「菅さん・その政治マジ?」『東京新聞・筆洗』

成田山新勝寺のようにお寺の正式な名には山の名。「山号」が付く。落語にもある「山号寺号」とはこれを使った言葉遊びでルールはかんたん。お題に対し、「山」と「寺」でシャレをつくる。気分の思い年であった。これで2020年を少しでも笑い飛ばすとする▼〈久拡散・大惨事>。のっけからシャレにならぬか。世界を悩ませ続ける新型コロナウイルス。甘く見たつもりはないが、ここまで拡大するとは〈誤算・大火事>となった▼經濟への影響も大きく<ご破産・忍の一字>と軽口をたたいている場合ではないか。来年はなにとぞ<コロナ退散・無事>となりますように。コロナの現場で闘う医師、看護師の負担も心配で<おつかれさん・医療従事>と声をかける▼日本を笑わせれくれたコメディアンの死は寂しかった。〈志村けんさん・帰らじ>。明るい話題は「はやぶさ2」の〈称賛・砂保持>。小惑星りゅうぐうから砂を持ち帰る任務を立派に果たした▼政治の方はほめられぬ。前首相の安倍さんの「桜を見る会」夕食会の虚偽答弁など懐かしい問題が続き、国民は<もうたくさん・不祥事>である。新首相の菅さんの政治も心配。コロナ対応も後手に回りがちで〈菅さん・その政治マジ?>と言いたくもなろう▼笑い飛ばそうと思ったが、顔がひきつってしまう。本年はこれにてお開き。よいお年をお迎えください。(2020・12・31) 【追記】〈御嶽山 木曽路>

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歴史の転換点に立つ私たち 『赤旗・潮流』

年越しの景色を一変させながら暮れゆく2020年。新型コロナウイルスとともにあった今年は、長く人びとの記憶にとどまる1年となりました▼パンデミック(世界的大流行)の勢いは、いまも収まりません。感染者は8千万人をこえ、死者は18万人に迫ろうとしています。日本も毎日のように感染者や重症者の数が最多を更新。いつ、どこで、誰もが。そんな状況のただ中にいます▼死を意識した。孤独で精神的につらかった。仕事や日常生活に戻れるのか、不安でたまらないー。これは東京都政策企画局のホームページで紹介された体験者の声です。症状や経過、周りへの影響や医療従事者への感謝とともに訴えているのは、このウイルスの恐ろしさです▼日々発表される数字の一つ一つにある悲しみや苦しみ。コロナ禍の貧窮やひっ迫する医療現場。ふりかかる苦難のなかで、なによりも支えや力になったのは、心の距離を近づけることでした▼人類が直面するこの危機をのりこえるためには人と人、国と国の信頼と団結が欠かせない。歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんが『緊急提言 パンデミック』で強調していっます。ウイルスが歴史の行方を決めることはない、それを決めるのは人間であること▼私たちはいま、歴史の転換点に立っています。命が脅かされるこのとき、変化が切に求められる政治や社会。進歩を妨げ、私利に走る政権に抗し、声を、たたかいの輪を、ひろげる新年としたい。危機の先につくる未来に向けて。(2020・12・31)

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1月1日は「世界平和の日」 『赤旗・潮流』

「いかに多くの資金が兵器、とくに核兵器に費やされているか」。そう非難するのはローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇です。教会が定める1月1日の「世界平和の日」に向け公表したメッセージでの言葉です▼「いたわりの文化、平和への道のり」と題したメッセージで、新型コロナ感染拡大に触れ、軍事費を貧困対策や医療に回すよう呼びかけました▼核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の報告によると、核保有9カ国の昨年の核兵器関連予算は729億ドル(約7・5兆円)。約半分を占める米国の支出だけでも集中治療室(ICU)のベッド30万床、人工呼吸器3万5千台、看護師・医師22万人超の給与に匹敵します▼医療に使えたはずの膨大な資金が核兵器に使われており、核兵器を公衆衛生への脅威とみなすべきだ・・・。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のフューラー助教授の提起です▼核兵器は放射線や爆風などで命を奪う上に生き残っても一生健康被害が続き、「医療インフラにとって核攻撃への対策は不可能」と同氏。公衆衛生専門家が集まる世界最大の会合・米公衆衛生協会の年次総会(今年はオンライン開催)に連盟で核兵器禁止条約の署名・批准を大統領と上院に迫る決議案を提出、採択されました(10月)。米民間団体・核脅威イニシアチブのウェブサイトなどが伝えています▼コロナ禍でも核兵器に巨額の資金をつぎ込む不条理に広がる怒り、禁止条約参加へと保有国を追い詰める力になりつつあります。(2020・12・30)

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夫婦別姓を認めても・・・ 『赤旗・潮流』

「名字がひとつになった日」「あなたの名字になる私」・・・。こんな歌詞で結婚を表現するラブソングがあります。憧れを抱く人もあれば不快に思う人もいる。感じ方は人それぞれです▼結婚後に、同姓にするか別姓にするかを選べる選択的夫婦別姓制度。「慣れ親しんだ氏名のまま結婚することも認めて」「戸籍名と通称を使い分ける煩わしい生活から解放してほしい」と願う人たちが声を上げ、世論を動かしてきました▼実現を阻んでいるのは自民党内の強硬な反対です。「夫婦別姓を認めれば家族の絆が壊れ、子どもに悪影響が及ぶ」と。説得力に欠ける主張に「同姓をを否定するわけじゃない。別姓の選択肢を与えてほしいだけ。拒否する意味がわからない」「希望する人が別姓を選択したくらいで、この国では家庭が崩壊するの?」と批判があふれています▼両親が別姓の20代女性は「母親と名字が違う理由を聞かれるのは面倒だったけど、姓が違うことも当たり前になって、そんな悩みが解消するのが理想の姿」と言います▼価値観が多様化するなか、大切なのはさまざまな選択肢を用意すること。多彩な家族のあり方を尊重する社会であれば、子どもに悪影響など及ばないはずです▼かつて選択的別姓に賛成を表明してしていた菅義偉首相。日本共産党の小池晃書記局長の国会質問に「政治家として申し上げたことには責任がある」と答えました。だれもが自分らしく生きられる社会に向け自らの発言をいつ実行するのか、問われています。(2020・12・29)

