将棋の歴史に新たな道 『赤旗・潮流』

将棋には天来の妙手と呼ばれる指し手があるらしい。誰もが予想できない、計算や理屈をこえた、ひらめき。天から降ってきたかと思われるほどの一手だと▼最年少でタイトルを得た藤井聡太・新棋聖の将棋にはそれがある。棋界のレジェンド、加藤一ニ三さんが『天才の考え方』でたたえています。渡辺明三冠に挑んだ今回の勝負のなかでもAI(人工知能)をしのぐ手を指したとして話題になりました▼いまや、この世界もAI世代が主流。藤井さんも研究のための将棋ソフトを使うそうですが、うのみにせず自分で考えて解釈しているといいます。トップ棋士を驚嘆させる読みの量やスピード、斬新で独創的な指し手。彼の姿に人間の秘めた可能性を感じる人は多い▼中学生プロになって以来、数々の最年少記録を更新。終盤の強さに比べ劣勢になることがあった序中盤も磨き、いまではまったくすきが見当たらないとライバルたちを嘆かせるほど成長は著しい▼研究熱心とともに感心するのが対局の態度です。誰よりも深く長く頭を下げ、負けを告げるときは潔く、勝っても相手への敬意を忘れない。棋聖となっても「より精進したい」と口にする謙虚さは、真摯(しんし)に将棋と向き合う表れなのかもしれません▼一夜明けた記者会見。まだあどけなさが残る笑顔で掲げた色紙には「探究」と書かれていました。あすは18歳の誕生日。将棋が好きでつねに研さんを怠らない。その情熱があるかぎり、長い将棋の歴史に新たな道が切り開けるはずです。{2020・7・18) 【今日の出来事】1925年ヒトラー『わが闘争』発表 1936年ス…

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