「ブラック・ライブズ・マター」 『赤旗・潮流』

彼らの抗議の代償は大きなものでした。オリンピックの場から追放され、帰国後も職場を首に。家族への脅迫も相次ぎ、ついには妻が自殺に追い込まれる悲劇さえも・・・▼1968年メキシコ五輪・陸上男子200㍍の表彰式。米国の黒人選手2人が黒い手袋をつけたこぶしを高々と突き上げました。黒人への差別や暴力をが横行し、五輪の半年前にはキング牧師が暗殺される。それに対する無言の抗議でした▼それから半年余。人種差別の犠牲者を刻んだ7枚のマスクとともに、テニスの全米オープンで大坂なおみ選手が2度目の優勝をなしとげました。重圧のなか「自分の信念を貫けた」と。一打一打の力強さ、劣勢をはね返すたくましさ、心身ともに成長した姿で▼大会の主催側も後押し。会場には「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」の横断幕や黒人アートの看板が設けられ、全米テニス協会は「人種差別にゆるぎなく立ち向かう」との声明を発表しました▼アスリートは政治を語るべきではない。あなたは日本人なのか。SNS上では大坂選手への心ない批判や中傷も。しかし、一部の狭い見方にとらわれない彼女の勇気ある行動や発言は、国境をこえて多くの心に響いています▼差別の問題についてみんなが話し合うきっかけをつくりたかったという大坂選手。アスリートである前に、一人の女性として、ひとりの人間として、変化のために希望をもって行動し続ける。その思いは今を生きる人びとに呼びかけてきます。(2020・9・15)

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