絶対王政「ルイ14世」のよう 『赤旗・潮流』

太陽王と称されたフランスのルイ14世は内政や外交も統治する宰相でもありました。みずからを神の代理人として国民の財産、自由、生命さえ、利用してかまわないと信じていました(『フランス史」)▼かの言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家なり」は、絶対王政のあり方を示すことで知られます。元検事総長らにそれを例えられたのが安倍首相です。近代国家のかたちを否定し、思うがままに権力握ろうとする姿が重なったからでしょう▼先月7日から出されていた緊急事態宣言が全国で解かれました。アベノマスクに象徴されるように、この間の政府の対応は国民から批判され続けられました。コロナ禍で営みや食を失い、生活苦にあえぐ人々に寄り添ってきたのかと▼暮らしと命に直結する状況のなかで国民の政治意識は高まり、政権の不誠実が不信をひろげています。内閣支持率は2割台に急落。苦難のもとで優雅にふるまう動画は「まるで貴族」と反感を買いました▼亡霊のようなルイ14世の言葉をほうふつとさせる姿勢を国会でも追及された安倍首相。そのとき間違えて口にした「ルイ14世」は最後の絶対君主でした。在位中にフランス革命が起こり、王政の崩壊は後世に大きな影響を与えた「人権宣言」につながりました▼為政者ではなく、国民の声が政治や社会を動かす・・・。その幕開けとなった革命を目の当たりにしたドイツの詩人ゲーテは、こんな言葉を残しています。「ここから、そしてこの日から、世界史の新たな時代が始まる」(2020・5・26) 【今日の出来事】1969年東名高速全線開通 1972年米…

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「イタリアの女性たちのたたかい」 『赤旗・潮流』

男性ばかりだった光景が一変します。突破口を開いたのは女性たちの声でした。イタリア政府が設置した新型コロナウイルス対策の作業部会。新たに11人の女性が加わることになりました▼戦後最悪規模の深刻な打撃を受けた社会や経済をどう立て直す。当面の対策だけでなく今後の国の在り方も含めて議論する場として設けられたのが作業部会でした▼問題はその構成です。どの作業部会も構成員はほとんど男性。医療専門家などでつくる作業部会にいたっては全員が男性です。さすがにこれはおかしい。ジェンダー平等の観点から構成を見直すよう女性たちが一斉に声を上げたのも当然です▼「私たちに発言権を」と銘打った市民団体は首相宛てのオンライン署名を開始。恋人やパートナーからの暴力増加など、女性はコロナ危機から特に被害を受けている。働いて社会を支えている女性は無数にいる。「それなのになぜ女性抜きで国の未来を議論するのか」と訴えました▼正論を突き付けられた首相はついに「女性の貢献は国の再生に役立つ」と述べて女性専門家の追加を発表しました。草の根の運動で政治を動かした女性たち。女性の地位向上を目指す国連機関UNウィメンも、その奮闘に注目しています▼コロナ危機後にはもっと平等で公正な世界をー。「より良い形への復興」へ模索が始まっています。誰もが大切にされるジェンダー平等社会の実現もその一つ。イタリアの女性たちのたたかいがその一歩となったことは疑いないでしょう。(2020・5・25) 【今日の出来事】1963年アフリカ統一機構(OAU)憲章調印 1945年…

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かってない事態だから、かってない取り組みを 『赤旗・潮流』

「学校ってなんだ」。こう繰り返す詩を書いて担任に渡した子どもがいました▼新型コロナウイルスによる一律休校。「怖い」「私にもうつるの?」。胸が押しつぶされそうになりながらも、日々を必死に生きるおとなを前に、不安をおしこめてしまった子どもたち。この数カ月を「なかったこと」にして、前に進むことはできません▼緊急事態宣言の解除が徐々に進み、学校再開も広がる今だからこそ、子どもの思いから出発しよう。そんな教員のとりくみも始まっています。「休校中に何か自分が困ったことや心配なことは?」「コロナのことで思ったことや知りたいことは? あなたは何を知っている?」。不確実な情報にも振り回されたおとな自身にとっても、大切な学びです▼一方で、「なかったこと」にして、思い切りエンジンをかけようとする動きもあります。こま切れの方針が続き、その対応に疲弊する教職員。学校現場も教育委員会もとびこして先走る首長が、よりよい環境をと奔走する現場にさらなる混乱をもたらす。「せめて現場の声をくんでほしい」と悲鳴があがっています▼学びの保障は欠かせません。でも。この瞬間に命あることを、まずは喜び合いたい。そして感染予防と、成長や発達を豊かに保障する生活とを、すり合わせていきたい。知恵を出し、試行錯誤を重ねながら、子どもとともに歩みを進める学校が求められています▼いまだかつてない事態だからこそ、いまだかつてないとりくみを。そのためには、人もお金も手間も惜しまずに。(2020・5・24) 【今日の出来事】1945年3月10日についで5月24…

