「香港が焚書時代になる」『赤旗・潮流』

香港で人権抑圧を強める国家安全維持法が施行されてから10日あまりがたちました。市民の逮捕が相次ぐ一方、創意工夫をこらした抗議行動が毎日続いています▼「今日焚書(ふんしょ)、明日坑儒(こうじゅ)」。民主派の区議会議員が掲げた抗議の言葉です。法律の施行に伴い公共図書館で民主活動家らの著作の閲覧や貸し出しができなくなったことを非難しました▼「焚書坑儒」は古代中国・秦の始皇帝が自らの支配を固めるために行った思想言論弾圧です。実用書以外の書物を焼き捨てさせ、体制を非難する儒者を穴に生き埋めにしたとされます▼香港政府は昨年来の抗議行動で市民が使ってきたスローガン「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、われわれの時代の革命だ)」も処罰対象だ主張しています。国家安全維持法はもともとどんな言動が犯罪になるのかも不明確なもの。「香港が焚書時代になる」と懸念が広がるのは当然です▼言論封殺に抗して市民がいま新たに始めたのが、何も書いていない真っ白な紙を掲げ、スローガンを叫ばない形で行う抗議です。スローガンは禁止されても意思表示はやめないという意気込みです。当局は参加者を逮捕しましたが「白紙を掲げる人々を政府が恐れるとはおかしなこと」と市民は意気軒昂です▼今の世界では重大な人権侵害は単なる国内問題ではなく国際問題です。人権は自由を求める人々のたゆまない運動で勝ち取られ拡充されてきました。歴史をみれば香港市民のたたかいにこそ未来があることはあきらかです。(2020・7・11) 【今日の出来事】1950年日本労働組合総評議会(…

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「まだなんや!」大阪の10万円給付 『赤旗・潮流』

「なんでやねん」。大阪市天王寺区の喫茶店で男性客2人が声を張り上げていました。現金10万円の一律給付のことでした▼「おまえんとこ、きたか」「まだや」「大阪市は遅いねん」「業者に、丸投げしよったんや。しかも経験のないとこにな」▼一律給付は6月末までに全国の総世帯数のおよそ70%で完了しましたが、大阪市が給付を終えたのは約152万世帯のうち10・9%にとどまりました。全国の20政令都市のうちで最低です▼松井一郎大阪市長は記者会見で、遅れの理由について「システム稼働の遅れに加えて、届いた申請書の支払いまでの各工程において、滞留がが発生していた」と説明しました。コンピュターシステムの電力不足のため工事が必用だったとか▼市が委託した業者は過去にプレミアム付きの商品券の発券作業を担当した事業者、リーマン・ショックを受けた2009年の定額給付金制度の作業を経験した事業者ではなく、松井市長は「給付作業への認識が甘かった」と陳謝しました▼大阪市のコロナ対策は医療提供体制の強化はじめ市民・事業者や文化芸術団への支援でも他の政令市と比べ貧弱です。一方で大阪市が募った「雨がっぱ」は約33万枚が集まり、市は、「医療機関をはじめ必用とする現場で有効に活用」と感謝したもののおおくが活用されず山積み。「とにかく思いつきなんですよ」と、市職員も嘆きます。(2020・7・10) 【今日の出来事】1955年第1回世界母親大会宣言発表 【注】宣言→「生命を生み出す母親は 生命を育て 生命を守ることをのぞみます」

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地球全体が警鐘を鳴らす時代 『赤旗・潮流』

古来日本の文化とは川の文化でもありました。川の水を治め地を養い、米をつくる。人や物を運ぶ。個々の川には、その土地の歴史が刻みつけられています▼この国の川は急流で短い。降った雨は洪水流となって一気に海へ突っ走り、あとはたちまち乾いてしまう。その暴れ川の氾濫原に土地利用をもとめてきたのが日本人であった・・・。『水の文化史』を著した富山和子さんは、昔から水害は宿命的で治水が最大の課題だったと説いています▼しかしいま、魔物のように荒れ狂い、各地で人びとや町を飲み込んでいく姿は、もはや治めることができないほど激しい。数十年に一度、経験したことのない豪雨がぐり返される現実は、川とのつきあい方さえ変えてしまいます▼北極圏に位置するシベリアの町で40度近い気温が記録されるなど、地球全体が警報を流す時代、温暖化を抑え、異常なありさまを元に戻す責任もまた、人類に問われています▼「どんな試練なのか・・・」。一夜にして生活のすべてを失い、途方に暮れる被災者がもらしていました。コロナ禍に水害。列島の至るところで、命とくらしを脅かす危機があるいまこそ、政治が役割を果たすとき、ところが、ときの政府は自利ばかりを追い、疑惑にまみれ、人心や社会を沈ませています▼文化とはゆとりである。そう富山さんは呼びかけます。「先祖たちが培ってきたそのゆとりを現代の私たちが取り返せるかどうかが、いま自然からも歴史からも、試されているように思えてならない」(2020・7・9) 【今日の出来事】1955年ラッセル、アインシュタイン宣言発表 【注】…