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米国人には必携の本 『東京新聞・筆洗』

食うや食わずのひどい生活だった。人並みの暮らしをしたいと願い、脇目も振らず働いた。生活は次第に上向いた▼よし、もっと頑張ろう。こしらえた品物は世間の評判を取った。豊かになった。すると、まわりは白い目で見るようになった。あいつは經濟に目がくらんだアニマルなのでは ないか▼当時の日本人はもやもやしただろう。終戦から奇跡の復興を成し遂げ、自信もついたが、世界はさほどほめてくれぬ。1979年、その人は日本を「ナンバーワン」だと言ってくれた。日本の高度成長期の背景を日本人の勤勉さなどにあると分析したベストセラー、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の米社会学者エズラー・ボーゲルさんが亡くなった。九十歳▼お堅い本が七十万部も売れた。分からぬでもない。ハーバードの学者が日本を見習えと書いてくれた。頭をなでられた気がした▼もとは低迷期の米国を刺激する材料として書かれていた。かつての駐日米国大使、エドウィン・ライシャワーはボーゲルさんにこう語ったという。「米国人には必携の書。だが日本では禁書にすべきだ」。日本人が得意になることを心配していた▼われわれは得意になったのか、その後の日本。ボーゲルさんのほめた雇用制度や社会制度での見直しが遅れた。教育制度もどうも怪しい。日本の現在に、その輝かしい題名を目にするのが少々つらい。(2020・12・28)

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安全でクリーンな風を 『東京新聞・筆洗』

 オランダの風車は言葉を話すそうだ。戦争中、ある地域では風車の言葉がドイツ軍の行動を無線より早く住民に伝えた。無論、人間の言葉ではない。風車の羽根の位置によって「言葉」を伝える▼風車の羽根は反時計回りに回転する。例えば、羽根が頂点に差しかかる直前の位置で止まっていた場合、それは未来や希望、喜びを表す。逆に羽根が頂点を過ぎていたら過去や悲しみの意味だそうだ。気候学者吉野正敏さんの『風の世界』(東京大学出版会)に教わった▼日本のこの風車。羽根が未来の希望を示す位置にあることを願いたい。2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府の「グリーン成長戦略」。洋上風力発電を脱炭素化の主軸に位置付けた▼「いなさ」「ならい」「はえ」「東風」(こち)。日本には約二千の風の名があるそうだ、風に恵まれた環境ながら、日本のこの分野での取り組みは、EUなどに比べ、遅れていた。やっと風をつかまえたか。脱炭素化に向け、風穴をあけたい▼30年までに発電容量を一千万キロリット、40年までに最大四千五百万キロリットまで増やすという。原発四十五基分に相当する▼達成までの道程は順風満帆とはいくまい。技術開発の難しさ、沿岸漁業者との交渉など厳しい向かい風もあるだろう。国全体で強い追い風をおこし、安全でクリーンな風のエネルギーを集めたい。(2020・12・27)

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なかにし礼さんと満洲2 『東京新聞・筆洗』

終戦直後の「リンゴの唄」が苦手だったそうだ。底抜けに明るい曲調と罪のない歌詞。明るい時代へ向かう当時を象徴するような曲だが、聴くのが悲しかったという▼1946年。満洲からの引き揚げ船の中でその歌を船員に教えてもらった。満洲で生きるか死ぬかの体験をした。それなのに満洲に取り残された自分たちのことを忘れて、日本ではもうこんなに明るい歌を歌っているのか▼作詞家のなかにし礼さんが亡くなった。八十二歳。「天使の誘惑」「恋のフーガ」「石狩挽歌」「人形の家」。手になる名曲は挙げればきりがない。昭和歌謡の巨人が逝った▼「過去」。歌謡曲ではよく聴く言葉だが、菅原洋一さんの「知りたくないの」でなかにし礼さんが初めて使ったと聞く。五七調をなるべく避け、新しい言葉を曲に乗せる挑戦の人でもあった▼悲しい詞に持ち味があった。「二人で育てた小鳥をにがし 二人でかいたこの絵燃やしましょう」(「手紙」)「ほこりにまみれた人形みたい」([人形の家」)。日本に見捨てられたと感じた満洲でのこどくや痛み。その体験とくやしさが歌詞のどこかに必ず潜んでいる気がする▼「リンゴの唄」が明るく励ます曲なら悲しみを知るこの人の詞は孤独な人の背中を静かにさすり、自分も同じだよと慰めていた。戦後日本を唄で支えた人との別れに「石狩挽歌」の海猫が寂しく鳴く。(2020・12・26) 【リンク】「赤旗・潮流」

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なかにし礼さんと満洲 『赤旗・潮流』

『天使の誘惑』『今日でお別れ』『北酒場』・・・ふと口をつくフレーズの数々。昭和を代表する歌謡曲ヒットメーカーの、なかにし礼さんは小説家としても知られます▼2作目の『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞し、翌2001年、満洲からの引き揚げ体験を描いた『赤い月』がベストセラーに。爆撃や飢え、病気で一歩間違えば死にーそんな危険に直面した1年2カ月にわたる逃避行を描きました▼「僕をつくった基礎は、戦争体験が決定的です。・・・満洲からの命からがらの逃避行が、僕の哲学、人生観を決めました」。本紙日曜版で語っています。あの戦争を書かなくては、の強い思い。「引き揚げを体験した僕にしか多分書けない小説でした」と▼流行歌さえも七五調が主流だった時代に、「破調のリズムで日本人の心を動かしたい」とあえて七五調を使わないことを作詞の鉄則としたことも。「戦争は悪であり、愚かな行為だ」の太い思いが▼最近10年間ほどは病気とのたかいでした。自著『がんに生きる』では「二度のがん闘病を経験した私が持つ使命は、理不尽と戦うこと」と。理不尽の最たるものが、平和を脅かし過去を否定する動きでした▼戦争、芸能界、心臓発作やがんからの生還ーその人生を振り返りつつ「わが人生に悔いなし」とも語っていた、なかにしさん。「日本を絶望から希望の国へと大転換させるために、共産党には大いにがんばってほしい」。1年前、日曜版新年号に寄せた言葉に82年の生涯の思いが込められています。(2020・12・26)

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いつもの手口『秘書のせい』 『赤旗・潮流』

われわれは、何のために国会議員を志したのか。それは、この国を良くしたい、国民のために力を尽くしたいとの思いから。7年前、壇上からすべての議員に熱く呼びかける姿がありました▼政権交代後、初の本格的な国会にのぞんだ安倍首相です。みなそれぞれが初心を思い出し、建設的な論議をしていこうと結んだ施政方針演説。いま、その訴えがわが身にきびしく、降りかかっています▼明細書はもらっていない、補填した事実もまったくない。事務所や後援会の収入、支出は一切ないー。自身の後援会が開いた桜を見る会前夜祭をめぐる疑惑で、国会での答弁がことごとく虚偽だったことがわかりました▼いくつもの証拠を突きつけられながら、居直ってきた安倍氏。こうも言い切っていました。総理大臣として答弁していることはすべての発言が責任を伴う。私の説明が軽いわけがないじゃないですか▼公金を使って後援会員らをもてなしていた「桜」、くり返し事務所が費用を補填していた前夜祭。法違反を重ねながら、それを全部秘書のせいにして済ますのか、森友や加計問題でもしかり。国会の議論をおとしめ、政治への信頼を損ねてきた罪はあまりにも思い。首相はもとより、政権全体の責任です▼こんあことをあいまいにしては国が堕落していくだけです、現金供与、大量買収、汚職・・・。ふきだす不正や疑惑の数々。渦中にいた菅首相をはじめ、うそにまみれた面々は今も。改めて突きつけたい。何のために国会議員になったのか。(200・12・25 【追記】謝って済むなら検察はいらない。

