「香港が焚書時代になる」『赤旗・潮流』

香港で人権抑圧を強める国家安全維持法が施行されてから10日あまりがたちました。市民の逮捕が相次ぐ一方、創意工夫をこらした抗議行動が毎日続いています▼「今日焚書(ふんしょ)、明日坑儒(こうじゅ)」。民主派の区議会議員が掲げた抗議の言葉です。法律の施行に伴い公共図書館で民主活動家らの著作の閲覧や貸し出しができなくなったことを非難しました▼「焚書坑儒」は古代中国・秦の始皇帝が自らの支配を固めるために行った思想言論弾圧です。実用書以外の書物を焼き捨てさせ、体制を非難する儒者を穴に生き埋めにしたとされます▼香港政府は昨年来の抗議行動で市民が使ってきたスローガン「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、われわれの時代の革命だ)」も処罰対象だ主張しています。国家安全維持法はもともとどんな言動が犯罪になるのかも不明確なもの。「香港が焚書時代になる」と懸念が広がるのは当然です▼言論封殺に抗して市民がいま新たに始めたのが、何も書いていない真っ白な紙を掲げ、スローガンを叫ばない形で行う抗議です。スローガンは禁止されても意思表示はやめないという意気込みです。当局は参加者を逮捕しましたが「白紙を掲げる人々を政府が恐れるとはおかしなこと」と市民は意気軒昂です▼今の世界では重大な人権侵害は単なる国内問題ではなく国際問題です。人権は自由を求める人々のたゆまない運動で勝ち取られ拡充されてきました。歴史をみれば香港市民のたたかいにこそ未来があることはあきらかです。(2020・7・11) 【今日の出来事】1950年日本労働組合総評議会(…

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「まだなんや!」大阪の10万円給付 『赤旗・潮流』

「なんでやねん」。大阪市天王寺区の喫茶店で男性客2人が声を張り上げていました。現金10万円の一律給付のことでした▼「おまえんとこ、きたか」「まだや」「大阪市は遅いねん」「業者に、丸投げしよったんや。しかも経験のないとこにな」▼一律給付は6月末までに全国の総世帯数のおよそ70%で完了しましたが、大阪市が給付を終えたのは約152万世帯のうち10・9%にとどまりました。全国の20政令都市のうちで最低です▼松井一郎大阪市長は記者会見で、遅れの理由について「システム稼働の遅れに加えて、届いた申請書の支払いまでの各工程において、滞留がが発生していた」と説明しました。コンピュターシステムの電力不足のため工事が必用だったとか▼市が委託した業者は過去にプレミアム付きの商品券の発券作業を担当した事業者、リーマン・ショックを受けた2009年の定額給付金制度の作業を経験した事業者ではなく、松井市長は「給付作業への認識が甘かった」と陳謝しました▼大阪市のコロナ対策は医療提供体制の強化はじめ市民・事業者や文化芸術団への支援でも他の政令市と比べ貧弱です。一方で大阪市が募った「雨がっぱ」は約33万枚が集まり、市は、「医療機関をはじめ必用とする現場で有効に活用」と感謝したもののおおくが活用されず山積み。「とにかく思いつきなんですよ」と、市職員も嘆きます。(2020・7・10) 【今日の出来事】1955年第1回世界母親大会宣言発表 【注】宣言→「生命を生み出す母親は 生命を育て 生命を守ることをのぞみます」

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地球全体が警鐘を鳴らす時代 『赤旗・潮流』

古来日本の文化とは川の文化でもありました。川の水を治め地を養い、米をつくる。人や物を運ぶ。個々の川には、その土地の歴史が刻みつけられています▼この国の川は急流で短い。降った雨は洪水流となって一気に海へ突っ走り、あとはたちまち乾いてしまう。その暴れ川の氾濫原に土地利用をもとめてきたのが日本人であった・・・。『水の文化史』を著した富山和子さんは、昔から水害は宿命的で治水が最大の課題だったと説いています▼しかしいま、魔物のように荒れ狂い、各地で人びとや町を飲み込んでいく姿は、もはや治めることができないほど激しい。数十年に一度、経験したことのない豪雨がぐり返される現実は、川とのつきあい方さえ変えてしまいます▼北極圏に位置するシベリアの町で40度近い気温が記録されるなど、地球全体が警報を流す時代、温暖化を抑え、異常なありさまを元に戻す責任もまた、人類に問われています▼「どんな試練なのか・・・」。一夜にして生活のすべてを失い、途方に暮れる被災者がもらしていました。コロナ禍に水害。列島の至るところで、命とくらしを脅かす危機があるいまこそ、政治が役割を果たすとき、ところが、ときの政府は自利ばかりを追い、疑惑にまみれ、人心や社会を沈ませています▼文化とはゆとりである。そう富山さんは呼びかけます。「先祖たちが培ってきたそのゆとりを現代の私たちが取り返せるかどうかが、いま自然からも歴史からも、試されているように思えてならない」(2020・7・9) 【今日の出来事】1955年ラッセル、アインシュタイン宣言発表 【注】…

