「インフォデミック」とは 『赤旗・潮流』

「インフォデミック」という言葉を知っていますか? インフォメーション(情報)とエピデミック(感染症の急速な流行)の混成語で、デマやうわさを含む大量の情報が拡散される状況を指します▼コロナ禍で、このインフォデミックが起きています。未知のウイルスへの恐怖と先の見えない不安から、新型コロナは中国の生物兵器だとする陰謀説や、虚偽の物資不足予測、お湯を飲めばウイルスは死ぬといった根拠のない予防法まで▼中でも特定の対象への誹謗中傷は深刻です。パチンコ店や、”夜の町”関連、在日外国人など日本社会で阻害されがちな人びとに感染源のレッテルを貼って排除し、つかの間の安心を得ようとする。治療に献身する医療従事者への差別に至っては、人道にもとる所業です▼アメリカの作家スーザン・ソンタグは、がん体験に基づく批評『隠喩としての病い』で、原因不明で治療法のない病ほど「堕落、退廃、汚染、無秩序、弱さ」と同一視され「悪の隠喩」となると指摘します。患者も「悪」として自己責任を追及され、病を生み出す社会の問題から人々の目をそらさせる、と▼ソンタクはまた、こうした病気感が「複雑なものを単純化する傾向を必ず助長し(略)自分は絶対正しいとする思い込みを誘い出してしまう」と延べ、「自粛警察」など相互監視が広がる日本の現状を予見しています▼情報に踊らされず真実を見極め、悪者探しをせず、私たちの誰もが感染する可能性があるという想像力を持ちたいものです。(2020・8・31)

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育鵬社版は各地で不採択 『赤旗・潮流』

侵略戦争を美化する育鵬社の教科書が登場したのは2011年。「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版教科書を引き継いでの発行でした。教職員、保護者、住民の反対にもかかわらず、各地の教育委員会が同社の教科書を採択。推進した勢力は、”祝賀会”を開きました▼台風のため荒天となった夜に開かれた、その会場に記者も足を運びました。当時、政権復帰前だった安倍晋三氏がこんなメッセージを寄せていました。「日本人の美徳と優れた資質を伝える教科書が今後4年間で25万名の子供たちの手に届くことになったことは、教育再生の基礎となるもの」▼安倍氏のいう「教育再生」とは戦前の「お国のために命を投げ出せ」という教育の復活です。育鵬社版採択には自民党が大きな役割を果たしていました。党本部が指示を出し、地方議員らが育鵬社版を採択させるため動きました▼こうした政治的介入のもとで15年の採択では育鵬社版教科書は中学歴史教科書の6・6%、公民教科書の5・8%を占めるに至ります▼それでも各地で育鵬社版を使わせない運動は続きました。学習会を開催し、街頭での宣伝で世論で世論に訴えました、教科書採択に現場の教員の声を反映させることを求めて教育委員会に要請。多くの人が教科書展示会に行って、教科書を見ながら意見を出しました▼今回、育鵬社版は各地で不採択。採択率は1%以下になりそうです。政治的な圧力で無理やり採択させてきた教科書が、安倍政治とともに破たんした形です・(2020・8・30) 【今日の出来事】1945年マッカーサー元帥、厚木飛行場に降り立つ…

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「歴史に刻まれる悪政の数々」 『赤旗・潮流』

13年前の自身の姿が重なったか。病気による突然の幕引き。しかし本人の無念とは相反し、あのときも政権はゆきずまり、国民からの信頼を失っていました▼「その職に何日間、在職したかではなくて、何を成し遂げたかが問われるだろう」。つい4日前、連続の在職日数が歴代で最長になったとき、安倍晋三首相は会見でそう述べていました。2012年の12月にふたたび首相の座に就いてから7年8カ月。「成し遂げた」こととは・・・▼戦後の歩みに逆行し、平和を脅かす数々の悪法を強行。憲法と暮らしを壊し、政治の私物化を横行させました。社会に差別や格差をひろげ、コロナ禍の対応でも迷走。国民の声に背を向け、強権をふるう姿勢が残したものは、最悪の名でした▼疲弊した世や生活を立て直すために求められているのは「アベ政治」からの脱却です。ところが後継者に挙げられている面々は、ほとんどがそれを支えてきた顔ぶればかり。それで国民の期待にこたえられるのか▼辞意表明を受け、次期首相選びが焦点に。改憲問題をはじめ、自分がやり残した課題は自民党として成し遂げていくと記者会見で強調した安倍首相。外見だけで中身変わらずでは、ますます見放されるだけです▼安倍政権に功績ががあるとすれば、悪政とのたたかいのなかで発展させてきた市民と野党の共闘です。自公政権に取って代わり、人びとが希望を抱ける新しい政治をつくる。その始まりとなった政権として歴史に刻まれる日がきっとくるでしょう。(2020・8・29) 【今日の出来事】1949年ソ連が初の原爆実験を行う

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「私には夢がある」キング牧師 『赤旗・潮流』

アメリカの黒人、ジョージ・フロイド氏が警察官の暴行で亡くなって3カ月余。23日には、警察官が丸腰の黒人を背後から銃撃する事件も▼「20世紀の問題は、皮膚の色による境界線(カラー・ライン)の問題である」。20世紀初頭にこう預言したのは、黒人社会の先駆的研究者、デュポイス博士です。奴隷解放宣言から40年後の1903年、黒人論の古典といわれる『黒人の魂』(岩波文庫)で書きました▼奴隷解放後の社会を初めて実証的に研究しました。黒人がいつまでも耐えていることはできない。身体の自由、労働し思索する自由が必要だと説きました。「カラー・ラインを超える知性と共感のの同盟によってのみ、正義と公正は勝利を得る」とのよびかけも▼黒人解放運動の先達でもあるデュポイスを敬愛していたのが公民権運動の指導者・キング牧師です。57年前のきょう28日、黒人の公民権を求めたワシントン大行進に。20万人以上が参加しました。「私には夢がある」と繰り返す演説で、平等な社会の実現をよびかけました▼「あなたはいつになったら満足するのか」と聞く人に演説でこう答えました。「黒人が警察の言語に絶する残虐行為の恐ろしい犠牲者である限りは、決して満足することはできない」▼翌64年に公民権法が成立したあとも、人種差別が続いています。カラー・ラインの課題は21世紀に持ち越されましたが、「黒人の命は大事だ」と立ち上がる白人や若者が増え、これまでにない連帯が広がっています。(2020・8・28) 【今日の出来事】1963年「ワシントン大行進」が行われ、キング牧…