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「きよしこの夜」は平和への歌 『赤旗・潮流』

クリスマスの時期に誰もが口ずさめる歌「きよしこの夜」。牧歌的な賛美歌ではなく、実は平和への願いを込めた歌だった。25年前に発見された直筆譜でわかりました▼作詞したヨゼフ・モールは23歳で聖職者になり、現在のオーストリア・アルプスの山奥の村で巡礼教会の助祭となりました。一度も顔を見たことのない父の生まれ故郷でした。詞は、1816年のクリスマスイブの日につくられました▼「静かな夜、聖なる夜/すべての力を注いで/私たちすべてを兄弟として恵深く/イエスは世界の民をだきしめる」「・・・主は怒りをお捨てになって/ 父祖たちの大昔に/全世界にいたわりを約束された」(川端純四郎訳)▼10年もたたないうちに支配者が次つぎと代わり、やっとこの年の4月にザルツブルグに平和が訪れ、民族の和解を願ったのです。曲は、2年後に在任したオーベルンドルフの教会で、オルガニストのグルーバーがつくりました▼モールは、住民と親しくつきあい、洪水、船の事故や戦争ですべてを失った苦しい生活の話に耳を傾け、愛されました。その後も教会を転々とし、最後も山奥の小さな教会で迎え、「清く貧しく美しい」生涯だったといいます▼同時代のオーストリアのウィーンでは、ベートーベンが交響曲第九番の創作にとりかかり、シラーの「歓喜に寄せて」を取り入れました。「抱き合おう、もろびとよ/この口づけを全世界に」。やはり、平和な世界への願いを込めて、歌い上げています。(2020・12・24)

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「希望の光」中村哲さん物語に 『赤旗・潮流』

生まれて初めてであう絵本の定番として知られる『いないいないばあ』。刊行から半世紀以上も読み継がれ、発行部数は700万部を突破しました▼世代をこえ、子どももおとなも笑顔にしてきた絵本。そこには人と人を近づける不思議な力があります。いま心の支えが欠かせないコロナ禍でひろがり、手にとる機会が増えているといいます▼今月、アフガニスタンから1冊の絵本が国境をこえて届きました。『カカ・ムラド』。人びとが親しみと敬意を込めてそう呼んだ、中村哲さんを物語にして描きました。医師として多くの命を救うために用水路をひらき、干上がった大地を緑豊かにした功績を次の世代へ伝えるために▼現地のNGOが生前の中村さんをよく知る人たちから話を聞いて作りました。遠く日本からやってきて、長引く戦乱や干ばつに苦しむこの国の復興に情熱を傾け、人生をささげた活動に感謝しながら▼武装集団の銃撃によって命を落としてから1年。死を惜しむ声はやまず、公園や店に中村さんの名をつける動きも相次いでいます。この国の問題は戦争や暴力では決して解決できないと、平和とくらしの改善を求めてきた意志は引き継がれています▼いまも戦闘やテロが絶えず、空襲で子どもたちが犠牲になっているアフガニスタン。しかし、恩人がともした希望の光は消えていません。物語の最後、わが子をムラドと命名した父親が呼びかけます。「いつかムラドがカカ・ムラドがみた夢のつづきをかなえてくれるはずさ」(2020・12・23)

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生きる希望がわいてくる社会へ 『赤旗・潮流』

ハローワークに行くたびに並ぶ列が長くなっている。都内の食料支援にきていた30代の青年から聞きました。コロナ禍で自分も非正規のしごとを2度もクビになったといいます▼若者や働き盛りの年代が多く、深刻そうな相談も増えていると。実際、廃業や倒産が相次ぎ、生活苦による自殺者は急増しています。ただでさえ不安定な雇用はさらに。街中では露頭に迷う姿も目立ちます▼おにぎりをもらうために1時間半も歩いてきた、もう食べるお金もない。困窮する人たちを救うために日比谷公園で開かれた相談会には50人以上が訪れました。本紙社会面で伝えたように、口々に訴える窮状は切羽詰まっています▼仕事がない、住むところがないー。こんなときこそ支えになるのが国の役割のはず。何のため、誰のために税金を使うのか。政府が決めた過去最大となる106兆円超の来年度予算案にも、それは鮮やかに▼コロナ対応として5兆円を予備費に計上しながら、それ以上の巨額を増大する軍事費に注ぎ込む。有害だけの辺野古・米軍新基地に伴う警備費に1日2200万円もの税金が投じられていることもわかりました。国民や命を守る現場があえいでいる、このときに▼これだけの財源があれば、どれだけの人びとを救済できるか。大企業の便乗リストラや拡大していく格差に歯止めをかけることも政治の役目です。先の青年は貧苦の人を助けたいと支援を手伝うように。生きる希望がわいてくる社会へ、たくさんの声をつなげるときです。(2020・12・22)

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甦る戦後まもなくみた映画の数々

 戦後まもなく見た映画で今でも記憶に残っているものを挙げろといわれれば、スラスラと出てくる。それは「風と共に去りぬ」をはじめとして、[戦争と平和」「今ひとたびの」「戦火のかなた」「自転車泥棒」「鉄道員」「第三の男」。そして「禁じられた遊び」などである。  敗戦の混乱期とあって、やはり、あの戦争は何だったのかが、一大テーマになったのは自然の成り行きだったが、洪水のように日本に入り込んだハリウッド映画はともかくとして、イタリアン・ネオリアリズムの潮流には圧倒された。  また、何といっても映画音楽には酔わされた。とりわけ、「禁じられた遊び」で流される哀愁、はかなさ、初々しさをかきたてるギターの調べには吸い寄せられた。「禁じられた遊び」は1952年にフランスで制作された映画。バックでコラボする曲は「愛のロマンス]という題名のスペイン民謡。

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宇宙の謎ひもとくロマン『赤旗・潮流』

浦島太郎が竜宮城の乙姫からもらって帰った玉手箱。戒めを破って開けると白い煙が立ちのぼり、たちまち白髪の老人になってしまった。幼い頃の記憶にあるおとぎ話です▼各地に残る浦島伝説。なかには、箱を開けると白い綿のようなものがふきだし、太郎が鶴にになるという筋書きも。では「リュウグウ」から持ち帰った玉手箱を開けると何が起きるのか? 年をとるのは科学。科学の時計を前に進められますー▼探査機はやぶさ2のチーム責任者、津田雄一さんが5年前にそう答えていました。地球から3億㌔のかなたにある小惑星に名を付けたときです。その言葉通り、太陽系や生命、水の起源に迫るヒントが詰まっていました▼カプセルに入っていたたくさんの砂粒やガス。太陽系の化石と呼ばれる小惑星の物質には、宇宙の謎をひもとくロマンが隠されています。さらに異なる地点や地下からの採取をふくめ、今回の快挙がもたらした科学的な価値は計り知れません▼津田さんは著書のなかで語っています、「組織のためや国のためではなく、人類全体の英知に貢献するミッションだから、世界に喜ばれた」(『はやぶさ2最強ミッションの真実』)。そして子どもたちにこそ、その価値をつたえたいと▼コロナ禍の暗い世相にあって、わくわくするような未知への挑戦。それは胸を躍らせた昔話にも通じます。ウラシマクレーターをはじめ、リュウグウには日本の物語からとった地名がいくつも。世界へ、宇宙へと楽しい未来が広がるように。(2020・12・21) 

