「神田川」と横丁の風呂屋 『赤旗・潮流』

コロナ禍で臨時休業していた文学館や美術館、博物館が開き始めています。木々の緑が輝く梅雨の晴れ間、東京・小金井公園内にある江戸東京たてもの園で開催中の「ぬくもりと希望の空間 大銭湯展」に出かけました▼上京して下宿暮らしをした大学時代、銭湯通いは生活の一部でした。当時入浴料は200円前後。「横丁の風呂屋」の思い出を歌った「神田川」が大ヒットしたのはずっと前でしたが、モデルになった銭湯だといわれていました▼銭湯の起源は6世紀の仏教伝来で、僧侶が身を清めたり病を治療するための寺院の温浴室が布教の一環として一般にも開放され広まったとか。江戸時代には交流と憩いの場ともなり、明治維新後、富国強兵策の下で国民の健康増進に入浴が奨励され、人口が集中する東京で銭湯は急増しました▼同園では東京・足立区で1929年から88年まで営業していた「子宝湯」の建物も保存・公開しています。神社仏閣のような壮大な構え。店先の欄間には七福神の彫刻、脱衣所と浴室は天井が高く爽快です。縁起物やおとぎ話を描いたタイル絵に、正面の壁には富士山と大海原のペンキ絵▼現在、東京の銭湯は最盛期の約2割、500軒ほどが営業しているといいます。緊急事態宣言下でも社会生活維持と公衆衛生の観点から休業要請は受けませんでした▼銭湯の歴史の一端に触れて、日本の文化や地域社会のあり方を考えたひととき。温故知新の豊かさは文化施設の空間があればこそ、との思いを強くしました。(2020・6・30) 【今日の出来事】1944年学童疎開開始を閣議決定 1945年秋田、花岡…

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広がる人種差別反対の運動 『赤旗・潮流』

アメリカでの警官による黒人殺害を機に世界で人種差別反対の運動が広がっています。イギリスでは、オックスフォード大学の建物正面の外壁にあるセシル・ローズの像の撤去が決まりました▼大学にはアフリカ出身者や黒人学生も多く、数年前から「ローズは倒れなければならない」運動が起こりました。撤去のオンライン署名には15万人以上が賛同。当局は、討議と熟考を経て、英国と世界に与える影響を十分意識して決定したといいます▼セシル・ローズといえば、アフリカ大陸を南北に大きくまたぐ巨人の挿絵を覚えている人もいるのでは。現行の中学社会科教科書にも登場し、列強が植民地の資源や市場を求めて侵略を進めた象徴として扱われています▼太平洋戦争の始まった年に出版された本に『セシル・ローズと南アフリカ』(鈴木正四著)があります。ダイヤモンド、金の独占企業で大金持ちとなり、その力で本国面積の数倍の支配者となった。「南アフリカのナポレオン」。日本への批判もこめられていました▼ローズいわく、「私たちが第一等の人種、私たちの住む世界が広がれば広がるほど人類は幸福である」。アングロサクソン民族優越の植民地主義者で、夜空に惑星を見れば「併合したいと考えた」とも▼青年ローズが初上陸したのが、南アのダーバン。2001年に同地で開かれた世界会議は「ダーバン宣言」を採択しました。植民地主義は「いつであれ、どこであれ非難されねばならない」と。像の撤去決定は、その一つです。(2020・6・29) 【今日の出来事】1907年足尾鉱毒事件の影響で谷中ムラ強制廃村 1…

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コロナ禍と学校生活 『赤旗・潮流』

安倍首相の一声による一律休校。子どもの意見などまったく聞くことなく突然始まり、長期間に及びました。当事者はどう思っているのでしょうか。民主教育研究所がホームページで、北海道の高校生へのアンケート結果を公表しています▼「コロナ休校について考えたことは?」との問いにたいし、目立つのは「これからの授業、学校生活がどうなってしまうのか」という声。授業や学校祭などの学校行事、部活がどうなるのか。「この先無理やり授業を詰め込まれるのではないか」という危惧もあります▼「ちゃんと進学できるか不安」など進学や就職への心配も深刻です。「コロナ世代」などと差別されるのではないかと考える高校生もいます。「コロナはいつ収まるのか」「第2波、第3波がきたとき危険」と今後への不安も大きい▼学校が再開され「友達に会えるからうれしい」。でも分散登校から40人学級に戻り、「いきなり40人になって大丈夫なのかな」「ソーシアルディスタンス(社会的距離)を守ってとかいわれるけど席が近い時点で無理だと思う」。もっともな意見です▼同研究所事務局長の鈴木敏則さんは「これからの学校をどうするか、一番の当事者であり学習権を持つ子ども、高校生の思いや願いを聞き、それにどうこたえるか彼らと一緒に考えていきたい」といいます。▼新型コロナは学校の在り方についても見直しを迫っています。教育にとって本当に大切なことは何か、子どもたちとともに議論を深めたいものです。(2020・6・28) 【今日の出来事】1712年ルソー生誕 1919年ヴェルサイユ条約締結、第…

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「法も民主主義もそっちのけ」『赤旗・潮流』

数は力・金こそ力。金権政治の代名詞といわれた田中角栄・元首相。とくに1974年の参院選はヘリコプターで全国を回り、巨額をばらまいて集票。買収などで多くの逮捕者を出し、金権政治と批判されました▼政治と事業と目し、派閥をつくり、選挙やポストを使って権力の中心に居座りつづける。相手との「信頼関係」はカネによって築く。自民党のなかに歴然と横たわる金権体質です▼「安倍さんから」「二人の約束」。前法相の河合克行、妻案里の両国会議員による買収容疑で、現金のうけとりを認める地元議員が相次いでいます。首長も辞職し、広島の政界は混乱を極めています▼自民党本部が投入した異例の1億5千万円。しかも本紙が報じたように、安倍首相と克行氏は昨年なんども面会。その前後に自民党から多額の資金提供がくり返されていました。もともと両者はべったりの間柄。首相の際立つ肩入れがこれだけの買収事件を招いた責任は重い▼2人だけの秘密と胸元にねじ込まれたという広島市議は家族や支援者に話がおよぶと涙ながらに謝罪。「きれいごとが通じるような政治になれば」と。モリ・カケや桜をはじめ、周りを次々と不幸に突き落とす。”アベ案件”がどれほど罪深いか▼「(河合夫妻のようなことは)みんあやっている」。安倍チルドレンと呼ばれた元衆院議員の発言は、いまもつづくこの党の金券腐敗ぶりをあらわに。それとともに表れているのが、法も民主主義もそっちのけの安倍政治のゆがんだ姿です。(2020・6・27) 【今日の出来事】1968年チェコで「二千語宣言」発表 【注】1880年…

