
土俵上であいさつをしていた多々見市長が突然倒れたのは、中入り前の午後2時すぎ。スタッフらとともに、観客と思われる女性たち数人も駆け寄り、心臓マッサージなどをほどこした。必死の救命措置が行われている最中に、繰り返されたのが「女性の方は土俵を下りてください」の場内放送だ。
八角信芳理事長(元横綱北勝海)はこの日、「行司が動転して呼び掛けたものだが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした」と謝罪し、救命に駆けつけた女性らに謝意を述べた。舞鶴市によると、市長はくも膜下出血で手術をし、約一カ月の入院が必要だが、命には別状ないという。
批判を受けて、協会の広報担当者も「命に関わることは今後、女性にも上がっていただく」と述べた。救急隊員や消防隊員が女性の場合も「上がってもらう」という。ただし、救命以外は検討する予定はないとする。「女人禁制」に対する同協会の姿勢はかたくなだ。

「伝統見直す機会に」 太田元大阪府知事
(中略)今回の騒動は「女人禁制」の理不尽さを浮き彫りにした。現在は参議院議員の大田房江氏は「大阪府知事だった八年間、土俵に入るのを求めてきたが1㍉も動かず伝統の重みを感じてきた。今回は人命に関わることだったのもあるが、協会が迅速に反応したことは大きな変革。大きな風穴があいた。救命をした女性の方々を誇りに思う」とする。
女性の社会参加が遅々として進まず、衆院議員に女性が一割しかいない現状を憂えながら、大田氏は議論の盛り上がりに期待する。「日本を訪れる外国人の4千万人時代が近いが、物を買うより日本文化を楽しむ人が増えた。そのことも後押しにして伝統やしきたりをもう一度考える機会ななれば。社会全体で変わっていく契機になってほしい」(東京新聞・4月6日付「ニュースの追跡)
【写真】動画投稿サイト「ユーチューブ」に4日投稿された、京都府舞鶴市の大相撲春巡業で多々見良三市長が倒れた際、土俵に上がる女性(手前)の映像
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