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密集を避けた「年内初詣」 『東京新聞・筆洗』

「冬の春」という耳慣れぬ季語がある。今の人がそう聞いて連想するのは冬の季節にたまたま訪れた春のように暖かく穏やかな日か▼ちょっと違う。「冬の春」とは「年内立春」のこと。これも今やなじみが薄いか。新暦の立春はニ月四日前後で旧暦では一月になりそうだが、暦のズレで12月にやって来ることがしばしば起こる。冬の十二月に来る立春なので冬の春▼思い浮かぶのは古今集の歌だろう。<年のうちに春は来にけり一年(ひととせ)をこぞとやいはむ今年とやいはむ>在原元方。年の暮れに春=正月が来たが、この一年間をもう去年(こぞ)と言うべきなのか、まだ今年と言うべきものかと迷っている▼暦とは関係のない話だが、あまり良い年だったとは言いにくい今年である。まだ十日以上残っているが、もう終わらせて、「去年」にしても構わぬ気分もあろうか。よい手がある。ちょっと早い初詣である▼コロナ感染対策として初詣の分散参拝が提唱されている。それはそうだろう。いつもの年のようなあの混雑に出ていくのは心配だし、気も引ける。気の早い初詣に神さまはへそを曲げないか。気休みにもならぬが、自分が神さまなら人のことを思い、密集を避けた「年内初詣」には一段と御利益を弾むだろう▼年の内に初詣を済ませてめでたき新春を先取り。<年の内に春は来にけり猫の恋>一茶。良いことがありそうな気はする。(2020・12・20)

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トンネルを抜けると雪国であった 『赤旗・潮流』

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった・・・。川端康成『雪国』の有名な書き出しです。場所は群馬と新潟を通す上越線の清水トンネルであるとされています▼小説の舞台は越後湯沢温泉。都会から向かうと、三国山脈や越後山脈が連なるこのあたりからの光景は一変します。白銀がつづく世界へと。国土の半分以上を豪雪地帯が占める日本は「世界一の雪国」ともいわれます▼長く雪とともにあり、なじんできた地域。しかし、この降り始め、12月の大雪は予想をこえました。上越線と並行して走る関越道では湯沢を越えた付近で、およそ千台の車が立ち往生。16日夜から交通障害が発生、数十時間も車中で過ごし、雪を食べてしのいだという運転手も▼下りは解消されて自衛隊や高速道路の職員が食料を配っていますが、体調を崩したと訴える通報が相次いでいます。寒さやエコノミー症候群も心配され。一刻も早い救出がもとめられます▼あっという間に降り積もり、交通の大動脈を遮断した雪は、さまざまな配送にも被害をもたらしました。今後、週末にかけて日本海側を中心にふたたび雪が強まる恐れもあります。交通やインフラへの影響、落雪や停電をはじめ、十分な警戒とともに早めの対策が必要です▼地球温暖化によって、雪国でも少雪と大雪の二極化が進んでいると専門家が指摘してから久しい。その傾向はますます。雪は、天から送られた手紙といわれます。それを受けとめるのは、われわれ人間です。(2020・12・19)

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ベートーベン生誕250年 『赤旗・潮流』

合唱メンバーは全員、鼻から胸までを真っ白な布で覆っていました。オーケストラは”炎のコバケン”こと小林研一郎さんのイラスト入りのおそろいTシャツ。「コバケンとその仲間たちオーケストラ」の「第九」です▼小林さんの情熱的な指揮にみちびかれ、1時間を超す演奏会が終わるとホールは拍手が10分近く鳴りやみませんでした。小林さんが感極まったように話します。「今日のような特別な時間に恵まれたことは、指揮者としてとてつもない幸せです」▼今年はベトーベン生誕250年。しかし予定されていた多くのイベントは新型コロナウイルスの流行で中止・延期に。年末恒例の「第九」も「歓喜の歌」の合唱がネックとなり、幾つもの壁が。先述の真っ白な布は、東京混声合唱団が試行錯誤の末、開発した「歌えるマスク」です▼「すべての人々は兄弟となる」と歌う「第九」は、コロナ禍で分断された私たちへの啓示に聞こえます。小林さんは、本紙日曜版のインタビューで「人類のために愛や勇気、平和や祈りを音楽で伝えようとしたのだと思います」▼その理念は視覚、聴覚、知的障害者の人たちも参加する同オケにも。2005年、長野で開かれた知的障害者の国際スポーツ大会を機に小林さんの呼びかけで設立。「すべての人々が輝いて活きることができる」社会を目指し、全国で演奏会を開いてきました▼難聴、失恋、愛憎疾患と試練を音楽の力で乗り越えていったベートーベン。苦悩から歓喜へ。今こそ耳を傾けたい。(2020・12・18)

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一刻も早く土俵を降りるべき 『赤旗・潮流』

相撲用語のひとつに「痛み分け」があります。取り組み中に力士が負傷し、続けられないと判断された場合に宣告されます。行司が「かたやに痛み、引き分け預かりおきます」と口上をのべ、「痛分」の幕が上がります▼審判と行司の協議で決めますが、このとき相手力士にうけいれるか伺いをを立てるそうです。競技性が増した戦後はほとんど出ていませんが、本来は引き分けにして痛みを分かち合うという意味が込められていたのでしょう▼コロナ禍のいま、痛みを共有することが大切といわれます。自分のことだけを考えずに、ひとの痛みや苦しみに寄り添って行動する。それが危機をのりこえる何よりの力になると。ところが、国の施設はどうか▼菅政権の遅きに失した「Go To トラベル」の停止。年末年始の利用者は大混乱、書き入れ時の予約が次々に消えていく旅行業や観光業は悲鳴を挙げています。その対応もドタバタなときに首相は高級ステーキ店で開食していました。しかも5人以上、恒例の人たちと集まって▼止まらない感染拡大で医療の崩壊が差し迫り、なりわいが立ちゆかない人びとは途方に暮れたままです。そもそも大勢が旅行の余裕も機会もないなか、こうした公費の使い方は不公平との声もでています▼だいたい、あの「勝負の3週間」とは何だったのか。一方で旅行や会食を奨励しながら危機感を訴えても国民に響くはずがありません。こちらは痛み分けとならず、勝敗がはっきり。一刻も早く土俵を降りるべきです。(2020・12・17)

