書評 『日中戦争全史』 笠原十九司著

 著者には南京大逆殺をはじめとして日中戦争に係わる多くのものに接してきた。今回の「全史」は、それらの研究成果も取り入れて、集大成ともいうべきものだと思う。日中友好新聞(2月5日付)で著者自身が自著について紹介している。(友好新聞・4月15日付)
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 日中友好協会は、日本軍の中国での加害について体験者の話しを聞き、ビデオ制作、また、体験を聞く会や戦争展などで、その実態を多くの国民に知らせる活動に取り組んできた。本書では、そうした加害がどのような全体の流れの中で行われたのかを知ることができる。
 特に下巻は、従来あまり紹介されてこなかった全面戦争以降の事柄を扱っており、浙贛(せっかん)作戦や大陸打通作戦などは新鮮であった。
 大著であるが、冒頭に「はじめに」として全体の流れが30㌻近くにわたって紹介され、大筋が分かる。
 上巻では1915年の21カ条要求から、満州事変を前夜として叙述し1937年の南京大虐殺までを扱う。下巻では、その後の日中全面戦争からアジア太平洋戦争敗戦までを扱う。欲をいえば、今年が明治150年ということでキャンペーンが張られているが、明治からの中国とのかかわりにも触れてほしかった。本書で何を語りたかったかは、著者自身が日中友好新聞で語っているので、参照していただきたい。
 本書を読んで、当時が、現在の安倍政権の戦争への道といかに似通っているかを思う。中国への加害行為を反省し、日中不再戦・平和運動を進めていくうえで、ぜひ読んでもらいたい書である。(高文研・上下とも2300円)(丸山至=協会本部顧問)

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