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「あじさいになった男」『赤旗・潮流』

梅雨空に、しっとりと映えるアジサイ。七変化といわれる色合いのなかでも濃淡の青が染み入ります。まどう心をおちつかせ、なごませるように▼日本原産といわれるアジサイは中国や西洋で改良され、逆輸入されました。漢詩からあてられた紫陽花は別の花だそうで、万葉集には安治佐為、味狭藍と書かれています。語源をたどると、集真藍(あずさあい)が転じたという説が有力とされています▼いまではこの時期になると各地の名所で催しが開かれますが、今年は中止つづき。時節柄、こんもりと茂る花々を静かにながめながら世の中や人生をはかなむ人もいるのでは▼全国で緊急事態宣言が解かれてから1カ月が過ぎました。東京ではコロナ感染者が解除後、最も多い日も。第2波への警戒や不安が募ります。世界に目を転じれば、感染拡大は減速どころか加速している状況です。人類に降りかかった災いは人間社会のあり方価値観を問い直しています▼変幻の花であり、鎮魂の花である。アジサイ研究の先駆者だった山本武臣さんは、この花から漂う独特の美に魅せられました。なんとなくわびしげで、目立たず地味。しかし、人の心をひきつけ、生の喜びを感じさせる力があると▼コロナ禍の時代。人の世に不変のものなど。果たしてあるのであろうかと自問していた山本さん。自身を描いた小説『アジサイになった男』のなかで感謝の思いを込めて、辞世の句を詠んでいます。(味狭藍の然(さ)るほどもなき一花に/この世の窮み身果つるかも)(2020・6・26) 【今日の出来事】1945年国連憲章調印 1968年小笠原諸島祖国復…

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東北電力女川原発は安全か? 『赤旗・潮流』

政府の原子力防災会議が今週、宮城県にある東北電力女川(おながわ)原発の重大事故を想定した避難計画を了承しました。その場で安倍首相は「被ばく防護措置と感染防止対策の両立も図っています」と発言しています▼感染症対策との「両立」? 避難計画をめぐっては、課題が山積し実効性が問題になっているのに、可能なのか。原発の避難は事故時の放射線から迅速に被ばくを避けるためで、政府が了承した計画は原発から半径30㌔圏内に暮らす19万9千人が対象です▼感染症が流行しているなかでは、「感染者」と「それ以外の者」は別々の車両で避難するとあります。また、バスなどで避難する際は密集を避け、極力分散するとか、自宅などで屋内避難する場合は換気しない・・・▼密集を避けるというものの、1台当たりの乗車人数を想定したバスの必用台数はどうなるのか、避難の受け入れ施設は足りるのか。方針だけで具体化は自治体任せです▼宮城県の試算によると、30㌔圏内の住民が一斉に避難した場合、車両の渋滞に巻き込まれるため、5㌔圏内の1100人の住民のほとんどが避難先に到着するまで5日以上かかるといいます。試算には水や食糧の補給などが含まれておらず、さらに長期化すると指摘されていますこれに感染症対策が必用となれば、さらに時間がかかるのでは▼長時間の避難自体、いのちや健康にかかわることは福島原発事故でさまざま報告されています。住民にとって一番の安全は、机上の空論より再稼働の”自粛”です。(2020・6・25) 【今日の出来事】1950年朝鮮戦争勃発 1958年I…

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「人柄が信頼できないから」 『赤旗・潮流』

支持しないと答えた人は49%で、第2次安倍内閣発足以降、最も高くなったー。直近の世論調査をNHKが伝えました。安倍首相の自民党総裁4選に「反対」が69%。こちらは朝日新聞です▼もっともだ、自分の考えとは違う・・・。報じられた結果に持論を重ねながら、世の動きや見方に思いをめぐらす。人びとの声を反映させる世論調査は民意の指標、社会のミニチュアともいわれます▼「民主主義日本への基底は輿論(よろん)の尊重にあり」(「毎日」)。戦後早くから、GHQの後押しで新聞がこぞって始めた世論調査。それは、国家に屈服し国民を戦争に駆り立てた報道機関にとって、再建のシンボルでもありました。(『「世論調査のゆくえ』)▼いまでは毎週のように。時の政権をゆるがす裏付けになっているのが、メディアへの信用や信頼です。それを根底から覆す不正が、フジテレビと産経新聞の合同調査で行われていました。業務を再委託された会社が電話をかけず、架空の回答を入力していたと▼メディアとしての存在自体が問われる事態。ただでさえ安倍応援団と目されているだけに不信はひろがります。命ともいえる公正・公平さをゆがめたことはメディア全体の信用を損ねます。徹底した検証が必要でしょう▼為政者を正し、権力を監視する国民の”武器”にもなりえる世論調査。それが操作されるなら民意の誘導にもつながります。内閣を支持しない理由として一貫して最も多いのが「人柄が信頼できないから」。そこに信用できるか。(2020・6・24) 【今日の出来事】1948年ソ連によるベルリン封鎖 19…

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『いまもその島は』 永井和子

昔その島は 日本の最後の盾だった 数百万の銃火に盾は破れた 海のようにあふれた血潮に 染るぼろも残らぬほど 昔その島は 日本の最初の踏み石だった 文字通り石はふみにじられた ひそかに流された血も泥に汚れ 空までどす黒くかげるほど いまもその島は 日本の恥ずかしい捨て子だ 新しい人殺しの道具も 人間を虫のように扱う方法も 平気で人の国も盗みにいく兵士たちも まっさきに持ち込まれる 【注】生涯をかけて沖縄に心を寄せ続けた詩人の永井和子(1934~2015)。その島の平和を壊した者たちに、あふれる思いを込めて詩った怒りの一篇。1966年9月に刊行された「沖縄詩集」(P82)の中から採録した。

