危機の先にある新しい世界の姿 『赤旗・潮流』

朝露のなか、どこからかキンモクセイの甘い香りが漂ってきました。枯れ葉が道に舞い、淡い月影の夜には虫の音がしっとりと。あの暑さがうそのように深まりゆく秋です▼季節はめぐりますが、私たちは変わらないコロナ禍も生活が続きます。マスクをつけ、3蜜をさけ、人との距離や接触に気をつかう日々。感染は収まらず、世界の死者は100万人をこえ、いまも毎日5000人強のペースで増えています▼人類を襲った大きな災厄。そんな折、人間の生き方や幸福を問い直すドキュメンタリー映画が公開されました。「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本へ」。テレビ番組制作者の田部井一真さんが南米ウルグアイのホせ・ムヒカ元大統領の取材を重ね完成させました▼きっかけは国連会議での名演説。大量消費社会や欲深さを厳しくいさめた訴えに感銘を受けた田部井さんが執着をおってムヒカさんの人間像に迫りました▼「社会の発展が人間に幸せを損なうものであってはならない」。軍事政権下でなんども投獄され、大統領になってからも清貧なくらしを替えず、貧困の解消に務めました。その経験やグローバルな視点から発する言動や提言が心に響きます▼来日したムヒカさんが日本の若者たちにつたえたことがあります。魔法が世界を変えてくれるなんて思わないで、あなた自身が行動し、よりよい社会をめざすことで人生に意義が生まれるー。危機の先にある新しい世界の姿とは。コロナの秋に思いはいっそう募ります。(2020・10・6) 【追記】「清く、正しく、美しく」「赤旗」ならではのコラムです。冒頭の「朝霧…

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