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「高校野球中止になったが・・・」 『赤旗・潮流』

天を仰ぐ、泣き崩れる、そっと仲間の肩を抱く・・・。球児それぞれの喪失感はいかばかりか。20日、日本高校野球連盟は夏の甲子園の中止を決めました▼春、夏の大会が中止となったのは、戦争の4年間を除けば初めてのこと。選手の安全を第一に考えれば仕方のない判断です。新型コロナウイルスの克服がいかに難しいか、改めて思い知らされます▼高校球児の大きな目標であり夢の舞台。それを失った悲しみを癒やす言葉は容易にはみつかりません。それでも人生の先輩がさまざまエールを送ってくれています▼プロ野球・巨人の坂本勇人内野手は、「長い人生の中で苦しいこと、悲しいことはまだまだある。そのときにこの経験がプラスになる」。日本ハムの栗山英樹監督は、「この夏の勝負が人生の勝負に変わった。大きな苦しみを力に変えて」と。ある強豪校の監督は言葉を絞り出しました。「これまでの努力は無駄ではない。5月20日で努力をやめてしまうのはもったいない。すこし時間をかけてもいいから、前に進もう」▼活躍の場を奪われたのは高校野球だけではありません。今夏、中学や高校のすべての部活動の全国大会が中止となり、吹奏楽や合唱なども例外ではありません▼気になるのはこれらの生徒の今後です。心のケアなどの丁寧な対応は必須です。同時に思うのは、せめてささやかでも「発表の場」をつくれないかということ。喪失感を共有する仲間とともに区切りをうける。それが「前に進む」大きな力になると思うからです(2020・5・23) 【今日の出来事】1947年社会党片山哲、首相に指名される 194…

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元凶を取り除くしかない 『赤旗・潮流』

余人をもって代えがたい、必要不可欠な存在。政府がそう評してきた人物が辞めることになりました。なんと賭けマージャンで。検察ナンバー2の黒川弘務。東京高検検事長です▼安倍政権が法や憲法をねじ曲げ、閣議決定までして引き延ばした彼の役職定年。今国会、反対世論の急速なひろがりによって断念した検察庁法改定案の発端となった特例です。その渦中で、しかも緊急事態宣言の下で、当の検察官が賭け事に興じていたとは▼権力は人を堕落させるー。古今東西の歴史が教える教訓でしょう。それは黙従する取り巻きも。政治学者の中野晃一さんは「しかしまあ、日銀、NHK、内閣法制局、国税庁、法務省・検察庁と安倍の政治任用で権威も信憑性も完全にズタボロになったね」とツイッターに▼見過ごせないのは雀卓を囲んでいたのが新聞記者だったことです。報じた週刊誌によると、産経記者のマンションで同社の記者2人、朝日新聞の記者だった社員と。いずれも下検察担当だといいます▼なによりも気をつけなければいけない権力との癒着。それを疑われる行為自体、ジャーナリズムの退廃とみられます。まして闇の賭けマージャンでどんな関係をつくろうとしていたのか▼森友・加計、桜を見る会ををはじめ、首相みずからのあまたの疑惑や失政をとりつくろうため、周りもまた人として壊れ、傷ついていく。国や社会の仕組み、人間のあるべき姿を変ぼうさせる負の連鎖。それを断ち切るには元凶を取り除くしかありません。(2020・5・22) 【今日の出来事】1965年中国第3期全国人民代表大会で人民解放軍の階級制度…