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シャッター目立つ大阪の商店街 『赤旗・潮流』

九条ネギは京野菜のひとつ。九条ネギと肉入うどんがすっかり気に入り、京都を訪れた時は、よく食べていました▼先日も用事を済ました後、店に寄ろうとしたら、「あれっ、ない」。あんなにお客さんがいたのに、あっけない店じまいでした▼新型コロナは食い倒れのまち・大阪も襲います。新世界の老舗ふぐ料理店「づぼらや」の閉店は衝撃でした。大阪市内の由緒ある商店街にもシャッターが目立ちます。「終(ばて)ました。と閉店を知らせる看板を出したラーメン店も。悔しさがにじみます▼苦境に立つ飲食店ですが、なかでも居酒屋の倒産が目立ちます。帝国データバンクの調査によると1~10月の居酒屋の倒産は大阪府が26件で東京の30件に次ぐ多さ。夕方5時から明け方までの夜間営業が収益の主軸。営業時間の短縮要請や外出自粛による宴会の激減が経営を圧迫しています▼夜9時までの時短対象は大坂市全域に広がりました。「収入は激減。それでも家賃や水光熱費は出ていく。協力金76万円ではとても足りない」と店主は口をそろえます。雇用調整助成金、持続化給付金や家賃支援給付金の拡充と消費税減税は切実です▼医療崩壊の危機も迫ります。「PCR検査が少なすぎる。『都』構想のツケが回ってきている」。共産党のアンケートにもそんな声が。感染拡大のなか大坂市廃止の「都」構想に熱中した住民投票で否決されてもなお「広域一元化条例」など制度いじりを画策。「赤信号が点灯しているのは維新政治です。(2020・12・16)

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冷たさから温かさへの転換を 『赤旗・潮流』

今年も半月あまり。各地で雪が降り冬も本番です。寒さ募るなか、身も心も凍る年の瀬が迫ります。仕事がなくなった。収入が減った、生活が苦しい・・・。コロナ禍とともに政治の不作為が暗い影を落としています▼師走の日曜午後。寒風の東京・高田馬場駅前で食糧支援をよびかける若者たちの姿がありました。机に並べられたお米や即席めん、缶詰やレトルト食品。ややためらいがちに、一人また一人と手にとっていきます。感謝を口にしながら▼新宿の日本民主青年同盟が主催する「フードバンク」は、これで9回目。のべ200人ほどが利用したといいます。地域の人びとからカンパで集めた食料の無償配布のほかに、生活相談にも応じています▼バイトを辞めさせられた、授業料を払えないという学生から、廃業した飲食店主、年金だけではくらしてゆけないと話すお年寄りまで、幅ひろい層がたちどまっています。切実な声をまとめ、区に要請署も出しました▼こうしたとりくみはいま全国で。市民団体や労組も生活困窮者への支援や相談をつよめ・政府・自治体に年末年始の緊急対策をとるよう求めています。しかし、首相動静をみても日々会っているのは政財界や官僚の面々ばかり。市井の訴えを聞こうともしません▼ボランティアで参加した若者は「困っている人が多い。少しでも力になりたい」。自己責任を押しつけられ、孤独が襲う世にかよう人と人とのぬくもり。それは社会を変える力にも。冷たさから温かさへの転換です。(2020・12・15)

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兄・神島利則海軍中尉特攻死

今日12月15日は兄・神島利則(かみしま・としのり)海軍中尉の祥月命日だ。1944(昭和19)年、この日神風特別攻撃隊・第7金剛隊の一員として、フイリピン・ネグロス島近辺で特攻死した。20歳。彼の郷里は、当時日本の支配下にあった旧満洲(現中国東北部)の公主嶺。母神島トミが戦死の報を受けたのは23日だった。  市役所からの公報を見た母の狼狽ぶりといったらなかった。「トンちゃん(彼の愛称)が死んだんだって」「うそ」「なぜ」「どうして」と泣き叫けぶ彼女を、どうしたらいいのか分からなかった国民学校6年生の僕。その時の記憶はいまでも鮮明だ。これは後で知ったことだが、彼の戦死の詳報を総合するとつぎのようになる。 【追記】https://38300902.at.webry.info/200912/article_15.html

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李香蘭 生誕100年に思う

昨日の夜(2014年9月14日)、テレビ朝日が「徹子の部屋」の再録インタビューを放映。そこでの山口淑子(李香蘭)さんの言葉が胸に迫る。「私ね、二つの国の狭間(はざま)で翻弄されたけど、戦争がいけないのよ。戦争はやってはいけないのよ。戦争は勝っても負けても悲惨です。戦争は嫌い」 【ブログ「満洲っ子 平和をうたう」回顧】https://38300902.at.webry.info/201409/article_18.html

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貧困や格差が課題のバイデン氏 『赤旗・潮流』

米国を定義する言葉は何か? それは「可能性」。ここではすべての人に夢を実現するチャンスが与えられるべきだー。大統領選の勝利演説でこう語ったバイデン次期大統領。直面する課題は経済格差の是正です▼その手段の一つとして期待が高まるのが、学生ローンの返済軽減措置です。上院民主党のシューマー院内総務と進歩派議員は共同論評を出し、学生ローンの大幅帳消を提言。就任初日に大統領令を出して「債務の時限爆弾」から国民を開放するよう促しました▼中西部シカゴにある大学を取材で訪れたことがあります。ひときわ目立ったのは銀行が校内に設けた融資相談窓口。学費が高い米国で学生ローンが日常生活に溶け込んでいる様子がうかがえました▼米国全体の学生ローン残高は約167兆円。約4400万人にのしかかります。多額の借金を抱えて社会に出る学生たち。就職難や失業がきっかけで返済に行き詰まり、人生設計が狂う人が後を絶ちません▼一部でも軽減すれば多くの人が手取収入を増やし、起業できる人も現れ、格差の縮小につながるー。シューマー氏らは学生ローンの重圧を取り除くことこそが「最も効果的な経済刺激策だ」と強調しました▼学生ローンは、自らの学びを社会に還元し夢をかなえようと努力する人たちの「可能性」を奪ってきました。学生ローン帳消しを求める進歩派の支援も受けて史上最大の票を得たバイデン氏。貧困や格差の解消を一票に託した有権者にどう答えるかが問われます。(2020・12・13)