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「太陽の子」と「煉瓦の記憶」『赤旗・潮流』

この夏、原爆についてこれまでとは違う角度から迫ったテレビ番組に注目しました。一つはNHKのドラマ「太陽の子」です▼日本で原爆開発の研究が進められていた実話にもとづく物語。研究に参加し苦悩する学生、戦死することにおびえる弟、幼なじみの女性は戦争が終わった将来に思いをはせていました。言論統制下の青春が決して一様ではなかったのです▼もう一つの番組は、ドキュメント2020「煉瓦(れんが)の記憶」。被爆建物である陸軍被服支廠の保存を願う切明(きりあけ)千枝子さん(90)の姿を追いました。日清戦争以来、軍服を製造・管理していた被服支廠。切明さんは学徒動員されていました▼そこへ原爆投下。関節炎で病院へ行く途中だったため命は助かりました。被服支廠は加害の歴史と被害の歴史の両方を語っている。切明さんの証言です▼「太陽の子」は、ディレクターが当事者の日記に出会ったことがきっかけで、十数年かけてドラマ化にこぎつけました。「煉瓦の記憶」の切明さんが自身のことを語る活動を初めたのは85歳になってから。憲法をめぐる政治の動きを危惧したと言います。「人の命は絶えるが、被服支廠は手を加えれば何百年も生きる」。切明さんが番組の最後に訴えます▼被爆・終戦から75年。悲惨な体験をどう語り継ぐかが重要な課題となっています。戦争を知らない世代が歳月をかけて伝えようとする試みがあり、一方では晩年になって戦争の真実を語ろうとする決意も。いずれも貴重な志に根ざしています。(2020・8・27) 【注】赤字部分は、貴重な提言です。私も残り少なく…

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今年の”こどもの本”総選挙 『赤旗・潮流』

散歩のコースの自然公園で親子が虫探しをしていました。かごにはセミやカマキリがいっぱい。なんでも夏休みの自由研究にするとか▼いつの時代も子どもたちの興味をひく、さまざまな虫の生態。それは、ふだん害虫でも益虫でもない「ただの虫」であっても同じです。あまり目立ちませんが、私たちの身近でくらす彼らは重要な役割を果たしています▼たとえば田んぼにいる「ただの虫」のユスリカが減ってしまうと、それをエサにするクモやカエルなども減ってしまう。稲の病気を媒介する虫の有力な天敵であるクモやカエルが有効に働くためにも彼らが必要というわけです▼岩波ジュニア新書の『博士の愛したジミな昆虫』は、いかにも多種多様な虫たちが共存しているかを教えてくれます。その自然の調和を、人間が崩している現実とともに。地球上には3000万種もの生きものが存在するといわれます。いまや生物の多様性は今世紀のキーワードのひとつです▼全国25万人の小学生が選んだ今年の「”こどもの本”総選挙」。2年連続で1位になったのは進化の家庭の不思議をおもしろく描いた『ざんねんないきもの事典』でした。小4男子の感想には「どの生き物も精一杯がんばっていきているんだなと改めて実感しました。失敗をくり返して今のようなすばらしいものがあると感動しました」▼生きとし生けるものをいとおしく思える。子どもたちの豊かな感性。それを育て伸ばすのはおとなの責任です。よき未来につなげるためにも。(2020・8・26) 【今日の出来事】1789年フランス人権宣言採択 1974年原子力船「む…

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”張り子の政権”の末路か 『赤旗・潮流』

まったくおそすぎた退陣、数えきれない在任中の悪政、歴史に残る罪業ー。これは1972年6月、自民党の佐藤栄作首相の退陣をうけ、本紙に掲載された各界の反応です▼当時、最長を誇った首相。しかし、政権の末路はみじめなものでした。米国のベトナム侵略に加担し軍事費を増強させながら、物価は上りつづけ生活を圧迫。公害が列島を覆い、国会では18回におよぶ強行採決で強権をふるいました▼ついに支持率は10%台まで落ち込み、総辞職の3日前には埼玉県で革新統一の候補が圧勝。沖縄につづいて全国5番目となる革新知事の誕生は積年の悪政にたいする国民の怒りの表れでありました▼その最長記録を安倍首相が抜きました。しかし7年8カ月をふりかえれば、大叔父でもある佐藤首相をこえる最悪の更新。政治の私物化、戦争させる国づくり、財界優先のくらし破壊。昨日付で本紙が特集したように、あらゆる分野で戦後のどの内閣もやってこなかった暴政の連続でした▼いま、富山のローカルテレビ局が自民党市議らの公金不正使用を迫ったドキュメンタリー映画が話題になっています。疑惑を突きつけられると最初は否定。追いつめられると謝罪や辞任をくり返す。みにくい姿とともに、政治や報道のあり方を投げかけます▼何のための政治か。国政の縮図のような映画の題名は「はりぼて」。見かけは立派ですが、中身が伴わないことの例えです。長きゆえに尊からず。見放された”張り子の政権”の末路か、(2020・8・25) 【今日の出来事】1894年北里柴三郎、ペスト菌発見 1944年パリ解放 1948年ア…

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「ワクチン投与の順位は・・・」 『東京新聞・筆洗』

井上ひさしさんが国立結核療養所でアルバイトしていた時、そこの所長さんがこんな質問をした。待合室に二人の患者がいる。一人は貧しい身なりで子どもを抱えた、お母さん。もう一人は金持ちでいかにも威張った人物。どちらを先に医者に案内するか▼井上さんは即座に「貧しい人です」。そう答えたくなるのは分かるが、所長さん、「君はだめだねえ」と行った。「病気の思い方を先に案内するんだよ」▼社会的地位も人柄も関係なく「思い方」を先に診察する。井上さんへの質問以上に複雑な難問かもしれない。新型コロナウイルスのワクチンができた場合の接種順位である。初期の段階で手に入るワクチンの量には限りがある▼政府の分科会は高齢者と基礎疾患のある人、医療関係者をまず優先的に接種させるべきだとの提言をまとめた。異論はない。重症化の危険が高い人と、治療によって感染リスクの高い医療従事者にまず接種してもらうのは当然で、命を落とすケースは最小限に抑えられるだろう▼問題はそれ以降の順番か。あくまでリスクの高い方を優先すべきであって、自分こそ社会に必要な存在などとあつかましいことを言う人間が出てこないことを願う▼感染症を描いた米映画の中にワクチン投与順をくじ引きで決める場面があったが、案外、恨みっこなしのやり方か。人の命に優先順位など付けられまい。(2020・8・23) 【追記】優先順位は「時と場所」によるだろう。野戦病院と平時の院内ではよほど違う。井上さんは人間としての基本姿勢を滲ませたからそう答えたのであろう。第一、病院にも行けない貧者はど…

