ロシアの憲法改正 『東京新聞・筆洗』

謎の中にあって、謎に包まれた謎であると英首相チャーチルは、その国を評したという。ロシアである。政治指導者や体制はかわるが・時の権力の道理に反した振る舞いが、しばしばまかり通る。「アネクドート」と呼ばれる風刺小話の多くも、そのあたりから生み出されてきた▼最近、ネットで教わった一つはこうだ。二人の会話。「プーチンは大統領の座を手放すのだろうか」「もちろんだ」「いつ」「即位すればすぐにね」▼ロシアなら驚くことはないのかもしれないが、永世の権力者の”即位”に道を開くかのような改正が実現した。プーチン氏の大統領としての在職期間はこれで、ゼロに戻って勘定されることになり、再選に関する任期制限には、引っかからなくなるのだという▼最長で83歳、2036年まで続投できるようになった。権力の座にある長さは、スターリンを超えるかもしれないそうだ▼景気の後退や石油需要の鈍化のなかで、任期満了が近づく。衰える求心力を取り戻す狙いもあるらしい。長年の利権の構造を守りたい人がいるのだとは聞くが、全国投票で支持した人々の心情も、なかなかはかりがたい▼大統領選の際に知った小話。「大統領、いい知らせです。再選されました。悪い知らせもあります。誰もあなたに投票していなかった」あくまでジョークであるが、謎の国らしさが伝わる。(2020・7・3) 【今日の出来事】1979年にしドイツ、ナチスを含めた殺人犯の時効廃止

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