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成り立たない核燃料リサイクル政策 『赤旗・潮流』

青森県の下北半島の付け根に位置する六ヶ所村で、日本原燃の使用済み核燃料の再処理工場が建設中です。27年前に着工されたものの、トラブルなどが相次ぎ、完成時期の変更は24回にも及んでいます。いまは21年度上半期をめざすと▼原子力規制委員会がこの施設について、新規制基準に適合したという審査書案を了承しました。この再処理工場を「核燃料サイクル」の中核と位置づけているのが政府です▼全国の原発の使用済み核燃料を運び込んで、プルトニウムやウランを取り出す”放射能化学工場”です。取り出したプルトニウムとウランは混合酸化物(MOX)燃料として再利用しようというのです▼そのサイクル自体がすでに破たんしています。これを大量に利用することを想定していた高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉が決まっているのです。工場が稼働すれば、使い道のないプルトニウムが増えるだけです▼一般原発でMOX燃料を使うやり方も、電力会社は「16~18基」とする計画ですが、現在稼働するのは4基のみ。日本はすでに原爆6千発分に近い約46トンのプルトニウムを保有しており、国際社会から懸念を広げかねない事態です▼国内外の再処理工場では放射能の放出や漏えい事故、火災爆発事故、核分裂反応が連鎖的に起きる臨界事故などが繰り返し起き、原発以上に危険ともいわれています。どこからみても核燃料サイクル政策は成り立ちません。規制委のお墨付きは、稼働する理由を失った現実を無視したものでしかありません。(2020・5・21) 【今日の出来事】野口英世(1876~1928)年ガーナ…

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「小さな石投げたら山が動いた」『赤旗・潮流』

繁華街の歩道わきに捨ててあった、コンビニの袋とカラスの死がい。それを見たとき、自分と同じものだと、ふと考えてしまったあの日、もう今の世の中に溶け込みたくない、そのために、なにかしなくてはと・・・▼作家の室井佑月さんが著書『この国は、変われないの?』で自身が小さな行動を始めたきっかけをつづりながら呼びかけています。まず、ため息をつくのをやめよう、ため息は意見に変えよう、声をあげれば変えられる、一緒に声をあげる人たちが見えてくる▼政府が検察幹部の人事に介入できる法制定を今の国会では断念しました。国民の反対の声と野党の共闘に追い込まれて。瞬く間に数百人にひろがった。”ツイッターデモ”のひとり、俳優の小泉今日子さんは「小さな石をたくさん投げたら山が少し動いた」▼いまごろ「アベノマスク」が届きました。すでに街中にはマスクがあふれているときに。遅れてばかりのコロナ対策、積み重なる数々の疑惑。居直る首相や政権にたいする不信感が危機のなかでの政治意識の高まりにつながりました▼直近の世論調査でも内閣支持率は急落。多くの声に背を向け、次つぎと強行してきたアベ政治も、このところは押し通せずに撤回つづき。もはや専横も浮足立っています▼新しいかたちの政治参加や連帯する大きなうねり。古来、「民の声は神の声」の成句はときの権力者をいさめてきました。国民が声をあげるとき、政治は動く。この国の希望を示す一人ひとりの小さな行動の結集です。(2020・5・20) 【今日の出来事】1932年『日本資本主義発達史講座』(岩波書店)刊行)…