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「半沢直樹の”倍返し”を楽しむ」『赤旗・潮流』

正しいことは正しいといえる。世の中の常識と組織の常識を一致させる。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。そういう信念をもって、たたかえ▼そんなことを会社の上司から面と向かっていわれたら、あなたはどうしますか? 現実には通用しない、青臭い理想論ー。心の中でそうつぶやく人もいるのでは。しかしいま、正論を堂々と訴える人物が世間の喝采を浴びています▼7年ぶりに帰ってきたドラマ「半沢直樹」です。今回の敵は企業買収の裏で暗躍する巨大銀行の陰謀、航空会社の再建に絡んだ国家権力の私欲。それを打ち砕いていく活躍ぶりと、決めせりふが熱い▼配役の歌舞伎役者たちの大仰な演技、顔を近づけての怒鳴り合い、男ばかりの舞台と、ツッコミどころは満載。なのに多くがひきつけられるのは、単なる勧善懲悪や復讐劇の痛快さにとどまらない姿を感じているからでしょう▼「当たり前のことができる会社や社会になってほしい」。寄せられるたくさんの声は自身の体験を交えながら正義が貫ける世をもとめています。不正や理不尽さがまかり通る現実を反映するかのように▼まじめに働く者や人間の誇りを描いてきた原作者の池井戸潤さんは以前本紙に語っていました。「救いをかかなければ、小説として存在する意味がない」。組織が腐れば、世の中も腐る。きみたちのたたかいは、この世界をきっとよりよくしてくれるはずだー。そんなエールを受け止めながら、半沢直樹の”倍返し”を楽しみたい。(2020・8・23) 【追記】久しぶりの「コロナ」抜きのコラムだ。「大仰な演技と怒鳴り合いのセリフ…

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「うそみたいな本当の話」って 『赤旗・潮流』

祭り大好き人間にとってはさみしい限りです。新型コロナの影響で次々の中止や縮小をよぎなくされているからです▼その祭りの多くが疫病退散を起源としていたことは、日本も疫病とのたたかいの歴史だったことを物語っています。京都の祇園祭もそうです▼八坂神社によると貞観11年(869年)、京の都をはじめ日本各地に疫病が流行し、平安京の広大な庭園だった神泉苑に当時の国の数66本の鉾を立てて災厄の除去を祈ったことがはじまりと伝えられています▼かつては祈るしかありませんでしたが、いまは科学の力と連帯で疫病を封じ込めようと日々懸命な努力がされています。新型コロナ対策をめぐり、その科学性に疑問が持たれる事態が大阪府で相次いでいます▼メディアがもてはやした吉村洋文知事の「大阪モデル」。ところが「黄信号」や「赤信号」の点灯基準を次々引き上げ。「結果を見てから基準を決める。科学でこれをすると信頼性が揺らぎます」(ノーベル賞受賞者の山中伸弥京大教授)、「府民の感染予防の観点から許容できない。(赤信号の基準も)現場の実態とかい離している」(大阪府医師会の茂松茂人会長)と苦言が▼「うそみたいな本当の話」と吉村知事がコロナに効くかのように、うがい薬を推奨。専門家からは科学的な根拠の不十分さが指摘されましたが、うがい薬が市場から消え、歯科治療に支障をきたす事態まで起きました。パフォーマンスではなく「本当の話」でしか撃退できません。(2020・8・22) 【注】吉村大阪府知事といえば、大阪維新の会所属。その教祖ともいえる橋本徹氏が、ブラジ…

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きょう「赤旗」2万5千号 『赤旗・潮流」

「まだ読み出して間もないのですが、とても社会の善しあしがわかり、楽しい」「読みはじめてから10日目。物の見方、考え方が一般紙とは違うので参考になり、平和や平等が一貫して紙面を光らせています」▼最近、本紙に寄せられた読者からの声です。日々紙面をつくり届ける私たちにとって、うれしいかぎりの励まし。コロナ禍のいま、新聞が待ち遠しくてたまらず、とってもいとおしく大切に思えるようになった、というお便りも▼「しんぶん赤旗」はきょう2万5千号の節目を迎えました。1928年2月1日の創刊から92年。その歩みは日本社会の進歩の歴史に重なります。日本共産党の機関紙として戦前の暗黒時代から国民が主人公、戦争反対をかかげ、弾圧によって発行ができない苦難もありました▼戦後は、平和や自由、民主主義をもとめる人びとを照らし、ともにたたかう共同の新聞としての役割を担ってきました。苦しいときにも、勇気や希望の灯がともる紙面をめざして▼ほんとうに困っているひとに寄り添った記事を書き続けたい、タブーなくジャーナリズムを追求できる場所ー。いま「赤旗」づくりの担い手を増やそうと若手記者が呼びかけています。自分も社会とかかわる仕事をしたかった、やりがいや生きがいを感じたかったと▼何かの役に立ちたい、少しでも世の中を変える力になりたい。そんな思いが託せ、生きる新聞でありたい。「人生の道しるべ」として、毎日届くのを楽しみにしている読者のためにも。(2020・8・21 【今日の出来事】1856年米国初代駐日総領事ハリス、下田に着任 1944年国…

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[「コロナ時代に少人数学級を」『赤旗・潮流』

「1クラス20人じゃなかったら今、死んでます・・・」。画面の向こうから、小学校教員がくりかえしました▼つい先日のオンライン学習会で、まず目に飛び込んだのは「教室空間のゆとり」でした。机と机の間はゆったり。ぐるぐる回って子どもに声をかけることができます。一人一人に気を配る時間も確保されるため、「まあ、20人ならいけるかな。やれることの幅も広がりました▼机が40個並ぶと、その間はわずか20㌢。「体を横向きにして歩くしかない」と嘆く教員。「ソーシャルディスタンスは、もちろん取れません。教育研究者有志が呼びかける「#コロナ時代に少人数学級を(署名)」に寄せられる訴えが、胸を締め付けます▼「そもそも教室は狭い」。ある小学校教員はこう言います。子ども机の横には、いろいろな持ち物もかかっている。なのに40個も並べるからすぐぶつかって、いざこざも起きやすいと。狭い部屋にぎゅうぎゅうに押し込められて長時間過ごす子どもたち。人数が少なければ「教室の空気も変わる」と▼「それに、子どもはあせらなくてよくなるんです」とも。プリントを配ったり集めたりするのもすぐ終わり、「早く!」とせかさなくて済むからです。子どものゆとりと教員のゆとりとの好循環が生まれ、日々の丁寧な対応につながっていくことでしょう▼せめて1日1回でいい。教員に声をかけてもらえたら。「私のことも、ちゃんと見てほしかった。そんな切なさをかかえた子どもが、一人でも少なくなりますように。(2020・8・20) 【今日の出来事】1945年灯火管制解除 1968年チェ…

