公主嶺小同窓会誌 第5章 エピソード -12-

 送って頂いた『80周年記念誌』目次によると、公主嶺小学校にスチーム暖房が備わったのは大正末期のゆである。冬の満州を偲ぶよすがにと北国の雪を訪れ、静まり返った夜の宿でスチームの音を耳にしたとき、ふっと心に浮かんでくるのは、小学校の廊下で聞いた幼いころのスチームの音である。

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  スチーム暖房と沢庵
        松本 彰(25回生)

 
 寒い冬になると、昼の弁当は温かい方がいいのは当然のことで、2時間目の授業が終わるころになると、廊下のスチームの上には色とりどりの弁当の包みがずらりと並んだ。そして昼休みになると、スチームで適度に温められた弁当にありついたが、たまたまその中に沢庵(たくあん)が入っていると、弁当箱のふたを開けた途端、なんともいえない芳香がしたものである。農事試験場でとれた搾りたての山羊の乳を飲みながら食べた温かい沢庵の味と香りは、いまでも忘れられない思い出となって、ただよってくる。
 最近は科学技術の進歩により、多種多様の合成された味と馨りが市販されているが、この公主嶺小学校のスチーム製の沢庵の味と馨りも、いつの日か、どこかで開発されて現れてくるのではないかと、少年のような夢にふけるこのごろである。

】中国語訳文

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