災害に対する認識改めなければ 『赤旗・潮流』

「人吉(ひとよし)・仲良し・こころ良し」。おだやかで大らかであたたか。熊本県の南端にある人吉・球磨の気質を称してこう呼びます▼深い山と谷に囲まれた山峡の地。隔たれた自然と、鎌倉時代から明治維新まで相良(さがら)一族700年の統治によって、独自の歴史や文化がはぐくまれたといいます。司馬遼太郎は『街道をゆく』のなかで「日本でもっとも豊かな隠れ里」と記しています▼文化庁の日本遺産にも認められたこの地で、人びとの心とくらしの礎になってきたのが球磨川です。その宝の川が、記録的な豪雨によって氾濫し、住民の命をうばい、町を一変させてしまいました▼もともと三大急流の一つに数えられ、たびたび洪水に見舞われてきた流域。球磨村では支流の近くにある特養老人ホームが水につかり、多くの高齢者が巻き込まれました。津波のように押し寄せ、施設内はすぐに身動きがとれなくなったという証言も▼数年前にも川沿いの高齢者施設が被災する事例がありましたが、早めに手を打つことはできなかったのか。いつ、だれが、何をするか。それを事前に定めた防災の行動計画をつくっていたそうですが、はたして機能していたのか。もとよりそれを上回る規模だったか。検証がまたれます▼大量の雨に襲われる時代。堤防などでは追いつかない現実もありあす。どこでも災害にたいする認識を改め、準備や避難の体制を整えておく。水とともに生きてきたこの国が率先してやるべきことです。痛ましい姿をくり返さないためにも。(2020・7・6) 【今日の出来事】1535トマス。モア斬首される 1944…

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