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猛暑、酷暑、激暑、炎暑、極暑 『赤旗・潮流』

とにかく暑すぎる。猛暑、酷暑、激暑、炎暑、極暑。ほかにも暑熱や炎熱など、度合いを示す言葉はたくさんありますが、どれもピンとこないほど。最近では炎暑なる言葉も表れています▼人間はほぼ一定の体温を維持できる恒温動物です。体内でつくる熱を放散させる機能がありますが、気温が高くなればなるほど放熱が進まず、体に熱がこもりやすい。そうなると、熱中症になる危険も高まります▼おととい浜松市で国内の最高気温に並ぶ41・1度を観測しました。2層の高気圧にフェーン現象も加わったため急上昇したといいます。これで1933年の山形市を除けば、歴代トップテンはすべて2000年代に入ってからの記録になりました▼近年は列島の各地で最高気温が更新され、平均気温も上がっています。専門家は「地球温暖化も無関係ではない」と。日本だけでなく、外伝によると米デスバレーでは16日に54・4度を観測しました▼いまや温暖化の影響は至る所で。グリーンランドでは氷床の融解が戻れないところまできてしまったと国際研究グループが発表しました。海への重油流出もそうですが、膨大な年月を重ねて自然がつくり上げたものをあっさりと壊してしまう。なんという、人間の傲慢さ、愚かさか▼それにしても、ウイルス感染、災害、暑さと、つらいことばかりで気もめいる日々。いまさらながら、生きがいや人生の意義をもつことの大切さが身にしみます。よりよい社会つくる力が、人間にはあることを信じて。(2020・8・19) 【今日の出来事】1934年ヒトラー、国家元首に 1948年東宝争議の仮処…

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「モーリシャスの回復を」 『赤旗・潮流』

神はモーリシャスというパラダイスをつくり、それをまねて天国をつくったー。『トム・ソーヤの冒険』の著者、マーク・トウェインはかつてこの島を訪れたとき、こう語ったと▼インド洋のアフリカ寄りに浮かび、美しく透き通った海に囲まれた東京都ほどの島。以前は『不思議な国のアリス』にもでてくるドードー鳥が生息していたほど多様な生き物に富み、自然保護や環境保全に力を入れています▼世界屈指のリゾート地として知られる「楽園」が黒く汚されました。沖合で座礁し、大量の重油を流出させた日本企業の貨物船によって。希少生物が数多い保護区の近くで、サンゴやマングローブ林をはじめ生態系への影響は計り知れません▼油まみれになりながら、流れ着いた重油を手作業で取り除く地元の人たちやボランティアの必死な姿。マスクや手袋が不足し、体調を崩す人も続出しているといい、健康面も心配されます▼先月25日に座礁し、モーリシャス政府が環境上の緊急事態を宣言したのは今月7日。現地では対応の遅さが批判されていますが、日本の専門家チーム6人が派遣され活動を開始したのは、事故から半月以上もたった後でした▼コロナ下での制限はあるとはいえ,物心両面からの早く手厚い支援はできないのか。観光業が落ち込む最中に追い打ちをかける環境破壊。住民は不安を募らせています。事故の深刻さに世界が衝撃を受けているなか、日本政府はひとごとのような姿勢を改め、回復に力を尽くすべきです。(2020・8・18) 【今日の出来事】1945年皇帝溥儀退位、「満州国」消滅

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「核廃絶へ決意を新たに」 『赤旗・潮流』

被爆75年、”原爆投下は必要だった”という神話がまたぞろ出るかと思いきや、そうでもない。”不必要で誤りだった”という声を主要メディアが取り上げているーオンライン集会での米国の活動家の話です▼一例がスーザン・サザード氏のワシントン・ポスト紙への寄稿です。故谷口稜曄(すみてる)さんら5人の被爆者の人生をまとめた『ナガサキ』を著したノンフィクション作家です。日本の降伏が確実視されていたこと、米政府が意図的に必要論を流したことを指摘しました▼読みての心にぐっと迫る寄稿です。遺体が黒焦げで制服の名札しか弟を確認できなかった少女。髪が抜け熱にうなされ亡くなる少年。被爆者に徹底的に寄り添った寄稿は、必要論に立つなら「将来において核兵器の使用を黙認することになる」と強調しました▼ロサンゼルス・タイムズ紙も原爆投下は不要だったと大統領らが知っていたとする歴史加の寄稿を掲載。世論調査では原爆投下について「許されない」と考える若者が目立ちます。原爆をめぐる認識に潮目の変化がうかがえます▼背景にあるのは被爆者の訴えです。それは世界の市民を奮い立たせた外交官の心を揺さぶり、核兵器禁止条約を生み出しました。いま世界最大の核保有国の中で変化を加速させています▼「核兵器がなくなるまで、被爆者はたたかいをやめない」。谷口さんが亡くなる直前、病室から発したメッセージです。被爆から75年、改めて被爆者の言葉を胸に刻み、核廃絶へ決意を新たにする時です。(2020・8・16)ー8・17日に記す。 【今日の出来事】1945年インドネシア独…

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渡哲也さんが亡くなった 『東京新聞・筆洗』

 その新人俳優は同じせりふで何度もつっかえる。六回ほど取り直したがうまくいかない。結局、その日は撮影終了となり、翌日に持ち越してしまう。「みなさん すみませんでした」。いたたまれなかっただろう▼その新人がスターになるまで時間はさほどかからなかった。そして長く輝き続けた。俳優の渡哲也さんが亡くなった。七十八歳▼映画「東京流れ者」(1966年)「仁義の墓場」(75年)に熱狂した人もいるだろう。テレビドラマの「大都会」の黒岩刑事を思い出す世代もあるか。冒頭の逸話は宍戸錠さんがみた渡さんの新人時代である▼アクションも得意とした俳優だが、病やけがに悩まされた。NHL大河ドラマ「勝海舟」は途中降板。映画「仁義なき戦い」の広能役は当初、菅原文太さんではなく、渡さんで検討されたと聞くが病がそれを阻んだ▼この人が演じたアウトローを色でたとえるならと想像してみる。健さんは青か。文太はほとばしるような赤だろう。渡哲也は複雑な灰色かもしれぬと「東京流れ者」の破滅的な主人公に思う。判然としない不安定な色だが、ほんの一滴、別の色をたらせばまたたく間に変化する。激情を隠した灰色。そういう生々しい役柄に持ち味が生き、それが高度成長期の影の部分にも似合った▼様子のいい二枚目だった。近ごろ、ああいう甘くない二枚目俳優を見ない。(2020・8・16) 【今日の出来事】1949年ロスアンゼルスの全米水泳大会で古橋広之進、水泳1500、800、400メートル自由形で世界新記録 【注】彼の唯一のヒット曲「くちなしの花」は、学徒出陣で19…

