支配者のようにふるまう人間 『赤旗・潮流』

ぷぅーん、ちくり。刺されたところが赤く腫れて、かゆい、かゆい。ああ、いまいましい。私たちの血を吸う蚊はなんとも嫌な害虫。でもこんな話を聞けば・・・▼張りめぐらせた防御網を突破し、相手の隠れ家の奥深くまで侵入。気づかれないように巨大な体内にある目標物を奪う。そして、ふたたび忍者のように脱出し生還しなければならない。この困難な使命をなしとげるヒロインこそ、メスの蚊であるー▼蚊はメスだけが血を吸い、命がけの侵入と脱出は、すべてわが子のため。ふだんは花の蜜や植物の汁を吸ってくらす穏やかな昆虫。しかし産卵のためにたんぱく質が必要になり、人や動物の血を吸いにくるのだといいます。農学博士・稲垣栄洋(ひでひろ)さんのエッセー集『生き物の死にざま』で知りました▼土の中で何年間も過ごしながら子孫を残すために成虫となり、ひと夏の短い命を終えるセミ。メスに食われながらも交尾を続けるオスのカマキリ。危険を顧みず森と池の往復をくり返すヒキガエル・・・。命のバトンをつなぐ生死の営みは哀切と驚きに満ちています▼ひるがえって人間はどうか。今感染症や災害が世界にひろがるなかで無力感にさいなまれる人がいる一方で、これまでの生き方や社会のありようを変えようという新たな動きも▼まるで支配者のようにふるまう人間も自然の一部です。この地球上で営々と生命をつないできた仲間として、もっと謙虚であれ、と呼びかけられているようです。コロナ後の時代をどう生きるのかと。(2020・7・12) 【今日の出来事】1954年「人間ドック」始まる 1963年生…

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