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ギャンブル依存症の深刻さ 『赤旗・潮流』

「風当たりは強いが開いていれば来てしまう」。開店前からパチンコ店に並ぶ男性が漏らしていました。休業要請にも営業を続ける店内はまさに「3蜜」状態。しかし訪れる人は断えません▼感染の恐れが分かっていてもやめられない。ギャンブル依存症の深刻さがあらわになっています。衝動を抑えきれない症状にくわえ、抑うつや不安のときに足を向ける人は多いといいます▼最近の支援団体の調べでも明らかです。依存症の治療を受ける前に今の状況になっていたら、ギャンブルで不安を取り去ろうとしていた。治療中のおよそ7割がそう答えています。より3蜜な違法賭博店に通う姿も▼食を失い、家庭を失い、借金を重ね、底なし地獄に落ちていくギャンブル依存。自身や周りを危険にさらしてまでのめり込む人たちに手を差し伸べ、対策をとることが国の役割のはず。ところが、政府はIR(統合型リゾート)カジノの導入に血眼です▼コロナ拡大のなか、いま世界中でカジノの閉鎖がひろがっています。客を大量に集め、カジノに誘導し、巨額の収益をあげるというIRのビジネスモデルは終えんを迎えているー。国際金融論が専門の鳥畑与一・静岡大教授が本紙で語っていました▼先日、世界最大の米カジノ企業が日本進出を断念すると表明。衰退する海外のカジノ企業に地域社会の運命を委ねるような愚行はすべきではない、と鳥畑さん。人の不幸のうえに成り立つギャンブル。それに依存する国に国民の命とくらしは守れません。(2020・5・19) 【今日の出来事】1946年食糧メーデー、「飯米獲得人民大会」 1960年「新…

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ジョン・ロックの『統治二論』 『赤旗・潮流』

17世紀イギリスの哲学者が説いた思想は後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にに強い影響を与えたといいます。現在の基本的人権の尊重にもつながるジョン・ロックの『統治二論』です▼主権は神から授かったという説を批判し、国民主権や三権分立を唱えました。その著書の一節がときの権力者に突きつけられました。「法が終わるところ、暴政が始まる」・元検事総長ら検察のOBが法務省に出した検察庁法の改定案に反対する意見書です▼「検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意図している」。この法案の問題点を指摘し、すべての声を結集して阻止することをよびかけています▼政府の強権的なやり方に現職の裁判官も「まともな法治国家とはいえない」と、メディアで異例の批判。検事としてロッキード事件を担当した堀田力さんも、森友や加計のような事件があったときに検察は動かないようにする、それしかないと▼いま「桜を見る会」をめぐり、全国の弁護士や法学者が公選法違反などの疑いで安倍首相らの告発状」を東京地検に提出しようとしています。こうした疑獄を裁くことは国民にたいする司法の責務です▼長い時をかけてつくり上げてきた政治や社会のかたちを逆戻りさせる歴史の冒とく。ロックは新しい統治の姿を打ち立てるのは人民だと主張しました。自分たちがよいと考えるところに従って、決定する権利をもつことになるのである。(2020・5・18) 【注】ジョン・ロック(1632~1704)近代イギリスを代表す…

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[「優生思想」につながる危惧 『赤旗・潮流』

手洗い、マスク着用、「3蜜」を避ける・・・。新型コロナウイルスに感染しない、させないように努力する毎日。そんな中、コロナに感染した力士がなくなりました。基礎疾患があったとはいえ、28歳とい若さ。衝撃を受けました▼不安の波が消えない日々・・・。気分転換したくなりますが、東京では映画館もライブハウスも閉まっています。公園でのピクニックも難しい。自粛、自粛で鬱々(うつうつ)とした気分になります▼ 休業を余儀なくされて収入が減った人。解雇された人。外遊びできない子ども。”コロナに負けるな”のフレーズは、お互いに励まし合う思いからでしょう▼でもー。「ちょっと違和感がるな」とい声を聞きました。「感染者や命を落とした人は、新型コロナに負けたってことになるような気がして」。勝ち負けという意識が、さまざまな偏見や差別を生むことになるのではないかと▼偏見・差別が広がると、排除の社会的風潮も強まります。それは、人には優劣があり、劣る者は不要だとする「優生思想」につながります。感染しやすいとされているのは、障害がある人や持病がある人、高齢者や低所得者。いわゆる社会的弱者です▼重症患者は治療の対象外とするガイドラインを策定したり、高齢者の呼吸器を外して、”治療効果のある”若者につけ直したりする国も出ています。救命救急や人口呼吸器がひっ迫したとき、どう対応するのか。命の選別をせず、あらゆる人の尊厳が尊重されるように。社会のありようが今、問われています。(2020・5・17( 【今日の出来事】1981年ライシャワー元駐日大…

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「政治を笑い飛ばすような。・・・」 『赤旗・潮流』『政治を笑い飛ばすような」