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八月十五日と絵本作家 『赤旗・潮流』

「くらやみの空に、死んだ人たちの どうしようもないくやしさがただよっていた。かけがえのない人を うばわれた悲しみが 涙になってふっていた」▼今年6月、89歳で亡くなった絵本作家の田畑精一さん。軍国少年だった自身の体験を『さくら』と題する絵本を描いています。そこには日本の被害にふれながらこんな思いも。「戦争はおわった。おおぜいの人が死んだ。それより、もっともっと おおぜいの人を、ぼくたちの国は ころした」▼子どもの本・九条の会の呼びかけ人だった田端さんは、日中韓の平和絵本の刊行にもつくしました。3カ国の絵本作家たちが協力してつくるシリーズは歴史をみつめあい、互いをわかりあう大切さを子どもたちに届けました▼終戦の8月15日。韓国では光復節と呼びます。日本に植民地支配や侵略された国ぐににとって、それは暗黒から光が戻った喜びの日でもありました▼戦後から75年。いまだにナチスの戦争犯罪を裁き続けるドイツでは大統領が訴えています。「解放の過程に終わりはなく、私たちはみずからを解放しなければならない」。いま世界を見れば、コロナ危機のなかで過去の過ちや体制を見直し、新たな社会を模索する動きが大きく▼平和絵本にある『へいわって どんなこと?』(浜田桂子)は、今と未来にむけて呼びかけます。「へいわって ぼくがうまれてよかったっていうこと きみがうまれてよかったっていうこと・そしてね、きみとぼくは ともだちになれるっていうこと」(2020・8・15) 【今日の出来事】1945年太平洋戦争集結(昭和天皇の玉音放送) 1…

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植民地支配への反省の欠如 『赤旗・潮流』

「あれだけ人を何百万人も殺して日本中を廃墟にした。その連中の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」。終戦の日を前にNHKスペシアルで語ったのは、読売新聞グループトップの渡辺恒雄氏です▼番組で渡辺氏は9条改憲の持論は封印し、学徒出陣の戦中派として軍国主義が嫌いだと強調していました。深く付き合ってきたという”大物政治家”たちの意外な一面も証言。戦争を体験した歴代首相には、日本が起こした戦争への反省があったといいます▼ただ、94歳になる渡辺氏のような戦中派の反省には、えてして盲点も。同世代の鶴見俊輔さんはそこを批判していました。彼らの「平和への願望」には「平和であった時代にさえも日本が朝鮮、台湾、中国にたいして続けてきた不当な支配についての自覚と反省が見られない」と▼植民地支配への反省の欠如は戦中派だけでなく、戦後の自民党政治でも続いていました。いま日韓関係の最大のトゲである徴用工問題も根は同じところに▼作家の平野啓一郎さんは賠償を命じた韓国大法院の判決を読んで、こうつづっています。元徴用工たちの人生は「悲惨としか言いようがない」「やはりこの人たちを足蹴にするようなことをしてはいけない」(『中央公論』4月号)。政府はこうした素直な反省になぜ立てないのか▼鶴見さんは、単なる現状維持の平和ではなく、強者の支配と不公平を正す「動的な平和観」が必要だと説きました。戦後75年に改めてかみしめたい言葉です。(2020・8・14) 【今日の出来事】1945年日本、ポツダム宣言受諾 【追記】今日の「赤旗」。読…

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これで「被爆者に寄り添う」? 『赤旗・潮流』

ばかにしている、何のために来たのか。被爆者たちを中心に怒りの声がひろがりました。広島、長崎の平和式典に出席した安倍首相のあいさつに▼ほとんど同じ文言、唯一の戦争被爆国の首相にもかかわらず、思い入れも訴える中身もない。ただ作文を読みあげる心ない言葉の羅列は被爆地を傷つけるだけです。過去にも使い回しやコピペが指摘されてきましたが、これでよく「被爆者に寄り添う」などといえたものです▼首相のこうした姿勢は政権全体にも及んでいます。「黒い雨」の被害をうけて裁判をおこした人たちの願いに反し、国が控訴しました。「十分な科学的知見に基づいたとはいえない」と。一審の広島地裁では原告84人を被爆者として認めていました▼2週間前の判決に歓喜の声をあげ、平和式典でも全員勝利の喜びをかみしめる高齢の被爆者の姿がありました。それを失望に変えた国に対し、原告らは「高齢化が進む黒い雨を浴びた人たちの思いをふみにじるものだ」と厳しく批判しました▼原爆直後の不十分な調査のまま、対象区域を狭め、線引してきた国。どれだけ健康被害を訴え続けても長年放置してきた怠慢を棚上げし、「科学的知見」を口実にもちだすとは▼原爆や戦争、今のコロナ危機。この国の根本にかかわる問題について、何も語るべきものがない首相や政権。そこは国民が動かすしかありません。すべての「黒い雨」被爆者が救済されるまで全力でたたかい抜く。原告や弁護団が改めて決意を示したように。(2020・8・13) 【今日の出来事】1961年東ドイツ、「ベルリンの壁」をつくる 1999年「国…

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命をかけてたたかう人々 『赤旗・潮流』

スポーツや俳句などで親交を深め、仕事を分け合う。そんな活動をしていただけで逮捕され、獄中で拷問をうけた。あるいは、絵を描き、レコードを聴くことも罪に問われた▼「なぜこんな理由で捕まるのかという事例が次々に出てくる」。戦前日本の治安維持法で検挙された人たちの記録をまとめた西田義信さんはいいます。言論や表現、集会や結社。いまでは憲法で保障された、あらゆる自由が取り締まりの対象になったことが記録からもうかがえます▼国や政治を批判し、現状を変えようとする市民や運動は犯罪者、犯罪集団。どんな口実を使ってでも捕まえろー。狂気の弾圧の後ろ盾となった治安維持法がいま、香港で猛威をふるっています▼民主化運動を象徴する周庭さんや、中国に批判的な香港紙を創刊した黎智英(れいちえい)さんらを相次いで逮捕した香港警察。中国政府から押しつけられた国家安全維持法に反したと。影響ある活動家を拘束することで運動を沈め、人権を抑圧する狙いです▼この法のもとでとんでもない恐怖感が今の香港にはある。そういって収監の可能性に言及していた周庭さん。「でも私にとって香港の民主運動に参加することは光栄だと思います」と。日本や世界に支援を呼びかけていました▼なりふり構わぬ大国の暴圧に抗する。あの暗黒の時代、私たちの党をはじめ、いまや当たり前の戦争反対や民主主義を求めて迫害された先人たち。時をこえ、命をかけてたたかう人びとに通じる思い、それは、未来への希望です。(2020・8・12) 【今日の出来事】1953年ソ連が初の水爆実験を行う 1978年…