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こんな政権自体が無用の長物 『赤旗・潮流』

世に三大無用の長物といわれるものがあるそうです。ピラミッドや万里の長城と並び、そこに名をあげられているのが戦艦大和です▼世界最大・最強の不沈艦とうたいながら、すでに制空権を握られ、大艦巨砲は時代遅れに。80年前の極秘の進水から沖縄への特攻作戦まで活躍の場もなく、3千余もの命とともに海に沈みました。今に換算すれば数兆円にもなる国費を投じながら▼「全精魂を傾け、このほとんど役立たなかった戦艦をつくり、失い、空しき栄光のみを遺産として将来につたえることとなった」。戦史研究家の半藤一利さんは、戦争に突き進んだ昭和という時代、日本にとっての太平洋戦争の象徴的存在であったと▼昨日の本紙を見て怒りに輪をかけた読者も多かったのでは。菅政権が陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として建造を決めたイージス艦2隻。うんようや維持費をふくめた総額は1兆円をこえ、能力も疑問符。海自の元幹部からは「令和の大和になる」との声▼一方で自民・公明の政権与党は75歳以上の医療費を2割に引き上げることを決めました。負担増となる対象者は370万人にも。コロナ禍で受診控えが懸念されているなかで、高齢者へのさらなる追い打ちです▼救える命を救わないで命を奪いかねないものに何倍もの財源をつぎ込む。よくも「国民のために働く内閣」などと言えたものです。役に立たないどころか国民にとって害や災いとなる。こんな政権自体が無用の長物か。(2020・12・12)

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コロナは全世界に教訓を与えた 『赤旗・潮流』

「風蕭蕭(しょうしょう)として易水寒し」。死地に赴く刺客の心境を詠んだ故事。それを自身に重ねながら、恐怖と緊張で静まりかえった重々しい雰囲気の街へー▼今年の1月22日。中国湖北省の武漢が封鎖される1日前に作家の方方(ファンファン)さんは日本から戻ってきた娘を空港に迎えに行きました。それまで人から人への感染はない、予防も制御もできるといわれてきた新型コロナウイルス。それがまったくの偽りだったとは・・・▼マスクや食べ物がない、医療の現場は崩壊し、肉親や友人が次つぎと倒れてゆく。封鎖下の60日をつづった方方さんのブログは1千万都市の市民の血と涙、、そして怒りを代弁。官僚や政府の対応も嚴しく批判し、1億人以上が詠んだとされます▼ここは最初に感染が確認された地です。今月8日で1年がすぎ地元紙にはコロナ禍を克服した「英雄都市」の文字が踊りますが、深く刻まれた傷は今もいえないままです▼「無念の思いを抱いて亡くなった人びとを胸に刻もう。彼らのために正義を追求しなければならない。職務怠慢、不作為、無責任の連中に対して、私たちは追及の手を緩めてはいけない」。彼女のブログは『武漢日記』として世界に発信されましたが、国内では厳しい中傷や攻撃も▼「民生の多艱を哀しみ、長嘆息して以て涙を掩う」。封鎖中、この言葉を多くが発したと。いま日本でも政府の無為無策が国民を苦しめています。見えないウイルスがあぶり出したもの。方方さんはいいます。「コロナは全世界に教訓を与えた」(2020・12・11)

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「国がネグレクト」コロナ禍 『赤旗・潮流』

「菅首相が『自助、共助』と話しているのをテレビ見てたら怒りで涙が出てきてね・・・」。林たみ子さん(72)がそう話していました。息子の政臣さん(45)は自閉症で知的障害もあります▼障害があることは「自己責任」とばかりに、生きるために必要な支援に対し自己負担を課した障害者自立支援法。生存権や尊厳を奪われたと、全国の仲間とともに正臣さんは国などを相手に違憲訴訟をたたかいました▼正臣さんが暮らす入所施設では、障害のある仲間たちが人間らしい豊かな暮らしを送れるよう職員が支えています。昨年、体調を崩した正臣さんは病院へ。体調の悪さと不安で混乱し、パジャマに着替えたり元に戻したり、何度もトイレにに通う「確認行動」も。寄り添ったのは職員です▼人手不足のなか、勤務調整までして入院中の24時間の付き添いも試みましたが、インフルエンザ流行期。かないませんでした▼入所者が入院するとその日数分の報酬は施設側に入りません。さらに入院中の仲間を職員が付き添っても報酬はゼロです。それでも施設で暮らす仲間は”家族”。入院時も仲間を第一にと、心を砕いています。そんな職員集団は、かけがえのない「宝です」とたみ子さん▼1カ月に数人が入院してしまうと、施設経営は深刻に。福祉現場の人手不足は制度がつくり出しています。「コロナ禍のいま、国が本来手当すべきところを職員が使命感だけで補っています」と施設長はこぶしを握ります。「国がネグレクトしているようなものだ。

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今よみがえる「イマジン」の響き 『赤旗・潮流』

白衣姿で熱唱する医師や看護師、ネットでつなぎながら歌い上げる俳優や歌手。コロナ禍の2020年、ジョン・レノンの「イマジン」がふたたび世に響きました▼戦争やテロ、差別や分断。暴力や憎しみが社会を覆うとき、この歌は、なんども口ずさまれてきました。さまざまな壁をのりこえ、人びとが結ばれる世界をともにつくろうと呼びかけながら▼ジョンが凶弾に倒れてから40年、生誕80年の今年。記念の催しが各地で開かれ、今月8日の命日には追悼の集まりも。東京・六本木で開催中の「ダブル・ファンタジー ジョン・アンド・ヨーコ」展には、世代をこえた多くの人が足を運んでいます▼ビートルズのジョンと、前衛芸術家のオノ・ヨーコ。ちがう世界で行きてきた2人が出会い、刺激しあい、愛と平和を訴えつづけ、行動してきた激動の日々。その足跡や作品の背景が展示から伝わります。アイドルとしての言動の自由を縛られていたジョン「ヨーコはぼくの自我を目覚めさせた」と▼実際、真っすぐな言葉や思いを歌に込めるように。男性優位だった考え方も、ヨーコとの話し合いで変わっていったと話しています。あの「イマジン」も合作です▼普遍的なものを追い求め、ファンタジーはすぐ先の現実と語っていた2人。亡くなる直前のインタビューでジョンが同じ世界に生きる人たちに向けたメッセージがあります。「どんな時代になるのか、ぼくらにかかっているのだから」。それはコロナ危機の今によみがえってきます。(2020・12・9)

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12月8日に「万歳」と叫んだ 『東京新聞・筆洗』

その朝の授業は鬼のあだなで畏怖された教授の英語だった。その朝とは1941(昭和16)年12月8日、日米開戦の日だという▼開戦の臨時ニュースが校内に伝えられた。教授は廊下に飛び出し、[万歳」と叫んだそうだ。当時の学生が書き残している▼作家、半藤一利さんの「12月8日と8月15日」にあったが、とりわけ珍しい話ではなかろう。<やみがたくたちあがりたる戦(たたかい)を利己妄慢(ぼうまん)の国国よ見よ>斎藤茂吉。長く続く米英との緊張。当時の国民はうっとうしさや閉塞感の中にあり、真珠湾攻撃はその暗雲を吹き飛ばすかのように受止められた。「利己妄慢」の米英という大国に挑む痛快さもあったという。茂吉もそうだったのだろう▼11年後の52年に建立された、広島の原爆死没者慰霊碑。碑文は<安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから>である。その言葉を考案したのは12月8日に「万歳」を叫んだあの教授だそうだ▼歴史の皮肉を書きたいわけではない。教授の名は当時広島大学教授の雑賀忠義さんとおっしゃる。この人も被爆している▼あの日、今から考えれば、勝てるはずもない日米の開戦に国民の大半が高揚した。記憶にとどめなければならぬ戦争の過ち。それは軍や政府によるものだが、感情に任せたわれわれの側の「万歳」をそこから除く理由もまた見当たらぬ。繰り返すまい。(2020・12・8)