政治を笑い飛ばすような記事やコラムを届けたい。そう願いながら、うまくいかないことが多い。笑って考える番組として定着しているのが、NHKEテレの「バリパラ」です▼社会や心の内にある障壁を取り除く”バリアフリー”と多様性を意味する”バラエティー”を掛け合わせた番組名。差別や偏見の中で、生きづらさを掘り下げようとする趣向です▼4月23日は「桜を見る会 バリアフリーと多様性の宴(うたげ) 第一部」と題して、コントにアブナイゾウ総理と無愛想太郎副総理なる人物が登場。これが25日深夜に再放送されるはずだったのが、新型コロナを取り上げた別の回のものに差し替えられました▼何が起きたのか。制作した大阪放送局の広報部は「障害者のた立場からの新型コロナ対策の番組を再び伝えるべきと判断した。圧力や介入はなかった」としています▼番組への圧力といえば「慰安婦」問題を取り上げた2001年の「ETV特集」の改変がありました。最近でも、かんぽ生命の不正販売を追及した「クローズアップ現代+」について日本郵政グループが抗議すると、当時のNHK会長が謝罪。続編の放送は見送られました▼NHKはこれらの問題の全容を明らかにしていません。「パリパラ」の関係者は言います。「差し替えの指示は現場のしらないところから来た。番組は、ものを考えてもらうきっかけなればと思ってつくった」。スタジオの桜の下で語られた。ヘイトや優生保護法の話は視聴者に深く問いかけるものでした。(2020・5・16) 【今日の出来事】1966年中国でプロレタリア文化大革命起き…

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「沖縄返還から48年」 『赤旗・潮流』

日本の最南端にある有人島、波照間(はてるま)島「果の珊瑚の島」という意味をもつ美しい小島には、悲劇の歴史が隠されています。もう一つの沖縄戦と呼ばれる「戦争マラリア」です▼当時、日本軍の命令で強制移住させられた住民たち。そこはマラリアがまん延する西表(いりおもて) 島のジャングルでした。感染症によって人口の3分の1が病死。強制移住は八重山諸島の各地で起き、3600人をこえる犠牲者を出しました▼「民よりも団体を優先した沖縄戦当時の国家システムは、現在も地下水脈のように脈々と続いているように思えてならない」。映画「沖縄スパイ戦史」の共同監督、大矢英代(はなよ)さんは著書『沖縄「戦争マラリア」』にそう記しています▼米軍や自衛隊の既存の基地に加え、辺野古や高江の新基地建設、島しょ部のミサイル部隊やレーダー配備。琉球列島の全体がますます軍事化され、同じ過ちをくり返そうとしているからこそ、歴史から学ばなければならないと▼きょうは沖縄が日本に返還された日。復帰から48年、感染症のさなかの県議選は命とくらしを守るたたかいになっています。こんな時に巨額を米軍につぎ込むのか、それを県民のために使うのか。対決点は鮮明です▼米軍嘉手納基地ではコロナの感染者が出ましたが、詳細は非公開で国内法も適用されず。周辺の自治体からは、これでは住民を守れないとの声が。今も沖縄に絡みつく戦争という災厄。しかし、どんな苦難にもあきらめない県民の姿もまた。平和をかちとるまで。(2020・5・15) 【今日の出来事】1932年五・一五事件(…

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「生涯学習。生涯青春」畑田重夫さん 『赤旗・潮流』

会えない母に週1回届ける花の絵手紙。看護師の娘を案じる親の心情。家にこもる日々のなか、自然の息吹にふれて癒やされる時間。最近の『読者の広場』欄に載った声です▼くらしの悩みや過ごし方の工夫、身の回りで起きていること、政治や社会について思うこと・・・」。コロナ禍のもとで投稿は増え、担当者は「これまでとは異なる日常を体験し、それを共有しあう貴重な交流の場になっている」と▼とても励まされた、元気をもらいました・・・。先月掲載されたある投稿に大きな反響がありました。感染症を克服してきた人類の歴史に確信をもち、こいうときこそ明るい社会を展望する学習を深めよう。96歳、畑田重夫さんのそんな呼びかけに▼戦争の生き残りとして、長く平和運動に身をささげてきた国際政治学者。掲載された日は朝から電話やファクス、メールが絶えず、はがきや手紙も相次いだそうです。激励の感謝とともに希望をもった生き方への共感を込めて▼きょう、一部の地域を除いて緊急事態宣言が解かれます。ただし、コロナが収束したわけでもなく、自粛や緊張はこれからも、気が緩めばふたたび感染が拡大する危険もあります。ひきつづく支援と十分な備えが必要でしょう▼右目が見えない不自由を強いられながら、いまも「生涯学習・生涯青春」の気概で心豊かな人生を送っているという畑田さん。コロナ後の世の中は変わるはず、変わらなければならない。そのために、みんなとともに社会の矛盾とたたかう覚悟だと。(2020・5・14) 【今日の出来事】1948年イスラエル建国 2007年憲法改正のため…

