「日本の山々が浮かび上がってくる」

 1945(昭和20)年9月2日、引き揚げ船・「興安丸」で朝鮮の釜山から山口県の仙崎港にたどり着いた永井家の親子3人。
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 朝もやのなか日本の山々が浮かび上がってくる風景に目を見張る。「あれが日本よ! 山があるでしょ、緑でいっぱい、満州では見られなかったものね」とのおふくろの声が忘れられない。
 そして上陸の際、船のタラップを降りた所で地元の婦人会の人たちだろうか、「大日本愛国婦人会」の襷(たすき)がけで勢ぞろい。

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 「お帰りなさい」「坊や!大変だったね、これ食べて」。差し出されたのが、子どもの頭ほどの大きいおにぎりが一つ。
 姉と二人でかぶりつくように頬(ほほ)張った。おふくろは目を細めて、お茶を口にふくみながら子どもたちを見つめるだけだった。満州で生まれ育った男の子。これが日本の地を踏んだ第一歩だった。あれから73年。存命だったら今年母は124歳。だが彼女はまだ生きている。

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