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「平和の尊さとスポーツ」 『赤旗・潮流』

ほんらいであれば、悲喜こもごもの余韻に浸っていた頃か。9日に閉幕するはずだった東京五輪。コロナ禍で来年に延期されたこの夏を、選手たちはどんな思いで過ごしているのだろうか▼「成長できる1年をもらった」とは卓球女子の伊藤美誠(みま)さん。19歳のエースのように伸び盛りの若手は前向きにうけとめる選手が多い。一方で、今年にかけてきたベテランには延期はつらく、引退する選手も。あと1年か、もう1年か。心中は複雑でしょう▼最高の晴れ舞台で世界のライバルと力と技を競い合う。その夢が遠のき、ついえたときの絶望は過去にもありました。日本が戦争に突き進み中止となった1940年の東京五輪。旧ソ連のアフガン侵攻によって西側諸国がボイコットした80年のモスクワ五輪です▼とくにあの戦争の時代、選手たちは五輪やスポーツを奪われただけでなく、燃やした若い命を戦場で落としました。NHKが番組や本にした『幻のオリンピック』では、わかっただけでもン日本の戦没オリンピアンは37人に▼競泳の選手だった児島泰彦さんもその一人。最年少の17歳で出場した36年ベルリン五輪の100㍍背泳ぎで6位入賞。東京でも活躍が期待されていました。しかし沖縄戦で死亡、遺品の写真には自身の水泳姿が。どんなに生きて帰って、また泳ぎたかったか▼戦争や政治、そしてウイルス。さまざまな試練に直面し、ほんろうされてきた選手たちの自問は私たちにも問いかけます。スポーツの意義とは、平和の尊さとは。(2020・8・11) 【今日の出来事】1919年ドイツ、ワイマール憲法公布

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「語り継ぎ、歌い続ける限り」 『赤旗・潮流』

世界遺産に指定された潜伏キリシタン関連遺産がある長崎。75年前の9日、浦上天主堂が、無残に原爆で破壊されました▼ローマ教皇は昨年、爆心地公園で演説しました。「ここは核攻撃が人道上も環境上も破滅的な結末をもたらすことの証人である町です」▼田上富久長崎市長は、平和宣言で「核兵器から解放された平和な世界を実現するためには、すべての人の参加が必要」との教皇の言葉を引きながら、「平和のために私たちが参加する方法は無数にあります」と呼びかけました▼長崎市被爆75年周年記念事業として写真集『長崎の証言~増補改訂版』が復刊されました。日本リアリズム写真集団長崎支部に属する10人のカメラマンが1970年、ある時は非情に、ある時は被爆者と泣きながら”被爆者がどう生きたか”撮影したもの。福田須磨子さんは「鏡を見るのが一日でいちばん辛い瞬間」と語り、1955年頃から脱毛症状や皮膚疾患が現れ、体調の変調をきたしました▼お化けのような顔していても/どんなに疲れきっていても/『原水爆禁止』の/話をしなけりゃと思うのだ」と訴えた福田さん。写真集に写っている被爆者は「みんな一度亡くなりました。しかし『核廃絶』『世界に平和を』という遺志をしっかり受けつぎ、語りつぎ歌い続ける限り、二度と死ぬことはありません」と▼核兵器禁止条約の批准国が43に増え、発効間近に。国際的な流れと結び、だれもが参加して、「核兵器のない世界」へ前進を誓った日でした。(2020・8・10) 【今日の出来事】1944年グアムの日本軍守備隊全滅 1950年警察予備…

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[「コロナとの共生だって!」『赤旗・潮流』

小学生の頃。友だちと自転車をこいで、小さな冒険に出かけた夏休み。おとな抜きで初めて遠出した見知らぬ街で泊まった思い出は、いまも記憶のアルバムの中に大切にしまわれています▼心に残る人それぞれの特別な夏。今年もお盆休みに入りましたが、キャンペーンの効果もなく、空も陸も帰省や旅行にむかう家族連れの姿は少ない。これだけコロナの市中感染がひろがっては帰りたくても帰れないのが現状です▼「この夏は『特別な夏』」。わざわざ会見を開き、そんなスローガンを付けて帰省や旅行を控えてと呼びかけた小池都知事。これには、何のCM? 青春か良さげな雰囲気をだしてどうする、といった声も。いまのつらい状況がわかっているのかと▼大阪では吉村府知事と松井市長が共同で会見して、うがい薬がコロナウイルスに効くと強調。「うそのような本当の話」「コロナに打ち勝てるのではないか」とあおりました。科学的な根拠も十分な検証もなく、混乱を招いた責任はとても重い▼コロナ禍に耐える人びとの心情に思いを寄せず、言葉も態度もうわべだけの行政の長。久しぶりに会見した安倍首相も能天気に。「ウイズコロナの時代の安全で安心な新しい旅のスタイルを普及・定着させていきたい」▼いまは感染拡大を抑え込むための正念場。集中的な検査や医療体制をはじめ、政治がとりくむべき課題は山のように。為政者がやるべきことをやらず、コロナとの共生を口にする。彼らの無謀から命を守る夏でもあります。(2020・8・9) 【今日の出来事】1936年ベルリン五輪で孫基偵、マラソンで金メダル 1945…

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外山滋比古さん亡くなる 『東京新聞・筆洗』

あるとき、<オカイコさんを見倣って生きていこう>と、心に決めたそうだ。蚕は桑の葉を旺盛に食べて純白の糸を吐く。<秀才といわれた人が、すこし赤い本をを読むと、赤いことばを吐く。黒い本を読めば、吐く糸は黒である・・・色のついたものは、ひととき美しく思えても、やがて色あせる>(「三河の風」)▼博学、博識にして、色あせない言葉を紡ぎ続けた外山滋比古さんである。ベストセラー『思考の整理学』の著者として知られる人が九十六歳で亡くなった▼日米開戦前、白眼視もされつつ敵の言葉だった英語を学ぶ道に進んだ。戦後は一転、英語や西洋文化がもてはやされる。敵視や礼賛の一色に染まらず、旺盛に学び独自の思索を深めている▼アイデアを形にするには<頭の中の醸造所で、時間をかける・・・しばらく忘れるのである。”見つめる鍋は煮えない”>・・・など。近代の思考に漬った頭を刺激してはなるほどとうなずかせる論考の数々。『思考の整理学』や随筆で、晩年まで人を魅了した▼三河地方は愛知県寺津町、現在の西尾市に生まれた。家康を生んだ地方には、明治政府に冷遇された意識が残っていた。大きなものに頼らず、くみしない気風「三河の風」に吹かれてきたと自認する▼老境について、この先の世の中について、風にたなびく白い絹のような新鮮で色あせない言葉をもう少し聴きたかった。(2020・8・8) 【今日の出来事】1945年ソ連、対日宣戦布告 1955年第一回原水爆禁止世界大会宣言を発表