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”ツイッターデモ”空前の規模 『赤旗・潮流』

政府の休業要請によって、やむなく閉じている店に盗みに入る。こんな許し難い犯罪が後を絶たないといいます。泣きっ面に蜂の被害者を思うと言葉を失います▼こういう不逞のやからは震災時にも横行しました。世にいう、火事場泥棒です。火事のどさくさに紛れて物を盗む。その意味から、ごたごたにつけ込んで不正な利益を得ることを言い表します▼まさにいまの安倍政権がそう。コロナ禍で社会が混乱しているときに、検察人事に手を突っ込める法改定の強行に突き進んでいます。憲法と三権分立という国の基本を壊す、自分の意のままに捜査当局を操るー。火事場泥棒もあきれる悪行ではないか▼いまやることか、いくらなんでもひどいと、立ち上がったのが無数の市民です。”ツイッターデモ”は数百万にのぼる空前の規模にひろがりました。いままで政治に関係する発言は控えていた著名人や文化人も多く名を連ねています▼演出家の宮本亜門さんは、いま集中すべきは人の命で、「民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは日本にとって悲劇」だと。激しく燃え上がる国民のいら立ちや怒り、近しい人物を都合よく重用する首相や政権の露骨さとともに、生活の苦しみに寄り添わないコロナ対策への不満や批判が重なっているのでしょう▼小さな声を上げることの大切さ。今回のデモは新たな形となって社会を動かす大きなうねりに。はからずも火をつけてしまった政権。背を向け続ければ手痛いしっぺ返しが待っています。(2020・5・13) 【今日の出来事】1948年永井荷風『四畳半襖の下張』で取調べを受ける 【追…

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ナイチンゲール生誕200年 『赤旗 潮流』

きょう5月12日は、近代看護の創始者、フローレンス・ナイチンゲールが生まれてからちょうど200年。公衆衛生の抜本的な改革にも取り組みました▼ナイチンゲールの名を一躍有名にしたのは英仏がロシアと争ったクリミア戦争(1853~56)です。イギリスから看護団を率いてコンスタンチノーブルの対岸のスクタリにある病院に着くと、患者であふれていました▼懸命な看護にもかかわらず、病院で息を引き取った兵士のうち、戦傷によるものが4000人。これに対し、感染症(コレラが中心)で死んだのは1万9000人にのぼりました。3週間に医師が4人、看護師が3人亡くなっています▼ナイチンゲールは雑役兵に、病室の床板をみがき、便器代わりに病棟に置かれた木製のタライを時間ごとにきれいにするよう命じ、ボイラーを購入して洗濯場をつくるなど、清潔な環境づくりに力を尽くしました▼必要な補給品が目と花の先の倉庫にあるのに、軍のあしき慣習で届きませんでした。このとき一人の女声が力を発揮した、と同時代のマルクスが書いています。「誰一人自分の責任で緊急の必要に応じ、しきたりを破って行動する気力のある者はいなかった。それをあえてやった人物こそ、ミス・ナイチンゲールだった」▼手洗いの奨励、窓による自然換気、密集を避けるための病床空間の確保、正確な病院統計の必要など、ナイチンゲールの衛生思想は徹底していました。今に生かせる提言、実践が多いことに驚かされます(2020・5・12) 【今日の出来事】1925年治安維持法施行