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12月8日は平和を願う日

「太平洋戦争開戦の8日はまた、ジョン・レノンの命日としても歴史に残る日だ」との書き出しではじまる東京新聞の社説(2005年12月8日付)が手元にあります。12月8日といえば、私もあの日に呼びもどされます。64年前の早朝、ラジオからながされる臨時ニュースに釘付け、日本中が「ついにやったか!」と胸をおどらせ、真珠湾の大戦果に酔いしれていました。  歴史書をひもとけば、この日はまた、破竹の勢いでモスクワ郊外にまで侵入していたナチス・ドイツ軍がロシア人の血塗られた抵抗と折からの冬将軍にあって、総退却をはじめたと書いてあります。歴史は皮肉なもので世界の東西のファシストが同時に「終わりのはじめ」をスタートしていたのです。  25年前のちょうどこの日、ニューヨークの自宅前で教団にたおれたレノンが「戦争は終わる、もしもあなたが望むならと歌いました。「愛と平和」の歌です。12月8日、憲法が変えられようとしている今、この日を昭和ヒト桁以上の世代ならずとも、戦争を知らない子どもたちと「平和をのぞむ」心を共有し、歌い伝える日にしたいものです。 【リンク】https://38300902.at.webry.info/201412/article_13.html      https://38300902.at.webry.info/201812/article_13.html

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「はやぶさ2」の意味は 『東京新聞・筆洗』

砂漠に落ちたカプセルを回収する。それは大変な作業に違いないのだが、ロケット打ち上げや三億㌔離れた小惑星りゅうぐうへの着陸作業に比べれば・・・というシロウト考えを恥じるばかりである▼小惑星探査機はやぶさ2のカプセルが地球に帰ってきた。カプセルはオーストラリアの砂漠で無事に回収された。良かった▼当然ながら回収にも入念な準備がいる。りゅうぐう到着前の2018年4月から「回収隊」を結成し、この日に備えていたそうだ▼オーストラリア側との調整、回収手順の確認。見失うわけにはいかない。はやぶさ2が苦労して持ち帰ってくるのは生命誕生謎を解くカギの入った玉手箱である。コロナの影響で、現地入りするメンバーも絞らざるを得なかったそうだ▼夜空を走る火球、カプセル帰還の映像に胸が熱くなるのはどうしてだろう。孤独でひたむきな人物を重ねたくなる、はやぶさ2のけなげな「人柄」に加え、そこに携わる人間の努力や意志を火球の光の中に見ているのかもしれない▼「大人は凄いことをやっている。とんでもないことに挑戦し、面白い未来を作っている。未来には希望はしっかりあり、大人になることは楽しいことだ。そう子供たちん感じてほしい」。はやぶさ2の意味をプロジェクトマネージャー津田雄一さんが書いていた。そうか、あの火球は希望。泣けてくるわけである。(2020・12・7)

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「東京発ー北京行」夢物語りか!

 東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」号なら誰でも知っているでしょう。だが、「戦争中に、僕は『のぞみ』と『ひかり』という急行列車に何度も乗ったことがある」というと、みんな驚きます。  昭和の初期から終戦まで朝鮮(韓国)の釜山から平壌(北朝鮮=ピョンヤン)を経て旧満洲(現中国・東北部)の新京(長春)までニ泊三日かけて、異国の地を我が物顔でひた走った列車の愛称がそれです。、  明治以来、日本は軍隊や大量の軍需品、開発した物資をいち早く輸送するために国策会社(南満洲鉄道会社など)を設立。鉄道の敷設、流通に奔走した。しかし、戦後不幸にも南北の分断、冷戦、そしていまでもその経路は遮断されています。  しかし、もし南北の統一が果たされれば、ソウル発ピョンヤン経由で北京まで直行列車を走らせることができるでしょう。ぜひとも走らせたいものです。おぞましくも痛ましい拉致問題などの解決にはなお幾多の曲折があるでしょうが、いま望まれるのは対立を煽るのではなく、話し合いの積み重ね、相互の交流こそが大切なのではないでしょうか。実現不可能な遠い「夢物語り」かも知れないが、もし玄界灘に橋を架けるか、トンネルを掘ることができれば、東京発北京行きだって、いや、札幌発ロンドン行きだって可能かも知れません。愛称は「希望」「平和」。通過駅ごとにその国の言葉でネーミングしたらどうでしょう。(この稿は、2013年に書いたものに若干の手を加えた)

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原稿読むだけ どこかの首相 『東京新聞・筆洗』

 ある政治家が演説のコツについて書いている。大切なのは語り手の「まなざし」らしい▼どんなに大きな会場でも、小さな会場でも出席者すべての人間を個々にながめるよう努力するのだという。そうすることで人をひきつけ、自分もまた人からエネルギーをもらえるそうだ▼伝えたかったのは演説のコツではなく、政治家としてのコツかもしれない。群衆全体ではなく、ひとりひとりの顔を強く意識し、語りかける。書いているのは先日亡くなった、元フランス大統領のバレリー・ジスカールデスタンさんである。九十四歳▼現在のサミットにつながる先進国首脳会議を提唱したほか、欧州統合への下地づくりなど外交上の成果を残した。国内においては、女性の権利向上に取り組み、女性閣僚を積極的に起用した大統領でもある▼さて演説などで個々の顔を見るように努力した結果、その人にどんな効果があったか。恋に落ちたそうである。「七年間の大統領在任中、私はすべてのフランス女性に恋していた」。お国柄もあろうが、ここまで言い切れる政治家はいないだろう▼どこかの国の首相の記者会見を見た。うつむきがちなこの人の「まなざし」はだいたい手元の原稿用紙に向けられている。それを読み上げるばかりで、質問には正面から答えようとしない。見ている方は恋はおろか、大切に思われている気もあまりしない。(2020・12・6) 

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志位委員長中国を厳しく批判 『赤旗・潮流』

戦後75年にわたって対米従属国家の地位に甘んじているうちに、この国は「主権」を忘れてしまったのでしょうか▼「一部の真相をよく知らない日本の漁船が絶え間なく釣魚島(尖閣諸島)の周辺の敏感な水域に入っている。これに対して中国側はやむをえず必要な反応をしなければならない」。訪日した中国の王毅(おうき)外相と茂木敏充外相との共同記者会見(11月24日)での、王毅氏の発言が波紋を呼びました▼日本が実効支配している尖閣諸島を中国のものと決めつけ「日本側が勝手に侵入している。だから(中国公船が)対応しているのだ」という発言です▼主権国家に対する、これ以上の侮辱はありません。ところが茂木氏は、その場でこの発言に抗議せず、王毅氏の発言だけが記録に残ってしまったのです▼「驚くべき傲岸不遜(ごうがんふそん)な暴言だ。絶対に許してはならない」。日本共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で中国の対応を嚴しく批判。あわせて、「覇権主義にモノも言えない屈従外交でいいのか」と日本側の対応を批判すると、「よく言ってくれた」と、自民党内や、日ごろは右派的な論陣の人たちからも賛同の声が相次いでいます▼菅政権は米国・ロシア・中国という大国ににモノを言えない安倍前政権の「屈従外交」を継承する一方で「中国脅威」をあおって大軍拡の口実にしています。こんな姑息なことはもうやめて、だれに対しても、間違っていることは間違いだと主張する。そのことが、平和と友好への一歩になると言いたい。(2020・12・59

