
それがまた、昨年来の理不尽なアメリカのイラク攻撃の惨状を見るにつけ、聞くにつけ、あの茫漠たる砂漠の地で傷つき殺されていく子どもたちに思いが馳せられていったのでしょう。ペンをとり、詞を寄せてくれました。アブダル君の姿が目にやきついたのです。(2004年8月)
あの子がわたしを見つめている。
2004年4月9日の夜、イラク・ファルージャで米軍のミサイルの破片で顔面を負傷したアブダル君。運ばれた米軍の病院では眼球の摘出しかしてくれませんでした。今でも「自宅に帰るのが怖い」という。フオトジャーナリストの森住 卓(もりずみ・たかし)さんの主権移譲後のイラク緊急リポートの写真の少年が語ります。(吉村ミヱ)
あ の 子
新聞の中から あの子が見ている
ねえ、ぼくのこと知ってる
ねえ、ぼくのとうさんのことは
ねえ、ぼくのかあさんのことは
ねえ、ぼくのねえさんのことは
新聞のあの子が話かけてくる
ぼく、学校へ行きたいよ
とうさんとサッカーやりたかったよ
かあさんのパンが食べたいよ
ねえさんのうたが聞きたいよ
あの子の片方の目は光を失い
あの子の家は破かいされた
あの子の家族は空へと消えていった
イラクの空に硝煙たちこめ
ファr-ジャの街はガレキのまま
新聞の中から
あの子がわたしを見つめている
2004・7・24 吉村ミヱ
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