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「75年は草木も生えぬ」 『赤旗・潮流』

「75年は草木も生えぬ」。原爆によって破壊尽くされた広島の街はいま、緑豊かな中核都市として発展しています▼軍都から平和都市へ。その歩みには、先人たちの思いが込められています。廃墟のあとを生きた人びとがつむいできた声。近刊『広島復興の戦後史』にも、歴史を動かしてきた生活者の叫びが描かれています。「復興の中の矛盾をよみとくヒントがある」▼それはいまも、世界最大級の被爆建物。旧陸軍被覆支廠を始めとする遺構。追悼碑や供木が立ち並ぶ平和大通り。その保存やあり方を見直す計画が進められようとしています。被爆者や平和を願う人たちがこうした街づくりに危機感を募らせる背景には核廃絶に向けた日本政府の怠慢があります▼ことしの平和宣言。核兵器禁止条約の締結を改めて政府に求めた広島市長にたいし、安倍首相はまたも触れず。被爆75年の節目にもかかわらず、唯一の戦争被爆国として何も具体的な道筋を示しませんでした▼いまや平均年齢が83歳をこえる被爆者。切実な願いである核なき世界に向け、いっこうに国はふみださない。しかも、いまだに黒い雨裁判のように差別され苦しめられている現実。そのことへの怒りや悲しみが傷ついた心と体を突き動かしています▼自国だけの平和はありえない。平和宣言は国際的な連帯を訴えました。米国の若い世代に聞いたNHKの調査では。およそ7割が核兵器は必要ないと。世界のかけ橋となる被爆地の声に一刻も早く。人類の未来のために。(2020・8・7) 【今日の出来事】1942年連合軍、ガタヌカナルに上陸 1998年ケニア、タンザ…

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広島[「まるで地獄じゃ きょう8月6日」 『東京新聞・筆洗』

終戦後も、使われたはずである。「慰霊」の「霊」は旧漢字の「靈」と難しい。器をかたどっているらしいが、見れば、横一列に並ぶ「口」がある。慰霊に望む時、人は今この世にいない人びとが発する言葉に、耳を済ませるものかもしれない▼きょうは広島原爆忌。午前八時十五分の投下から。「草木も生えない」と言われた七十五年の月日がたって、迎える慰霊の日である▼・・・<ピカは人が落とさにゃ落ちてこん>。耳に響いてくる言葉があるとすれば、「原爆の図」の画家丸木位里さんの母スマさんの嘆きもその一つだろうか、<まるで地獄じゃ・・・鬼の姿が見えぬから、この世の事とわ思うたが>などの言葉とともに書き留められ語り継がれる▼人が落とす恐れが、この歳月にしてなお消えていない核兵器である。手を合わせながら七十五年の人の営みを問うなら、心にはさらにどんな言葉が返ってこよう▼史上初の核実験から七十五年を迎え、トランプ米大統領は先日、実験を「素晴らしい偉業」と語ったそうだ。地球上にいまだ1万発以上の核弾頭があって、保有国の米中は緊張の渦中にある。核兵器禁止条約は日本が参加せず、発効もしていない▼<しずかにみみを済ませ/何かが近づいてきはしないか・・・午前八時十五分は/毎朝やってくる>生誕百年を迎えた詩人石垣りんさんの『挨拶』。聴くべきものが多い慰霊の日だろう。(2020・8・5)東京新聞 【今日の出来事】1945年広島原爆投下

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「猛暑とマスク着用のあり方」 『赤旗・潮流』

長かった梅雨も明けすっかり猛暑の季節に。そこで問題になるのが、マスク着用のあり方です。新型コロナウイルス感染防止に重要な役割を果たす一方、熱中症のリスクがあるからです▼全国の多くの学校で夏休みが短縮され、8月も登校が続いています。炎天下で顔を真っ赤にしながら、けなげにマスクを着用している姿を見ると、心配でなりません▼マスクで口元の温度が3度上昇するという指摘もあります。子どもたちにルールを一律に押し付けるもではなく、せめて登下校時、苦しいときは外してもいいなど、柔軟な対応はできないものか▼論争にもなったのが、ランニング時のマスク着用の是非です。マスクや「バフ」と呼ばれる筒状の布をまとったランナーの姿をよくみかけますが、日本臨床スポーツ医学会などは7月1日、屋外での運動時のマスクは熱中症や呼吸不全のリスクが高く「推奨しない」との声明を出しています。その上で、信号待ちなどで2㍍以上の社会的距離を求めています▼各地で再開されている小規模のスポーツイベントでも、、開始までは参加者にマスク着用を促し、開始後は任意という対応をとっているケースが多いようです▼とはいえ、これだけ市中感染、経路不明の感染が広がってしまえば「マスクを外して大丈夫加」と不安になるのは当然です。熱中症予防の観点からマスク着用で柔軟な対応を可能にするためにも、どこでどう感染が広がってるかを明らかにするためのPCR検査体制の拡大は急務です。(2020・8・5) 【今日の出来事】1963年部分的核実験停止条約調印 1968年那覇港でコバルト…

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「こんどはワーケーションだって」 『赤旗・潮流』

仕事中毒を意味するワーカーホリックという言葉がひろまったのはいつ頃か。仕事(work)とアルコール依存症(alcoholic)の合成語ですが、あてはまる人は世の中にたくさんいました▼休憩時間を削る、休日のすごし方がわからない、プライベートに仕事をもちこむ、披露がたまってる・・・。昔から滅私奉公が強いられてきた日本では何よりも仕事優先になりやすい。経済的な利益を追い求める動物のような姿は欧米からエコノミックアニマルとやゆされたことも▼いまコロナ禍のなかで政府が新しい働き方を盛んに打ち出しています。テレワークに続き、こんどはワーケーション。仕事に休暇を意味するバケーションを合わせたもの。普及にとりくむという菅官房長官は余暇を楽しみながら働こうと▼これにはSNSでもこんな声があふれています。旅行先でも仕事をしろというのか。これは余暇ではない。「Go To トラベル」といい、この政権から出てくる横文字は無策を覆い隠す怪しげなものばかりです▼巨額を注いで出かけることを促しながら、一方で担当大臣がテレワークやお盆の帰省に注意を呼びかけるちぐはぐさ。感染拡大を抑えるための基本方針さえ定まらない体たらくをさらけ出しています▼そんなにワークを使いたいなら、国際的に提唱され促進されているディーセントワークがあるのに。人間らしい労働です。コロナ体験から、まともな働き方に今こそ変える。安倍首相には思いつきもしないでしょうが・・・。(2020・8・4) 【今日の出来事】1944年アンネ・フランク連行される。