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見通し立たない無謀な運転 『赤旗・潮流」

人力や馬に頼らず、機械で走る車を人類が得たのは、今から250年前でした。フランスの蒸気自動車が始まりで、ガソリン車の誕生は、それから1世紀以上も後のことです▼明治の日本が国産のガソリン車を最初に完成させたのは1907年。製作者の名をとって吉田式と呼ばれる一方で、運転手がガタクリ、ガタクリ走ると言ったことから「タクリー号」のあだ名も(『自動車の世紀』)▼その後国内の自動車づくりは軍事と結びついて発達しますが、敗戦によって一変。ガソリンが統制されたことから電気自動車が開発され、実際に発売したメーカーも。それまでの流れを変える機会が戦後の日本にあったのです▼20世紀の主役となってきたガソリン車は気候変動によって、いま曲がり角にきています。英政府は2度も前倒し、2030年までにガソリンとディーゼルの新車販売を禁止すると発表。フランスや中国、米国やカナダの州の一部も年限を示して規制を強めるなど、脱ガソリンの動きは世界的にひろがっています▼出遅れる日本は、ようやく30年代半ばに禁止する方向で調整に入ったと伝えられます。しかしエコカーの開発・普及は進まず、昨年の新車販売の6割をガソリン、ディーゼル車が占めているのが現状です▼地球温暖化に対する政府や企業の危機意識の欠如や無責任さがここにも。これまで自動車を国の重要な基幹産業と位置づけておきながら、見通しが立たない無謀な運転をつづけるのか。先のない乗り合いはごめんです。(2020・12・4)

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いつも心はふるさと沖縄へ 『赤旗・潮流』

歩いているときは、何事にも束縛されない自由な時間。歩き旅は、たちどまり、シャッターを押したくなる場面にたくさん出合える。だから、楽しい・・・▼北海道の宗谷岬から沖縄まで3500㌔を80歳で踏破した報道カメラマンの石川文洋さん。一昨年の7月から11カ月をかけて歩き通した間に撮った3万5千枚もの写真。その中から厳選された120点が今月20日まで横浜の日本新聞博物館で展示されています▼列島の自然や人びとの営み、災害や公害の被災地、原発や基地のまち。20代のころから戦争や社会の矛盾に目を向け、記録し続けてきた文洋さんの写真は温かくも厳しい現実を映します。そしてどこにいても、いつも心はふるさと沖縄へ▼鹿児島からのフェリーで本部(もとぶ)港に近づいたとき、異様な光景が目に入りました。周囲の山が大きく削られ、白い山肌が無残に。採取された砂利は辺野古を埋めるために運ばれる。国策の名のもとに姿を変えられるのは、私たちの美しい湖だけではない、山も・・・▼埋め立てが始まってから、まもなく2年。コロナ禍にあっても、政府は見通しの立たない工事を強行しています。しかし、本紙1日付で報じたように土砂の投入はまだ全体の4%にも満たず、中止に追い込む不屈のたたかいも続いています▼生きているうちに基地のない平和な沖縄を取り戻したいという文洋さん。そのためにも、多くの人や次の世代に自分が見てきた光景を伝えたいと。決してあきらめない夢をかなえる旅は、これからも。(2020・12・3)

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中高年のひきこもり問題『赤旗・潮流』

優しいひびきにを感じます。「こもりびと」と言う言葉。ひきこもりのことを指します。神奈川県大和市が温かみのある呼び方をと名付けました。今や100万人を超えていると調査結果が出ています▼中でも増えているのは中高年のひきこもり。61万人を数えます。80代の親とともに50代の子が孤立していく「8050(はちまる。ごーまる)問題」が起きています。NHKが”こもりびと”と銘打って。ひきこもりを考える企画を展開しました▼中高年のひきこもりと切り離せないのは労働環境です。非正規の不安定雇用や失業、激しい競争。パワハラ。尊厳を傷つけるような実態がひきこもりの要因になっています。動けなくなり、部屋や家から出られなくなる。そんな状態が数年から30年、40年と続きます▼「ひきこもり死」という深刻な事態も生じています。親が施設に入所したり、亡くなるなどして、独りぽっちになり生きる気力を失い、食べることもなく衰弱して死に至るのです。全国の自治体によると、「ひきこもり死」の危険があると推定されるのは300件以上となっています▼自ら自治体に相談に来たのは15・6%、支援を断った例が72%という調査も。働いていない負い目を感じているからです。家族や行政が差し伸べられる手は・・・▼「おはよう」「ただいま」と日常で掛ける一言の大切さ。家や職場ではない、もう一つの居場所の確保も訴えられています。そして何より求められるのは、”自分を責めなくていい”社会の実現です。 (2020・2・2)

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「一陽来復」の文字入れたい 『赤旗・潮流』

はや師走。いつもなら、ゆく年を追いかけながら、くる年を望むとき。しかし、今年はコロナ禍で社会のありさまが一変。面持ちの異なる年がわりです▼賀状づくりをうけおう業者からこんな話を聞きました。疫病払いの妖怪アマエビをあしらう、悪いことが続いた後に運が開くという意味もある一陽来復の文字を入れたい。今年はそういう注文が多く、それとともに、終活を告げる人が例年よりも増えていると▼「このままでは年を越せない」。仕事が激減した中小業者や客が遠のいた飲食店の訴えです。「生活が立ち行かない」。なりわいを奪われた女性や若者の叫びです。政治の支援が届かず、苦境に陥る人びとは後を絶ちません▼この期に及んで国や都は東京五輪・パラリンピックの追加経費に数千億円を負担しようとしています。すでに1兆3500億円までふくらんだ大会経費も組織委員会を含めた3者で負うことになっていますが、みたび感染の波が押し寄せている状況下でさらなる出費とは▼いったいこの国の政権はどちらを向いているのか。ただなりゆきに任せているだけなのか。くらしや営みを守り、医療や検査体制を支える。そのための対策を求め、現実に政治を動かしていうのは市民や野党の声です▼恒例の今年の漢字には禍や病、疫を予想する人が多いといいます。ウイルスがもたらした未曾有を映していますが、世には禍い転じて福となすという教えも。ここは危機をのりこえ、新しい政治や社会を築く「望」としたい。(2020・12・1)

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