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きょう「沖縄慰霊の日」『赤旗・潮流』

「あんたもわたしも/おまえもおれも/艦砲の喰(く)残し」。沖縄で歌い継がれる「艦砲ぬ喰ぇー残さー」。鉄の暴風といわれた米軍の艦砲射撃を生き延びた島民の苦難を込めた反戦歌です▼きょう「慰霊の日」に摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で催される追悼式。沖縄戦の研究者で作家の大城将保さんは以前、式典の最中に艦砲弾の破片を拾ったことがあります。それ以来、この島唄が頭から離れなくなったといいます▼現在も、この小さな島に横たわる巨大な米軍基地。沖縄の戦後は、あの悲惨な戦争から地続きの時間として、今に至っています。基地あるがゆえの耐え難い苦痛。その根源となっているのが日米安保条約です▼現行の条約が発効してから60年。世界でも類のない基地負担は変わっていません。日本の法は及ばず、陸でも空でも海でも我が物顔。そのうえ、国民生活そっちのけで莫大な思いやり予算をつぎ込む。まるで植民地のような戦後75年の姿です▼命を削った前沖縄知事の翁長雄志さんは、いっこうに動かない現状を「国の政治の堕落」だと。いつまでも米国につき従い、自ら国民の安全を切り開けない政治。それが主権国家といえるのか▼大城さんは新著『「沖縄人スパイ説」を砕く』のなかで沖縄の心とは何かを問い直しています。「人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する」。平和の礎(いしじ)と結ばれるそれは、日本の心でもあるでしょう。(2020・6・23) 【今日の出来事】1945年沖縄戦敗北 1960年新日米安…

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井上ひさしさん没後10年 『赤旗・潮流』

かつて全国の子どもがテレビの「ひょっこりひょうたん島」を楽しみにしていました。岩手県生まれの井上恒(ひさし)さんもその一人。テロップに流れる自分と同じ名前の作者を不思議な気持ちで見つめていたそうです▼成長して井上ひさしさんの大フアンになった恒さん。彼の文章は本の帯の推薦文まで細大漏らさず集め、詳細な著作目録をつくってきました。研究者の間では知られた存在です▼作家の没後10にあたる今年、著書未収録のものを集めた『発掘エッセイ。セレクション』全3巻を編集しました。恒さんは「井上さんは辛辣なことを書いても、つねに目線が低い。それを庶民に届く言葉で書いている」と評します▼例えば「反原発運動は保険料である」という1988年の文章。当時の原子力安全委員長が、想定外の原発事故は「いわば天災の類であって、当事者にとって免責とされる」とかつて発言したことを、「人災を天災にしてしまう」無責任と批判しています。東電福島第1原発事故を予言したかのようです▼実はこの文章の書き出しは「四月馬鹿」(エープリルフール)の話。スパゲッティの収穫が始まった、ビートルズの曲が国家に、硬貨に大量の金が混ざってー。テレビや新聞が報じる欧米などの冗談。対して日本では「冗談の発信者が政財界のお偉方」だとユーモラスにお上をやゆします▼安部首相も四月馬鹿がお上手。「募っているけど募集はしていない」とか、見当違いの「アベノマスク」とか。あまりの連発に、天国の井上さんもあきれているか。(2020・6・22) 【今日の出来事】1941年ドイツ軍がソ連…

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「父の日のささやかな感謝の言葉」『筆洗・東京新聞』

娘がかどわかされるという時代小説を書いていた時の藤沢周平さん。書いているうちにふと心配になってきたらしい。自分の娘を呼びつけ、こんなことを言い聞かせた▼「もしも誰かに誘拐されたら、家にいくらまでだったらお金があるから出せます、と父が言っていると犯人に言いなさい」(『父・藤沢周平が描きかったもの』遠藤展子さん)▼どこの父親も同じか。古今亭志ん生さんの娘さんである美濃部美津子さんが書いている。ある晩、マージャンに誘われ、帰りが遅くなり、門限だった午後10時を一時間も過ぎてしまった▼あわてて家に帰り、玄関を開けると志ん生さんが怖い顔をして立っている。「何時だと思ってんだ。女の子がこんな遅くまで表歩いて何だ。危ないじゃないか」。美津子さん、40歳を過ぎていたそうだ▼父の日である。わが子の「もしも」を案じ、いくつになろうと気をもむ。心配しすぎて疎まれることもあるが、子にはありがたい見方に他なるまい。だから、その子どもたちは父親の心配する姿をほほ笑ましくも大切な記憶として書き残しているのかもしれない▼<細き身を子に寄添いる燕かな>蕪村。コロナもあった。世の中もこれからどうなっていくかも分からぬ。子への心配の種は尽きぬが、父親たちの細き身は父の日のささやかな感謝の言葉だけで、また一年ぐらいは元気になるのである。(2020・6・21) 【今日の出来事】1939年灯台社弾圧事件起きる 1987年沖縄嘉手納基地に5万人の「人間の鎖」

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だれもが輝き、尊重される社会に 『赤旗・潮流』

自身のすべてをさらした勇気あるつぶやきです。19日開幕したプロ野球。楽天のオコエ瑠偉(るい)選手が数日前、自身の差別的な体験をツイッターでつづっています▼ナイジェリア人の父を持ち、日本で育った同選手は、5歳のエピソードから書き出します。保育園の先生が『醜いアヒルの子』の絵本を読んだとき、他の子らが自分の方を見て笑ってくる。自身は「うつむき耳を塞(ふさ)いでた。物凄く孤独だった」。そして「俺が周りとは違うと初めて認識させられた出来事だった」と▼つらい経験は続きます。親の似顔絵を肌色で塗りましょうとの先生の言葉。反抗しつつ「涙ながら」に茶色のクレヨンで塗ったこと。小学校の野球の先輩から、「お前の家では虫とか食うんだろう」とあざ笑われ、殴られたこと。高校でも「甲子園には黒人は出るな」のおとなからの言葉に深く傷つきました▼米国の黒人男性ジョージ・フロイドさんの暴行死をきっかけに反人種差別の声が世界をかけめぐっています。日本でも共感が広がる一方、「国内で差別は実感できない」との声が聞かれます▼しかし、彼の告白は偏見や差別が身近にひそんでいること。人々の心に容易に入り込むことを教えてくれます。子どもたちにどう伝え、教えるべきなのかも▼「こういう経験があるからこそ、悔いないように生きようと思う」。すべてを受け入れ、力に変えるその姿に胸が熱くなります。だれもが輝き、尊重される社会のために。彼が絞り出した心の叫びにしっかり応えなくては。(2020・6・20) 【今日の出来事】1951年第一次公職追放解除発表

