[ひとの復興はいまだ寒々しい」『赤旗・潮流』

住宅地の一角に木碑が建っています。正面に刻まれた「大きな地震が来たら戻らず高台へ」の文字。ここは、岩手・大鎚町の安渡地区。あの日の津波で200人以上が犠牲になった場所です▼8年前に地元の高校生が発案し、住民の協力で建立。震災の風化を防ぎ、教訓を伝え続けるため、4年ごとに建て替えられてきました。お披露目された新しい木碑の側面には「未来 帰らぬ人の想いを背負い 繋いで生きていく」▼東日本大震災から10年。津波に襲われ、がれきと化した三陸沿岸部は様変わりしました土地は造成され建物は新設され、道路や鉄道が開通。コンクリートの巨大な防潮堤がそびえ立ちます。進むまちづくり。しかし、ひとの復興はいまだ寒々しい▼どこも人口減や空き地対策、被災者の心のケアが深刻な課題に。コロナの追い打ちもあり、飲食や商店を営む人たちの口からはため息ばかり。「先行きも見えず、不安しかない」▼震災時からカメラを通して大鎚の移り変わりを見てきた中村(旧姓=菊池)公男さんは「地域の支え合いは残っている」といいます。だからこそ、自治体は生活者や起業する若者たちの要望に耳を傾けそれを支援に生かすべきだと▼NHKのアンケート調査ではいまの復興の姿を「思い描いていたより悪い」と答えた被災者が半数以上も、進まない生業や地域の再生。被災地の現状は地方やひとに冷たい「日本政治の縮図」のようだという中村さん。そこを変えこそ未来へとつながるはずだと。(2021・3・11 )
【注】福島県いわき市の「いわき震災伝承みらい館」では、メッセージをつづった黄色いハンカチ約350枚を同館入り口に展示しています31日まで。
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