみちたりた思いで眠るわたしを
 かなしいと思う

 ・・・・・・・・・よ
 おまえはただ 母 それだけであってよいのか
 美しい母 優しい母と
 呼ばれることにためらいを感じるわたしは
 いかに生きるかを苦悩する
 一人の女でもあるのだ

 子供たちよ
 いつかはこの母を理解してくれるだろうか 
 一人の女として 一人の人間として
 おまえたちの眠りを妨げまいと
 灯りもないベッドの中で
 指先のなれだけをたよりに
 たどたどしい詩を書きつづけるわたしを
                  
                63・9・10

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