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「池江璃花子のメッセージ」 『赤旗 潮流』

不意に変わってしまった日常。戸惑いやもどかしさのなか、当たり前だったことができず、ふさぎ込んでいく日々。そんな人たちを励ますメッセージが込められています▼「言葉に表せないくらいうれしい」。東京オリンピックで活躍が期待されていた競泳の池江璃花子さん。血液のがんといわれる白血病で闘病中ですが、昨年末に退院。3月には406日ぶりにプールに入り、あふれる喜びを語っていました▼水中出産で生まれ、3歳からプールに通う毎日。前回リオ五輪のときには日本の競泳史上最多となる7種目に出場。現在も数多くの日本記録をもつトップスイマーは、昨年2月の突然の宣告によって積み上げてきたものを失いました▼生きていることさえしんどいと落ち込んだ過酷な闘病生活、泳ぐことの意味、そして24年パリ五輪をめざし一から取り組む姿。9日のNHKスペシャルは、この間の彼女に密着し心境の変化を映しました▼以前は早く泳ぐことだけを考えてきたが、いまは苦しんでいる人たちに勇気を与えたいとの使命感みたいなものわいていること。過去を振り返らず自分の成長を楽しむこと。限界までチャレンジしたいという力強さも戻ってきました。視聴者からは「自分も現状に負けずにがんばりたい」と共感の声が続々と▼困難をのりこえ当たり前ことに幸せを感じながら、前を向く池江さん。どん底まで落ちた人間がここまで上がってきた姿を見てもらいたいという19歳から、生きる希望が伝わってきます。(2020・5・11) 【今日の出来事】1891年大津事件(ロシア皇太子、襲われる)1993年自衛隊P…

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「戦争は女の顔をしていない」 『赤旗・潮流』

その本は長く出版されなかったそうです。『戦争は女の顔をしていない』。ベラルーシ出身の女性ジャーナリストが第2次世界大戦でソ連軍に従軍した女性たちの声を集めました▼当時、大祖国戦争と呼ばれたナチス・ドイツ戦に100万をこえる女性が参加。医療や衛生のみならず兵士としてたたかいました。過酷な戦争体験をつづった内容は祖国を中傷しているといわれ、世に出すことを拒まれてきました▼5年前にノーベル文学賞を受けたジャーナリストの主著は日本でも出版され、漫画にも。男中心の軍隊の中で味わう女性の苦悩や屈辱とともに、人間の悲惨さあ凝縮された独ソ戦の姿をも描きます▼民間人をまきこみ、数千万の命が犠牲となった両国の絶滅戦争は、ヒトラーが「皆殺しの闘争」と形容したほど。『独ソ戦』の著者、大木毅さんは「両軍の残虐行為は合わせ鏡に憎悪を映したかのように拡大され、現代の野蛮ともいうべき凄惨な様相を呈していった」と▼ロシアでは毎年5月9日に戦勝を祝う式典が開かれます。75周年の今年はコロナ禍で大規模な行事は延期されましたが、この日は国威発揚の場にもなっています▼一方、ドイツでは8日がナチスから解放された記念日。シュタインマイヤー大統領はコロナ危機をともに担うことができるものへの強い信頼を胸に迎えた。そこに大きな進歩を遂げてきた証左があると。国同士が争い無数の命奪われた過去から、互いの国民の幸せを考える時代に。歴史から学ぶときです。(2020・5・10) 【今日の出来事】1933年ナチスによる「焚書」 1967年ベトナム戦戦犯国際法…

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「今求められる新しい価値観と羅針盤」 『赤旗・潮流』

「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」。イタリアを代表する作家パオロ・ジョルダーノさんの問いかけです▼物理学の博士号をもつ彼は「コロナ禍が過ぎたあとも忘れたくない物事のリストをつくっています。元に戻ってほしくないこと、これからどう生きていきたいのかを考えながら。まずは自分で、そしていつかみんなで・・・(「コロナの時代の僕ら」)▼原因不明の肺炎が中国・武漢で確認されてから5カ月。世界を恐慌と苦難に陥れた感染症の大流行は、次に来る世を創造する機会になりました。フランスの歴史家は「歴史は大きな危機のあと、決して時間の括弧(かっこ)が閉じられないことを教えている」(『世界』最新号)▼日本でも緊急事態が宣言されてから1カ月が過ぎました。大型連休が明けてもうづく長期戦。政府は改めて感染予防や働き方を示した「新しい生活様式」を呼びかけますが、苦しむ人びとへの支援や補償は遅れたまま▼長崎大の山本太郎教授は文明が感染症拡大の「揺りかご」と称される歴史を振り返りながら、それは私たちにどう生きるのか、どういう社会をめざすのかを問いかけていると指摘します。人類の未来に向けて▼社会変革のさきがけともいわれる感染症。いま新しい価値観や羅針盤が求められています。人間らしく生きられる希望のある社会へ。それは、統制された国家に定められるものではなく、開かれた社会のなかで市民の声によってつくられるはずです。(2020・5・9) 【今日の出来事】1954年原水爆禁止の「杉並アピール」発表 …