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民意からかけ離れたこの政権 『赤旗・潮流』

初々しい青年議員の訴えは、新たな時代の息吹にあふれていました。「本会議場において活発なる討議の展開ができますことは、明朗なる政治、すなわちガラス箱の中での民主政治の発達助長に資すること大なり」▼戦後、新憲法のもとで開かれた最初の国会。当時29歳、初当選の田中角栄はそんな意気込みを口にしました。のちに自民党から首相になる人物までもが国民主権となった国会のあるべき姿を▼ところが、国民のための役割を封じようとしているのが安倍政権です。コロナ禍の渦中閉じられた通常国会。不十分な対策、不透明な業務委託。さらに、選挙でカネをばらまいた買収容疑で逮捕された前法相とその妻の国会議員も▼相次ぐ失敗や不祥事で、まさに国会がチエック機能を果たさなければ非ならない、そのときに。数々の疑惑や不信が尽きないなかでの閉会の強行は、この政権がいかに民意からかけ離れているかを物語っています▼国会の私物化はこれまでも、国民の多くが反対した安保法制の際には会期を95日間も延ばし「働き方」やカジノ法を押し通すときも同様に。一方で、自分たちに都合が悪いとなれば、追及をかわすために野党や市民の「国会を止めるな」の声に背を向けて逃れる情けなさ▼こんどの国会で政治を動かしたのは、市民と野党の共闘でした。降りかかったコロナ危機から、みんなの命とくらしを守る。国民が主人公となった原点にも通じる熱いうねり。その姿は、新しい政治のあり方を示しています。(2020・6・19) 【今日の出来事】1858年日米修好通商条約締結 1945年「ひめゆり学徒隊」…

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人にやさしい希望在る都政へ 『赤旗・潮流』

「忙しく頼もしい、背広を着た小さな救いの神」。温和な表情を浮かべる人物を作家の宮部みゆきさんはそう描きました。自身の人気小説『火車』(かしゃ)のなかで▼サラ金被害者を助けるために奔走する弁護士。そのモデルになったのが宇都宮けんじさんです。作中、こんなセリフを言わせます。「現代のクレジット・ローン破産というのは、ある意味では公害のようなものでもある・・・」▼人間らしく生きたい、幸せになりたい。そう願いながら、行政の怠慢や法の不備によって転がり落ちてゆく。落とし穴にはまり抜け出せない。そんな人びとに寄り添い、貧困や社会悪とたたかってきました▼都民一人ひとりのいのちと暮らしを守り抜く。きょう告示の東京都知事選に立ったのも、みずからが地道にとりくんできた問題の解決には、政治を変える必要があると痛感しているからでしょう。コロナ危機にも、仲間とともに電話相談や募金の設立を呼びかけ、政府に要望書も出しました▼信念を持って一貫している。まじめで誠実、筋を通し約束を守り抜く、決して不正は許さない強い意思を持つ人・・・。本紙に寄せられた期待の声は、苦しみや困難を取り除くために尽くしてきた活動が体現する人柄をさまざまに▼1400万人が生活する大都市東京。先の小説は現在の姿を「地味も消え、雨も降らず、耕す鍬もない荒れた畑」だと。自分ファーストの小池都政から都民の声に耳を傾け、人にやさしい希望ある都政へ。偽りではない、真実がそこにあります。(2020・6・18) 【今日の出来事】1942年マンハッタン計画始動 1953年…

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戦前の過ちを繰り返さない 『赤旗・潮流』

アベノマスクに466億円、補正予算の予備費は10兆円・・・。安倍政権のお金の使い方はずさんです。加えて気になるのが巨額な政府広報費。100億円以上も計上されています▼4月の国会で共産党の田村智子参院議員の質問に、「コロナ対策で大規模な広報の実施に必要」と政府広報室。田村議員は「メディアを監視・批判するような広報を内閣府がやっている」と追及しました▼案の定でした。政府広報室がテレビ番組を監視していたことが、週刊誌報道で明らかになったのです。3月、テレビ朝日の「モーニングショー」の内容に、内閣官房の担当室が公式ツイッターで”反論”。この経緯に疑問を持った東京の会社員が情報公開請求し、テレビ番組をチエックした内閣官房の文書を入手したというもの▼そこにはテレビ朝日の「モーニングショー」「報道ステーション」、NHKの「日曜討論」「ニュースウオッチ9」、日本テレビの「スッキリ」、フジテレビの「とくダネ!」、TBSの「ひるおび!」と各局の番組が並びます▼日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)がメディアで働く人を対象にした「報道の危機」アンケートによると、「報道の自由が守られていない」と答えた人が58%に。それを裏付けるような政権による番組関しの動きです▼「報道の危機」を打ち破るためには何が必用か。「戦前の過ちを繰り返さない」とのMICの決意とともに、アンケート中に「メディァの連帯」を訴える声があったのが心強く響きました。(2020・6・17) 【今日の出来事】1967年中国が初の水爆実験を行う 1971年「沖…