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「長生きを喜べる社会を」『赤旗・潮流』

介護とはなんぞや。大まかなとらえ方が日本で明確なったのは半世紀ほど前。たとえば、老年介護や認知症ケアの先駆者といわれる中島紀恵子さんはこんな定義づけをしています▼健康や障害の程度を問わず、衣食住の便宜さに関心をむけ、その人が普通に獲得してきた生活の技法に注目し、身のまわりを整えるうえで支障があれば「介護する」という独自の方法でそれを補い支援する活動である(『介護福祉』)▼その人自身が人間として人生でなそうとしていることを病気や障害、老いのために無に帰すことのないよう、補い助ける。日々それを実践する人たちの工夫や労苦を思うと頭が下がります▼現場の萎縮を払拭してくれたー。長野県の特養「あずみの里」をめぐる裁判で出された高裁の逆転無罪。おやつにドーナツを出して入所者を窒息死に至らせたとして起訴された準看護師が一審で有罪にになったことは全国の介護現場に衝撃と混乱をひろげました▼慢性的な人で不足で余裕のない体制。それを傍観し、不要不急なことに財源を注ぐ国。そのうえ、実態を見ずに罪に問われたら・・・。”とてもやってられない”と声をあげるのも当然でしょう▼介護保険制度が始まってから20年。その歩みは値上げとサービス制限、人材確保策の失敗だったと、高齢社会をよくする女性の会の樋口恵子さんは指摘しています。平均寿命が毎年延びる今日。保険あって介護なしといわれる現状の打開は待ったなし。長生きを喜べる社会をつくるためにも・(2020・8・3) 【今日の出来事】1977年原水禁統一世界大会、14年ぶりに開催

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第61回公主嶺会の中止について

本格的な夏となりましたが、皆様にはご清祥のこととお喜び申し上げます。日本各地を襲った7月の豪雨の被害はいかがでしたか。お見舞い申しあげます。 また、1月末からの新型コロナウイルス感染症の蔓延は皆様ご存知の通りで、東京では、多数の感染者のことが報告される毎日です。  さて、例年のように10月に公主嶺会(現・中国東北部)を開き、皆様にお目にかかりたいと楽しみにしておりましたが、高齢者が集まるこの会は、大変残念ですが、見送るほうが良いと思うに至りました。  ワクチン接種が行き渡り、思う存分にお話ができる日が来るまで、お元気でお過ごしくださいますように、お祈り申し上げます。  2020年7月 [公主嶺会世話人」天笠幸雄、宮崎 迪、渡辺令子 土屋洸子(☎042-410-3855)田村 優(上野ターミナルホテル公主嶺会事務局担当 (☎03-3831-1110) 

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ダンマリを決め込む安倍首相 『赤旗・潮流』

帰るべきか、帰らざるべきか。新型コロナウイルス感染の急拡大に、振り子のように揺れています。母、85歳。故郷で一人暮らし。留守番電話には、東京にいるわが子を案じる声が残されていました▼お盆前に、同じように悩んでいる人はいるのではないでしょうか。自分が無症状の感染者かもしれない、という不安をぬぐうのは、PCR検査にほかなりません。せめて自分の住む自治体の陽性率のデータがほしい。切実にそう願います▼そんな中、「世界で159位」という数字に衝撃を受けました。共産党の志位和夫委員長が安倍晋三首相宛ての緊急申し入れで示した「日本のPCR検査の人口比での実施数」(7月28日現在)です。1日現在の最新データで157位に上がったとはいえ、世界第3位の経済力をもつ国の数字とは、とても思えません▼東京都医師会の会見では、SNSに「国の無策の中、感染者が増えるのは我慢できない」と投稿した尾崎治夫会長が、「ぜひ国会を開いて議論していただきたい」と語気を強めました。ここでも訴えるのは、PCR検査の拡充です▼尾崎会長は本紙日曜版8月2日号にも登場。流行地域全体でPCR検査を行い、補償と一体の休業要請に踏み切ることを主張します。「経済効率優先では医療を担う人を育てることはできません。やはり新自由主義」ではダメです」とも▼この緊急時に国会を開かず、記者会見もせず、ダンマリを決め込む安倍首相。いつまで”巣ごもり”を続けるつもりなのでしょうか。(2020・8・2) 【今日の出来事】1939年アインシュタイン、ルーズベルトに核兵器かい…

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「戦後75年の8月です」『赤旗・潮流』

亡くなる3カ月前。俳優の高倉健さんは自宅で、ある朗読の収録に望みました。「日本が戦争に負けたらしい」。14歳のとき、ふるさとの福岡でむかえた終戦ん日の記憶です▼戦争体験者として味わった「人生が変わる一瞬」を伝え残したい。そんな思いに突き動かされたといいます。いま東京・国立駅の旧舎で著名人の8月15日を文や絵、本人の肉声から感じられる展示会が開かれています。さまざまな感覚で戦争を受けとめるきっかけになってほしいと▼いまや、子どもたちの祖父母も多くは戦後生まれ。身近な人から戦争の体験を聞く機会がほとんどない世代にどうやって知ってもらうか。平和をつないできた人びとにとっても大きな課題になっています▼終戦の年に生まれ、長く戦争や原爆の詩を朗読してきた吉永小百合さんも危機感を抱いているひとり。先日テレビで語っていました。いつまでも戦後を続けるためには戦争は絶対やめようという意識をおとなも子どもも持たなければ。平和は願ってくるものではない。みんなでつくらないといけない▼人の命や日常が理不尽に奪われていく恐ろしさ。日々の生活や教育に戦争がどう組み込まれていったか。当時の実物資料が物語る企画展も練馬区のふるさと文化館で催されています。自分と重ね、失われたものを想像できるように▼世界がつながり、コロナ禍や災害によって日常が変化し、他者の命を感じあう時代。ともに生きる社会への転換のなかでむかえる、戦後75年の8月です。(2020・8・1) 【今日の出来事】1894年、日本、清国に宣戦布告 1943年朝鮮に徴兵制をし…

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