平和の波につなげた少女の視線 『赤旗・潮流』

いまも忘れられないそのまなざし。顔が焼けただれ、もうろうとさまよう同じ年頃の少女。その目が訴えてきました。「助けて、水をくださいー」▼日本被団協の児玉三智子さんは、7歳のときに広島で被爆しました。学校まで駆けつけた父の背から見た光景。それはまさにこの世の地獄でした。その後も被爆者であるがゆえの偏見や差別にあいます。就職や結婚、子どもの死。「私たちを苦しめ続けている核兵器はまだなくなっていません。だから私の中では戦争が終わっていない」と▼その児玉さんが「こんなにうれしいことはない」と喜びの声を上げました。人類が初めて核兵器を全面的に違法とした条約の発効に「亡くなった多くの被爆者に、あなたの命を奪った原爆は国際法で禁止になったと報告したい▼76年前、膨大な命とともに日常を根こそぎ奪い、のちの人生をも狂わせたが原爆。身を持って体験した被爆者や平和を願う人びとは、その存在を断じて認めず、地球上から悪魔の兵器をなくせと訴えてきました▼歴史的な一歩は世界にひろげた核廃絶運動の到達点でもあり、人類の新たな出発点にも。ところが、その歩みの妨げになっているのが、こともあろうに被爆国日本の政府です。条約に背をむけ。核保有国にすり寄る情けない態度。いま、そんな政治を変えようと立ち上がる若者たちの姿もあります▼決して忘れてはならない、あの日のまなざし。平和の波につなげた少女の視線の先にあるものは、核なき世界の未来でしょう。(2021・1・23)

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