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「今子どもの声を聞かなかったら」『赤旗・潮流』

「#子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」。こんなフレーズがツイッターで広がっています▼発端は10日の衆院予算委員会、志位和夫委員長の質問でした。「この愛情のこもった優しい言い方が好き」「つぶやいて気持ちが明るくなるタグだ」「実現したらなんてステキでしょう!」と。「このタグ見たら、喉が詰まって涙がでてきた」との声もありました▼「うちは聴覚が過敏だから、ザワザワも普段より少なくていいのかも」と、「蜜」の空間が人一倍しんどい子どもの親も。少人数は気持ちのゆとりも生み出します。「分散登校でやんちゃな子も来られるようになった。ちょっと騒いでもほかの子も気にしない」とある小学校教員が話すように▼「大いに賛成します」と女性から届いたファクスには、孫のつらさがつづられています。分散登校後、クラスの人数は元通りに。授業は次から次へと進み「冗談も一言も言えへん。こんなんイヤッ」と学校に行かない。たぶんずっと登校しないつもりのようだ・・・。精一杯抗議する小さな姿に、胸がいたみます▼あるベテラン小学校教員は言います。「今子どもの声を聞かなかったら、おとなは見捨てられる」長期間の休校中、命と自分自身について考えざるを得なかった。そんな思いをくみとることもなく、医療従事者への感謝を一律に強制する動きも▼「ごめんね、大変だったよね」と聞き取ることができるよう、学校を安心の空間に。おとなとしてたくさんの贈り物をこの時に。(2020・6・16) 【今日の出来事】1924年孫文、「三民主義」について講演

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[「都民フアースト」と言いながら 『赤旗・潮流』

彩られる自分語り、上書きされた過去。時の権力者にすり寄り、のし上がっていく姿がありありと。いま話題の『女帝 小池百合子』は、彼女の人生とともに政治家とは何かを投げかけます▼ニュースキャスターから政界に転身。国会議員として当選を重ね、環境相や防衛相を歴任。そして都政へー。マスコミにもてはやされ、男社会のなかで要職にも就きながら、政治家として何を残してきたのだろうかと▼日本新党から始まり、次つぎと乗り換えていく政党遍歴。歴史的使命は終わったと自民党を散々たたきながら、平然とその党に収まる節操のなさ、政界渡り鳥の異名どおり、時々の風にのって権力闘争を生きのびる一方、市井のことには無関心。そんな姿が浮かびます▼それは、都知事になってからも、4年前、東京大改革と称して掲げた7つのゼロ。残業や満員電車、待機児童や介護離職、多摩格差・・・。思いつきのような公約にくわえ、築地を守る、五輪の経費や施設を見直すことも、すべて投げすててきました▼コロナ対応も五輪開催にこだわって出遅れ、横文字フレーズばかりの不十分さが際立ちます。都民フアーストをいいながら、人々の悩みや苦しみにもむきあわず、みずからの野望を果たそうとする。その姿はどこかの首相と重なります▼「ひたすら上だけを見て、虚と実の世界を行き来している」。著者でノンフィクション作家の石井妙子さんは彼女の人生を言い表しています。そこにあるのは、信念なき虚飾の政治家です。(2020・6・14) 【今日の出来事】1969年熊本水俣病訴訟提訴 2004年「有事関連七法」成立

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憲法25条が保障する生存権を! 『赤旗・潮流』

4000人。ネットカフェなどに寝泊まりする「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちの1日当たりの人数です。東京都が2年前に調査結果を公表しました▼新型コロナウイルス感染が広がり、都はネットカフェに休業要請をしました。一時的な住居を確保するとしているものの、いまだに「5000戸をめざして進めている」と語る担当者。都が用意したビジネスホテルに宿泊中の男性は、住まいが決まらないことを「大きな不安」と▼コロナ禍で生活に困窮する人急増する中、行政は積極的に生活保護の利用を呼びかけるべきだと支援者。憲法25条が保障する生存権を具体化しているものが、生活保護です。利用すれば、健康で文化的な生活を送れるはずなのですが・・・▼リーマン・ショック後、保護利用者を劣悪な「無料低額宿泊所」に押し込め保護費を巻き上げる”貧困ビジネス”が横行。安倍政権は、生活保護たたきの世論をあおり、保護利用者に対する社会的スティグマ(負の烙印)を形成。同時に保護基準の大幅引き下げと制度改悪を強行しました▼生活保護ケースワーカーを主人公にした漫画『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館)。テレビドラマになるほど話題になりました。今月末、第9集が発売に。テーマは折しも、貧困ビジネスです▼戸惑いながらも奮闘する主人公。困窮者に寄り添い支援します。リーマン・ショック後より深刻といわれる今、そんな支援が必要です。誰もが安心して、健康で文化的な生活が送れるように。(2020・6・13) 【今日の出来事】1948年太宰治自殺 1953年石川県内灘試射場反…

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彼の名は「ジョージ・フロイド」 『赤旗・潮流』

彼の名はジョージ・フロイド。テキサス州ヒューストンで生まれ育った46歳のアフリカ系アメリカ人。娘が2人いてコロナの影響で仕事を失っていたという▼彼の名はジョージ・フロイド。5月25日、白人警官に膝で首を抑えつけられて死亡。8分46秒、息ができない、助けてくれ、ママと訴えながら。偽の20㌦札を使った疑いで拘束され、弟は「ジョージは誰も傷つけてなかった。黒人の命は20㌦の価値なのか」と問いかけた▼彼の名はジョージ・フロイド。その死は歴史を変えた。警察の暴力や人種差別にたいする抗議のうねりは全米から各地へ。膝をどけろ、ブラック・ライブズ・マター「黒人の命は大切だ)と声を上げながら▼彼の名はジョージ・フロイド。その死は歴史をさかのぼらせた。根深い偏見のもとにある奴隷制度の見直し。これまで偉人とされてきた像は倒され、過去の映画の描写を問題視する動きも。肌の色で差別し、迫害することは悪だという流れがいっそう▼彼の名はジョージ・フロイド。葬儀のとき、めいは「もうヘイトクライム(憎悪犯罪)はやめて」と願い、「米国は一体いつ、偉大だったのか」と呼びかけた。怒りや不満の矛先は、分断と憎しみをあおってきたトランプ大統領▼私たちはジョージ・フロイド。コロナ禍のなか、国境や人種のちがいをこえ、立ち上がる世界中の若者たち。悲しみをともにし、人権や命の尊厳を自分自身の問題としてとらえる。「正義なくして平和はない」。その姿は人類の希望。(2020・6・12) 【今日の出来事】1906年日本エスペラント協会設立 1979年「元号…

