
「昔から日本人は山川草木すべてが神様だという多神論でした。佛教にも同じ思想があり、神と仏を合体させた宗教を民衆は信仰してきた。神仏習合、それが日本の思想の中心でした。だが、明治になり国家神道という一神教になったのです。
国家主義は古来の思想を無視して、国家神道という新しい宗教を国民に強制した。さしずめ教育勅語はその道具であった。この一神教こそ戦争へと日本人を駆り立て、日本を狂わせた張本人なのだという説明だった。
「日本の伝統では、恨みを持って死んだ人を怨霊神として祀(まつ)りました。祟(たた)りを怖れたからです。だから、本来は中国などアジアの犠牲者を祀らなければいけない。国歌のために死んだ軍人や人々だけを祀る靖国神社は、古来の伝統に反しています」
そう語ってもいた。何よりも哲学者・カントが説いた永久平和論に近いと喜んだ。カントは防衛する軍隊は認めたが、侵略する軍隊には反対した。
「平和憲法は生かさなければいけない。人類が求めている『超現代』という理想ですよ」との言葉は今も耳に残る。
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