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「平和」の対義語は戦争だけではない

「『平和』という言葉を辞書で引いたことありますか?」と問われたら、ほぼ大抵の人は「いいえ」と答えるでしょう。それは誰もが「平和」は日常的に頻繁に使われ、熟知しているつもりでいるからです。  ところが、かつて、必用があって辞書(新明解国語辞典 第五版)を開いて驚きました。第一義には「心配、もめごとがなく、なごやかな状態」と。続いて第二義として「戦争や災害などがなく、不安を感じないで生活できる状態」と、書かれていました。  「平和」の対義語(反対語)はドンパチと銃火を交える戦争だけでなく「災害・洪水」などが肩を並べて明記されているのです。そこで、今度は「災害」とはなんぞやと思いページをめくると「台風、洪水、地震、大火、伝染病」とずらり並べられています。  伝染病イコール感染症とすれば、ここのところの新型ウイルスの猛威は世界中が戦争の渦中にあるといってもいいのではないでしょうか。  これを書いているとき傍らのテレビが、一昨日来の熊本、岐阜、長野県の荒れ狂う河川氾濫の模様を、キャスターがこわばった調子で話しています。 ここ数年来、この国は地震、台風、洪水などに見舞われ災害列島化しています。日本列島は、常に平和が損なわれており、「平和日本を保持する」は日常的、永久の課題なのです。  

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徹底して論戦避けた都知事選

「望外のご支援をいただいた」。再選された小池百合子都知事は喜びを口にしました。前回を下回る55%の投票率。都民はどんな思いで今回の選挙を見つめていたのでしょうか▼感染拡大のなかで活動が制約された選挙戦。コロナ対策やオリンピック、福祉や教育・・・。さまざまな争点があったにもかかわらず、小池知事は徹底して論戦を避けました。テレビ討論もなく多くの有権者に問題が見えないままの選択でした▼選挙中にNHKが実施した都民1万人アンケートがそれを反映しています。小池知事はどんな資質をもちあわせているか。上位に並んだのは発信力やリーダーシップ。決断力。しかしこれは、マスコミなどによってつくられたイメージによるところが大きい▼実際、公約にしてきた「7つのゼロ」の実現度を聞くと、ほとんどの公約で実現できていないとの答えが圧倒的。この4年間でくらしが良くなったという人はわずか6%。都民の意見が都政に反映されていないとの声も6割をこえました▼誰にでもやさしい、ぬくもりのある社会をー。東京のSNSやインターネットで発信した宇都宮健児さんの訴えは、期待となって若い世代にもひろがりました▼「日本経済の中心である東京の成長戦略をしっかりと進めていきたい」と小池知事。そこに都民のうめき声を聞く耳はあるのか。命やくらし、人権を後回しにする政治の転換。それはいま世界的にも求められていると宇都宮さん。「次につなげよう。新しい日本をつくる運動は続く」(2020・7・7) 【今日の出来事】1937年盧溝橋事件起きる(日中全面戦争へ)

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災害に対する認識改めなければ 『赤旗・潮流』

「人吉(ひとよし)・仲良し・こころ良し」。おだやかで大らかであたたか。熊本県の南端にある人吉・球磨の気質を称してこう呼びます▼深い山と谷に囲まれた山峡の地。隔たれた自然と、鎌倉時代から明治維新まで相良(さがら)一族700年の統治によって、独自の歴史や文化がはぐくまれたといいます。司馬遼太郎は『街道をゆく』のなかで「日本でもっとも豊かな隠れ里」と記しています▼文化庁の日本遺産にも認められたこの地で、人びとの心とくらしの礎になってきたのが球磨川です。その宝の川が、記録的な豪雨によって氾濫し、住民の命をうばい、町を一変させてしまいました▼もともと三大急流の一つに数えられ、たびたび洪水に見舞われてきた流域。球磨村では支流の近くにある特養老人ホームが水につかり、多くの高齢者が巻き込まれました。津波のように押し寄せ、施設内はすぐに身動きがとれなくなったという証言も▼数年前にも川沿いの高齢者施設が被災する事例がありましたが、早めに手を打つことはできなかったのか。いつ、だれが、何をするか。それを事前に定めた防災の行動計画をつくっていたそうですが、はたして機能していたのか。もとよりそれを上回る規模だったか。検証がまたれます▼大量の雨に襲われる時代。堤防などでは追いつかない現実もありあす。どこでも災害にたいする認識を改め、準備や避難の体制を整えておく。水とともに生きてきたこの国が率先してやるべきことです。痛ましい姿をくり返さないためにも。(2020・7・6) 【今日の出来事】1535トマス。モア斬首される 1944…