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災害大国喫緊の課題 『赤旗・潮流』

真夏の暑さ到来で、熱中症にかかる人が増えています。まだ体が慣れていないうえに、熱がこもり息苦しさが増すマスクの着用。これまでとは異なる対策が求められています▼入梅もすぎ、本州は梅雨入りの季節を迎えます。今年は大雨にたいする用心とともにコロナ対策が欠かせません。感染症との複合災害をどう防ぐか。この災害大国に突きつけられた喫緊の課題でしょう▼狭い場所にひしめきあい、床に雑魚寝する。日本の避難所のありようは、およそ100年前に起きた関東大震災の頃からあまり変わっていないと指摘されています。まさに、「3蜜」の典型。このままではとても危険な状態になると感染症や防災の専門家も危惧します▼実際、東日本大震災のときにはインフルエンザがひろがり、熊本地震の際にもノロウイルスの集団感染が発生しました。劣悪な環境による関連死も多く、世界標準からも大きく立ち遅れている日本の避難所。改善のとりくみも表れ始めましたが、課題は山積みです▼合言葉は「TKB」。避難所の問題点を訴えてきた医学博士の榛沢(はんざわ)和彦さんはトイレ、キッチン(食事)、ベッド「睡眠)の生活環境を整える必要性を説きます。安全であるべき場所が原因で命を落とすことなどあってはならない▼コロナ危機によって改めてあらわになったこの国のもろさ。ふりかかる災いから、どうやって国民の命を守るのか。あるべき備えや財政、体制づくりとは。そこから国や自治体の拾の姿が透けて見えてきます。(2020・6。11) 【今日の出来事】1972年田中角栄「日本列島改造論」発表

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『米軍基地ノー』沖縄県議選 『赤旗・潮流』

「(米国民は)終わりなき戦争と海外への介入に我慢できなくなった」。そう語るのはゲーツ元国防長官。米有力外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(7・8月号電子版)に寄せた論文の一節です▼米外交の「根本的欠陥」に「軍事的手段への過度な依存」を挙げたゲーツ氏。国民の支持を得るには、海外の戦闘に軍を送り込むことを「より強く自制しなければならない」と説きます▼アフガニスタン、イラク、シリアー。繰り返される戦争に米国民も傷ついてきました。退役軍人対象の世論調査(4月)で、海外の紛争への軍事的関与に57%が「減らすべき」と答えました▼新型コロナウイルスによる死者数は米国では10万人を超えました。「ベトナム戦争での死者数をはるかに超えた」と指摘するのは米下院の進歩派議員29人による連盟書簡(5月19日)。「コロナウイルスは我が国最大の敵」「爆弾より検査が必要だ」とし、国防予算を削りコロナ対策に回すよう下院軍事委員長に求めました▼米紙ワシントン・ポストは「コロナ危機で国防予算削減の可能性が出てきた」と報道。記事は米軍準機関紙「星条旗」に転載されました。軍事費削減が米国政治の焦点に浮上しています▼日本では、沖縄県議選で再び米軍基地ノーの民意が示されました。それでも2兆5500億円もの税金をつぎ込み、米軍のための殴り込み拠点建設を急ぐ安倍政権。しかし、軍事力に過度に依存し、民意を踏みつける政治を続けられる時代はおわりつつあります。(2020・6・10) 【今日の出来事】1969年日本のGNP世界第2位に 2004年9条の…

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「なかったことに」の魔力 『東京新聞・筆洗』

映画撮影中の米歌手。俳優のフランク・シナトラが出番までの待ち時間にしびれをきらし、家に帰ろうとしたそうだ▼スタッフが追い掛け「撮影はどうすればいいんですか」と言うと、シナトラは、「わけないことだろう」。シナリオを取り上げると撮影予定だった部分をピリッと破り捨て帰っていった▼破り捨て「なかったことに」。全盛期のシナトラを思い出すブラジルのボルソナロ大統領の「マイウェイ」ぶりである。新型コロナウイルスの感染者数が米国についで、二番目に多いブラジルだが、累計の感染者数や死者数の公表を取りやめたそうだ▼コロナの恐ろしさを甘く見た大統領への風当たりは厳しく、3万5千人をこえる死者数と連日、報道されることがお気に召さなかったらしい。公表を取りやめても死者数は消えないし、こうしたやり方がさらに信用を失わせるのだが、「なかったことに」の魔力に勝てなかったか▼なにもブラジルに限らぬ。わが国もである。政府はコロナ対策の専門家会議の議事録を結局、作成しないという。事後検証にはやりとりをきちんと残した議事録が欠かせぬが、作成を見送り、論点を整理した議事概要のみを公表するそうだ▼こっちの方が賢い。最初から議事録がなければ、後で何か問題が起きたとしてもピリッと破り捨て「なかったことに」の手間も省けるとは、皮肉がすぎるか(2020・6・9) 【今日の出来事】1954年防衛庁設置法 自衛隊法公布

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「日本人の民度は高い」? 『東京新聞・筆洗』

「私はうそつきだ」こう言った人はうそつきか、そうでないか。なぞなぞではなく、いにしえからある論理上の問題である▼自分で言うのだから、うそつきなのだろう。でも、うそつきだとすれば「私はうそつきだ」という言葉自体もやっぱりうそではないか。分からなくなる。「うそつきのパラドックス(矛盾)」と呼ばれる▼読者を悩ませるつもりはないが、これもその手のパラドックスかもしれぬ。麻生太郎財務省の発言である。日本人の新型コロナウイルスぼ死亡者数が欧米に比べて少ない理由について「おたく(の国)とは国民の民度のレベルが違う」とおっしゃったそうだ▼「日本人の民度は高い」。他国からそう言われる分には構わない。が、日本人自身がそれを言い出せば、その言葉は思い上がり、高慢で慎みの欠ける言葉に聞こえはしないか▼民度とは国民の生活程度のことであり、そこには礼儀やマナー、心根のようなものも含まれるのだろう。とすれば、うそつきのパラドックスと同じ。自分で民度が高いと胸を張ることはおよそ民度が高いふるまいとは思えぬのである。大勢の死亡者が出た国を見下しているようにも聞こえる▼麻生さんによれば日本の民度の高さと説明すると他国の人は黙るそうだ。おそらく、感心の沈黙ではない。開いた口がふさがらなかったのである。(2020・6・8) 【今日の出来事】1947年日本教職員組合「日教組)結成 1972年ナパーム弾から逃れるベトナムの写真が世界に発信される。 【追記】今日から随時、東京新聞のコラム・『筆洗』も転載することにします。