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「必要なのはマスクであって戦闘機でない」『赤旗・潮流』

毎日が9月12日。米中央情報局(CIA)施設の奥深くにある窓のない部屋に、こんな言葉が掲げられているそうです。訪れた元米政府高官が米誌『アトランティック』(4月6日電子版)への寄稿で明かしています▼著者はオバマ政権で国家安全保障担当副補佐官を努めたローズ氏。2001年9月11日ニューヨークで起きた世界貿易センタービルへの旅客機突入を目撃しました。恐怖と怒りに駆られ、対テロ戦争を支持しました▼その後明らかになっていくイラク戦争の破綻、米兵による虐待事件・・・。「私は間違っていた」。「毎日が9月12日」という感情に押し流されていたと記しています▼ローズ氏には、国民のナショナリズムや怒りを悪用し支持を得ようとするトランプ政権は誤りを繰り返しているように映ります。新型コロナウイルスが襲う中でも、国防総省予算に国務省や海外援助経費の合計の13倍もつぎ込み、核兵器近代化計画は1兆ドル(106兆円)。「優先順位を変えなければならない」「9・11で始まった歴史を終わらせるときだ」と提言します▼米軍機関紙(星条旗)(4月2日付)は「ウイルスは国防戦略の再考を迫っている」との論説を掲載。「現在の危機で必要なのはN95マスクであってF35戦闘機ではない」と強調します▼F35などの米国製兵器を爆買いし、辺野古への米軍新基地建設に固執する安倍政権。一方の米国では、新たな危機と苦闘しながら、安倍政権を置き去りにするかのような模索が始まっています。(2020・5・8) 【今日の出来事】1985年ドイツ、ヴァイツゼッカー大統領…

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「美しい日本語と『ラジオ深夜便』」 『赤旗・潮流』

連続ドラマは制作がストップし、代わりに並ぶのが再放送ものです。情報・ワイドショーは、自宅などからのリモート出演が続きます。見慣れたはずのテレビ画面が様変わりしました▼ラジオの世界も同様です。NHKの「ラジオ深夜便」は放送30周年を迎えて番組アンカーを務めるアナウンサーとリスナー(聴取者)との交流の「つどい」を3月に開く予定でしたが、急きょアンカーだけによる収録となりました▼東日本大震災などで休止した以外は365日、生放送で届けられてきました。「明日へのことば」「五木寛之のラジオ千夜一夜」「音楽で世界旅行」と多彩な企画で楽しみや励ましをもらったリスナーも多いでしょう▼番組を支えているのは美しい日本語です。熟達したアンカーはもちろん、インタビューを担当する各ディレクターもそろって端正な言葉を話します。それぞれの声の個性とあいまって何を伝えたいかが明確です▼言葉は人と人とのつながりを尊重するもの。そこで気になるのは安倍政権の言葉の対応です。新型コロナに関わる首相記者会見は途中で強引に打ち切り。発するメッセージを持たない首相が便乗したのは、星野源さんの動画でした▼時に映像に勝る想像力を書き立ててくれる音声。「ラジオ深夜便」では新企画が始まっています「南相馬便り」もその一つ。現地に暮らす作家の柳美里(ゆうみり)さんが語りかけました。「原発事故によって孤立してる人が(コロナで)さらに孤立した」と。響く肉声が思考を促します。(2020・5・7) 【今日の出来事】1945年ドイツ無条件降伏 1954年ベトナム、…

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