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問われる「災害」との向きあい方 『赤旗・潮流』

記録的な大雨によって広い地域に避難指示が出された日の夜でした。安倍首相をはじめ、自民党の国会議員が酒を酌み交わしていた「赤坂自民亭」から2年。西日本豪雨はそのすさまじさとともにだらけた政権への怒りが記憶されています▼河川の氾濫や堤防の決壊、土砂崩れやなだれこんだ大量の木や石、濁流にのみこまれた街や家々。目の前にひろがる無残な光景に被災者は一様に。「まさか、わが身にこんなことが起きるとは・・・」▼九州北部の集中豪雨も3年前と、最近はこの時期にくり返し発生する大雨。今年もまた、熊本や鹿児島で多くの犠牲者、浸水や土砂崩れなどの深刻な被害をもたらしました。一刻も早い救助、支援がまたれます▼次つぎと列島を襲う災害は新しい対応を求めています。激甚災害となった昨年の台風19号のような流域型洪水は、広い地域にわたり大規模な被害をうみました。いまや未経験の猛威を想定した行政、インフラ整備が欠かせません▼しかもコロナ禍のさなか。非難の仕方や避難所のあり方も問われています。こうした危機に際したときほど、政治がどこを向いているかがくっきりと、災害との向きあい方、備え方、被災した人びとのためにどれだけ力を注ぐか。そこから国のかたちがみえてくると、防災の専門家も指摘します▼共通している被災者の叫びはもう一つ。「この国の政治は、国民の命を守ろうとしているのか」。何よりも、そこに重きを置く政治。それは今も、この先にもつながるはずです。(2020・7・5) 【今日の出来事】1949年国鉄争議の渦中、下山事件起きる 【注】185…

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あした投票日を迎える日本 『赤旗・潮流』

自分は何者なのか。それを考えるとき、国に根ざす人びと多いが、自分たちはこの場所にあるー。何年か前にSEALDsのメンバーと対談したした香港の学生運動家が話していました▼植民地の長い時代をふくめ、複雑な歴史をたどる地。返還以降そこで”香港人”としてのアイデンティティーを確立するようになった。そして、言論の自由や政治への抗議デモといった守り継ぐべきもののために、声をあげていると▼「絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強くいきなければなりません」(周庭さん)。中国で許されないことは香港でも許されない。そんな抑圧法が強行されるなか、民主的な活動つづける若者たちは厳しいたたかいを余儀なくされています▼「香港独立」の旗を掲げた市民が逮捕される現実。大国によって奪われようとしている大事なもの、自由に生きることへの希望さえも▼あした都知事選の投票日を迎える日本、どんな首都東京をつくるのか。都民の命とくらしを託せう人は誰なのか。周庭さんは以前、選挙に行くことの意味を私たちに呼びかけています。「香港人はずっと民主的な選挙制度を求めてきた、あなたたちがもっている権利を大切にして」▼先の対談を本にまとめた「日本✗香港✗台湾 若者はあきらめない」。彼らはこんな言葉で連帯の思いを。「きみたちの世界なんだ。きみたちの国なんだ。きみたちが問われているんだ」。(2020・7・4) 【今日の出来事】1776年アメリカ独立宣言 1946年フイリピン独立 【注】1934年キュリー夫人死す