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「めぐみちゃんに会いたい」 『赤旗・潮流』

娘の寫眞を撮ることが何よりの楽しみでした。入学式や卒業式で旅行に出かけたとき、何気ない日常のひとコマ・・・。レンズ越しのいとしい表情は、忘れかけた思い出を何度もよみがえらせました▼ほとんど叱ったことがない甘い父親の前から突然娘が姿を消したのは1977年の11月15日でした。当時、新潟の中学に通っていた13歳の横田めぐみさんは下校中、自宅近くで北朝鮮に拉致されました▼妻の早紀江さんとともに名を叫び、懐中電灯を手に必死に探し回った滋さん。毎朝、職場に向かう前に海岸に出ては手がかりを追い求めました。暗転の前日は自身の45歳の誕生日。「お父さん、これからはオシャレにも気をつけてね」。そう言って贈られたクシを肌身離さず持ち歩いていました▼拉致被害者を救出する運動の先頭に立ってきた横田滋さんが亡くなりました。87歳。家族会の代表として早紀江さんと二人三脚ですべての都道府県をかけめぐり、署名や1400回をこえる口演を重ねて拉致の非動さを訴えてきました▼面影を探し、幻を追うような歳月。北朝鮮からめぐみさんの死亡を伝えられ、人目をはばからず嗚咽(おえつ)したことも。ころころと態度を変え、何年も事態を動かせない日本政府の怠慢に、いつもの穏やかさが一変したことも▼残された拉致被害者の家庭はみな高齢です。娘を救うために人生の半分近くをささげた滋さん。写真にある娘の顔をなでては、最期まで望みを持ち続けていました。「めぐみちゃんに会いたい」(2020・6・7) 【今日の出来事】1863年高杉晋作、奇兵隊を編成 1955年第…

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地位を守ることに一生懸命 『赤旗・潮流』

このごろ、何をやっても裏目に出る晋三くん。みんながコロナで大変なときに打つ手はことごとく失敗。反感を買ってひっこめたり、やめたり。そろそろ、いやにならないのかな▼私たちの要望で支援をひろげたのは良かったけれど、これまたお金の使い道が問題に。訳のわからないところに計上したり、幽霊みたいな会社を通して親しい苦行に託したり。みんなのお金なんだから、勝手に使わないでよ▼収入がなくなって困っている人たちにお金が届かない、命綱としてがんばっている医療や福祉の現場を支えない。いままでも散々いわれてきたのにね。そのくせ自分の地位を守ることには一生懸命で、すごく批判された▼世界からも浮いているよ。トランプ大統領が呼びかけた今月下旬の首脳会議に真っ先に手をあげたけれど、延期。ドイツの首相らは今の感染状況をみれば賛成できないといっていた。どちらが賢い判断かな▼そうそう、お友だちの太郎くんもまたひどいことを口にしたね。他国の人から日本の死亡率が低いことを問われ、「お宅とうちの国とは国民の民意のレベルが違うんだ」と答えたんだって。「みんな絶句して黙る」といばりながら▼何様のつもり。共産党の志位さんは「世界中で差別や分断でなく、連帯が大切といううねりが起こっているときに平気でこういう発言をするとは。そりゃ『みんな絶句して黙る』でしょうね」と。こんな態度だと、いくらサイコロをふっても、ふりだしに戻るだけだよ。ねえ、晋三くん。(2020・6・6) 【今日の出来事】1944年、ノルマンディー上陸 1950年マッカーサー、レッドパ…

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たたかいの火は燃え続ける香港 『赤旗・潮流』

民主はないが、自由はあるー。特異な地はよくそう言い表されます。政治的な権利と市民的自由を点数化して比べてみたら、世界で最も点差が開いたのが香港だった。そんな調査もあります▼支配が強まる中国式の政治。一方で多元化する香港社会。政治と社会が異なるかたちで併存する姿は「中港矛盾」と呼ばれてきました。その不安定さを抱えながらも続いてきた制度が、いま崩されようとしています▼中国政府が香港に導入を決めた「国家安全法」。これまで公約してきた「高度な自治」や言論・集会の自由といった権利を奪いかねない弾圧法です。香港の政治活動家は本紙に「いままでこんなに不安を感じたことはない」と恐怖を口にしています▼天安門事件から31年の4日、毎年開かれてきた香港の追悼集会がコロナ感染を理由に不許可となりました。「一国二制度」の物差しといわれてきた集会が許されなかったことで市民の間には民主化運動への危機感が漂います▼政府への抗議が国家転覆の暴徒やテロとみなされる。治安維持の名目で人権が抑圧される。このままでは香港の自由も死を迎えてしまう。批判の声に連帯する動きも国際社会に広がっています。今月は逃亡犯条例に反対した空前のデモから1年の節目。たたかいの火は燃え続けています▼いま差別や抑圧に航して、立ち上がる人びとは世界各地で、どこの国のどんな体制であっても、より良い社会をめざす市民の行動を力で抑え込もうとする者たちに未来はありません。(2020・6・5) 【今日の出来事】1942年ミッドウェー海戦、日本海軍の4空母撃沈される 197…

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[身内で「委託費」分け合う 『赤旗・潮流』「東京アラート」の発令 『赤旗・潮流』

