「あじさいになった男」『赤旗・潮流』

梅雨空に、しっとりと映えるアジサイ。七変化といわれる色合いのなかでも濃淡の青が染み入ります。まどう心をおちつかせ、なごませるように▼日本原産といわれるアジサイは中国や西洋で改良され、逆輸入されました。漢詩からあてられた紫陽花は別の花だそうで、万葉集には安治佐為、味狭藍と書かれています。語源をたどると、集真藍(あずさあい)が転じたという説が有力とされています▼いまではこの時期になると各地の名所で催しが開かれますが、今年は中止つづき。時節柄、こんもりと茂る花々を静かにながめながら世の中や人生をはかなむ人もいるのでは▼全国で緊急事態宣言が解かれてから1カ月が過ぎました。東京ではコロナ感染者が解除後、最も多い日も。第2波への警戒や不安が募ります。世界に目を転じれば、感染拡大は減速どころか加速している状況です。人類に降りかかった災いは人間社会のあり方価値観を問い直しています▼変幻の花であり、鎮魂の花である。アジサイ研究の先駆者だった山本武臣さんは、この花から漂う独特の美に魅せられました。なんとなくわびしげで、目立たず地味。しかし、人の心をひきつけ、生の喜びを感じさせる力があると▼コロナ禍の時代。人の世に不変のものなど。果たしてあるのであろうかと自問していた山本さん。自身を描いた小説『アジサイになった男』のなかで感謝の思いを込めて、辞世の句を詠んでいます。(味狭藍の然(さ)るほどもなき一花に/この世の窮み身果つるかも)(2020・6・26)
今日の出来事】1945年国連憲章調印 1968年小笠原諸島祖国復帰
追記】1892年パール・バック、この日アメリカに生まれる。「貧乏人があまりに貧乏になりすぎ、金持ちがあまり金持ちになりすぎると、貧乏人はどうすればいいかを知っている。(大地)

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