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ロシアの憲法改正 『東京新聞・筆洗』

謎の中にあって、謎に包まれた謎であると英首相チャーチルは、その国を評したという。ロシアである。政治指導者や体制はかわるが・時の権力の道理に反した振る舞いが、しばしばまかり通る。「アネクドート」と呼ばれる風刺小話の多くも、そのあたりから生み出されてきた▼最近、ネットで教わった一つはこうだ。二人の会話。「プーチンは大統領の座を手放すのだろうか」「もちろんだ」「いつ」「即位すればすぐにね」▼ロシアなら驚くことはないのかもしれないが、永世の権力者の”即位”に道を開くかのような改正が実現した。プーチン氏の大統領としての在職期間はこれで、ゼロに戻って勘定されることになり、再選に関する任期制限には、引っかからなくなるのだという▼最長で83歳、2036年まで続投できるようになった。権力の座にある長さは、スターリンを超えるかもしれないそうだ▼景気の後退や石油需要の鈍化のなかで、任期満了が近づく。衰える求心力を取り戻す狙いもあるらしい。長年の利権の構造を守りたい人がいるのだとは聞くが、全国投票で支持した人々の心情も、なかなかはかりがたい▼大統領選の際に知った小話。「大統領、いい知らせです。再選されました。悪い知らせもあります。誰もあなたに投票していなかった」あくまでジョークであるが、謎の国らしさが伝わる。(2020・7・3) 【今日の出来事】1979年にしドイツ、ナチスを含めた殺人犯の時効廃止

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「『お登紀さん』あなたの出番でしょ」 『赤旗・潮流』

歌と共に時代を駆け抜けた歌手ならではの決断でした。東京・渋谷のオーチャードホールで、緊急事態宣言解除後、初の大規模コンサートを行った加藤登紀子さん。先陣を切った挑戦に大きな注目が集まりました▼観客は全員マスク姿で市松模様を描くように着席。無観客でもやろう、と決めた時、東京都から「1000人以下、かつ収容定員の半分以下」の目安の緩和が示されました。「『お登紀さん、あなた(の出番)でしょ』と天から声が降ってきたような気がして・・・」。できることがあれば動く。その心意気に観客も大きな拍手でこたえます▼2月末、政府のイベント自粛要請に、いち早くこたえたのがライブ・エンターティメント業界でした。ぴあ総研の調べでは、2月から5月末までに中止・延期したイベントは19万8000本。しかし損失補償はされず、多くの関係者が生活苦に直面しました▼「2,3カ月、経済がストップしただけで、多くの人が生きられないレベルの困窮に陥る社会は世界でも恥ずかしい」。これだけは書いてほしい、と本紙日曜版で加藤さんが語った言葉です▼NHK番組では、英国ロイヤルバレエ団で最高位のプリンシパルを歴任した吉田都さんが、日本ではダンサーが職業として守られていない、と話します。「芸術は生きる喜び、悲しみ、魂の叫びを表現・・・。人間が人間らしくあるために必用」▼コロナ禍であらわになる日本の政治の貧困。文化芸術をどう位置付けるか。国のあり方が問われています。(2020・7・2) 【今日の出来事】1950年金閣寺炎上 1964年アメリカ、公民権法成立…

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今日からレジ袋有料化へ 『赤旗・潮流』

穏やかな海に大小の島が浮かぶ瀬戸内。そこで、10年以上も前から海洋ゴミを減らすとりくみをつづけている若者たちがいます。岡山にある山陽女子中学・高校の地歴部の生徒です▼海上を漂い、海底に積もり、島に流れ着く大量のごみ。それを回収し、分析した情報を地域や社会に発信しています。多くは生活から出るプラスチックごみ。みんなの意識を変えることがきれいな海につながると啓発しています▼きょうからレジ袋が有料化されます。年間で300億枚以上が消費されるという日本。他にも容器やトレー、ペットボトル・・・。国民一人あたりのプラごみ廃棄量は米国に次ぐ世界2位です。削減に向けた一歩にしたいものですが、このコロナ禍で需要が増える逆風も▼人体や生物への影響、環境汚染の深刻さをみれば削減は待ったなしの課題です。このままでは、2050年には海洋プラごみが魚の量を上回るという専門家も。自分たちが捨てたごみを自分の口に入れているかもしれないと▼国民に負担させるだけでは解決しないでしょう。つくってから捨てるまで企業に責任をもたせる。大量生産、大量消費、大量廃棄から脱皮し、国は循環型社会への道筋をつける。その点でいえば、日本政府の対策は大きく立ち遅れています▼「つくる責任 つかう責任」。持続可能な世界をめざすために国連が掲げた目標の一つです。地球や社会のあり方が問われている時代。先の生徒の一人が述べていました。「身近な問題に無関心ではいけない」(2020・7・1) 【今日の出来事】1890年第1回衆議院総選挙 1944年戦後の国際経済秩…

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