2日深夜、東京都のシンボルである都庁やレインボーブリッジが不気味な赤色に染まりました。新型コロナウイルスの感染拡大を警告する「東京アラート」の発令です▼緊急事態宣言が解除され、迎えた6月。全国でほとんどの学校が再開され、通勤に伴う満員電車も復活する中、出はなをくじくように、一部の地域で感染者が増え続けています▼全国的にみれば新たな感染拡大は抑えられており、現状を「第2波」と呼ぶのは早計でしょう。ただ、しばらく感染ゼロだった北九州でクラスター(感染者集団)が発生したように、地域的な感染拡大がおこりうる危険は、確実に存在しています▼とはいえ、いったん緩和した自粛要請を元に戻すことは容易ではありません。感染拡大の防止と経済・社会活動をどう両立させていくのか。しばらくは模索が続くことになるでしょう▼こうした国民一人ひとりの模索や努力を支えるのが政治の責任です。政府は国民の声に押され、医療や雇用・営業を支える緊急政策を補正予算に盛り込んできました。しかし、各種給付金の振り込みが大幅に遅れており、くらしの危機が確実に強まっています▼こともあろうに、収入が減った業者むけの「持続化給付金」事務事業が実体のない団体に委託され、そこから100%近くが、安倍政権に近い大手企業に再委託されている実態が明るみにでました。生きるか死ぬかの瀬戸際にある業者への給付が滞る一方で、身内で委託費を分け合うー。おぞましい姿です。(2020・6・4) 【今日の出来事】1928年関東軍、張作霖爆殺事件起こす 1960年反安保「6.4スト…

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歴史をねじ曲げる政権 『赤旗・潮流』

韓国ドラマ「愛の不時着」が評判を呼んでいます。有料動画サイト、ネットフリックスの配信番組。日本でも若者を中心に人気が広がり、冬ソナ以来のブームになっています▼韓国の財閥令嬢がパラグライダーの事故で北朝鮮に不時着し、出会った軍の将校と恋に落ちる。笑いあり、涙ありの王道ラブストーリーですが、はまるツボや見方はさまざま。ジェンダーの視点から主人公の生き方に共感したり。北朝鮮の生活や人びとに関心を抱いたり▼ありえないと思いながらも引き込まれてしまうのは、やはり同じ民族が引き裂かれた現実の悲劇が背景にあるからでしょう。いまも朝鮮半島を南北に断ち切る38度線は、このドラマでも象徴的な場面の舞台になっています▼「わが民族が光復の喜びを思う存分感じる前に国土は二つに分けられた。今日、私たちは地球上にほとんど唯一の分断国家として残されている」。韓国の高校教科書では軍国日本に国を奪われたあと、米ソによって線引された痛みをそうつづっています▼今月25日は民族同士が血みどろのたたかいをくり広げた朝鮮戦争の開戦から70年の節目。なぜ同じ民族、愛する者が苦しまなければならないのか。なぜ統一できないのか。ドラマを見た若者たちが思いを巡らせることを願いつつ▼いま日本では歴史をねじ曲げる政権が近隣諸国との友好や連帯の障害となっています。朝鮮半島の分断につながった日本の植民地支配。その反省なし では平和をめざすアジアで不時着するだけです。(2020・6・3) 【今日の出来事】1853年ぺりー艦隊浦賀に来航 1991年雲仙普賢岳噴火…

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信念を持って言いたいことを言おう 『赤旗・潮流』

「いい子」の自分と決別。きっかけは3年前、みずから受けた性的暴行の裁判でした。「私の中で何かが変わり、もう戻れない。どんな局面でも、信念をもって言いたいことを言おう」▼米国の人気歌手テイラー・スウィフトさん(30)が自身のドキュメンタリーで語っています。閉ざしていた誠治についての発言も。肌の色や性差、性的指向に基づくどんな差別も間違っている。すべての尊厳のためにたたかってくれない人に投票することはできない、と▼白人警官による黒人男性の暴行死をめぐり、スウィフトさんがトランプ大統領を痛烈に批判しています。「就任してから白人優位と人種査閲の火をたきつけてきた。厚かましくも道徳的優越感を装った後に暴力で脅すのか」▼全米にひろがる抗議デモ。激化のなか、トランプ大統領はツイッターで「どんな困難でもわれわれはコントロールするが、略奪が始まれば銃撃が始まる」と暴力での対抗を示唆していました▼いまも絶えない権力の不当な弾圧。有色人種や貧困層に集中するコロナ感染。虐げられ、格差にあえいできた不満が各地に拡大する怒りに投影されています。日本でも先日、外国人に暴行した警官に抗議する市民らが渋谷署につめかけました▼コロナ禍の世界は人々の連帯がいかに大切加を示しました。分断や差別が人の命や社会をどんなに危うくさせるかも。スウィフトさんは、若者の政治参加を呼びかけています。「勇気を出して権力を正しく導けば、未来は変わるはず」(2020・6・2) 【今日の出来事】1954年近江絹糸「人権争議」はじまる 1968年米軍機F4フ…

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化石燃料から再エネへ 『赤旗・潮流』

新型コロナウイルスの世界的大流行は世界のエネルギー需要や二酸化炭素排出量にも影響を及ぼしています。英国の大学などの研究グループが、4月初めの1日当たりの世界の二酸化炭素排出量が前年比で17%減少したとの推計結果を発表しました▼大幅に減ったのは航空、陸上輸送の分野で各国で移動制限などが行われたため。国際エネルギー機関(IEA)のリポートによると、今年1年間の二酸化炭素排出量の影響は2008年の禁融危機による減少の6倍と見通します▼このリポートのエネルギー源別の需要予測では、石炭、石油といった化石燃料や原子力は前年と比べて減少すると。石炭に至っては、需要の減少は第二次世界大戦以来最大であり、今後の見通しでは「最も不確実性が高い」と指摘します▼一方、太陽光などの再生可能エネルギーだけが増加すると。理由はコストが安く、電力系統へ優先的に接続されているためだといい、コロナ危機の影響がより少ないとしています▼禁輸危機を振り返ると、経済状態が改善するにつれて二酸化炭素排出量の急激な上昇をもたらす恐れも。しかし、世界ではより持続可能な社会、脱炭素社会への転換に貢献する復興に向けた議論が起きています▼世界の350の医療団体が先日発表した、20カ国・地域(G20)の首脳に宛てた、「健全な復興」の実現を求める公開書簡でも、化石燃料から再エネへと訴えています。コロナ禍は、石炭火力推進の日本政府の政策転換を迫っています。(2020・6・1) 【今日の出来事】1964年米政府・軍部首脳ホノルルで会談ベトナム戦争の段階的拡大…

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