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「平和」の対義語は戦争だけではない

「『平和』という言葉を辞書で引いたことありますか?」と問われたら、ほぼ大抵の人は「いいえ」と答えるでしょう。それは誰もが「平和」は日常的に頻繁に使われ、熟知しているつもりでいるからです。  ところが、かつて、必用があって辞書(新明解国語辞典 第五版)を開いて驚きました。第一義には「心配、もめごとがなく、なごやかな状態」と。続いて第二義として「戦争や災害などがなく、不安を感じないで生活できる状態」と、書かれていました。  「平和」の対義語(反対語)はドンパチと銃火を交える戦争だけでなく「災害・洪水」などが肩を並べて明記されているのです。そこで、今度は「災害」とはなんぞやと思いページをめくると「台風、洪水、地震、大火、伝染病」とずらり並べられています。  伝染病イコール感染症とすれば、ここのところの新型ウイルスの猛威は世界中が戦争の渦中にあるといってもいいのではないでしょうか。  これを書いているとき傍らのテレビが、一昨日来の熊本、岐阜、長野県の荒れ狂う河川氾濫の模様を、キャスターがこわばった調子で話しています。 ここ数年来、この国は地震、台風、洪水などに見舞われ災害列島化しています。日本列島は、常に平和が損なわれており、「平和日本を保持する」は日常的、永久の課題なのです。  

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徹底して論戦避けた都知事選

「望外のご支援をいただいた」。再選された小池百合子都知事は喜びを口にしました。前回を下回る55%の投票率。都民はどんな思いで今回の選挙を見つめていたのでしょうか▼感染拡大のなかで活動が制約された選挙戦。コロナ対策やオリンピック、福祉や教育・・・。さまざまな争点があったにもかかわらず、小池知事は徹底して論戦を避けました。テレビ討論もなく多くの有権者に問題が見えないままの選択でした▼選挙中にNHKが実施した都民1万人アンケートがそれを反映しています。小池知事はどんな資質をもちあわせているか。上位に並んだのは発信力やリーダーシップ。決断力。しかしこれは、マスコミなどによってつくられたイメージによるところが大きい▼実際、公約にしてきた「7つのゼロ」の実現度を聞くと、ほとんどの公約で実現できていないとの答えが圧倒的。この4年間でくらしが良くなったという人はわずか6%。都民の意見が都政に反映されていないとの声も6割をこえました▼誰にでもやさしい、ぬくもりのある社会をー。東京のSNSやインターネットで発信した宇都宮健児さんの訴えは、期待となって若い世代にもひろがりました▼「日本経済の中心である東京の成長戦略をしっかりと進めていきたい」と小池知事。そこに都民のうめき声を聞く耳はあるのか。命やくらし、人権を後回しにする政治の転換。それはいま世界的にも求められていると宇都宮さん。「次につなげよう。新しい日本をつくる運動は続く」(2020・7・7) 【今日の出来事】1937年盧溝橋事件起きる(日中全面戦争へ)

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災害に対する認識改めなければ 『赤旗・潮流』

「人吉(ひとよし)・仲良し・こころ良し」。おだやかで大らかであたたか。熊本県の南端にある人吉・球磨の気質を称してこう呼びます▼深い山と谷に囲まれた山峡の地。隔たれた自然と、鎌倉時代から明治維新まで相良(さがら)一族700年の統治によって、独自の歴史や文化がはぐくまれたといいます。司馬遼太郎は『街道をゆく』のなかで「日本でもっとも豊かな隠れ里」と記しています▼文化庁の日本遺産にも認められたこの地で、人びとの心とくらしの礎になってきたのが球磨川です。その宝の川が、記録的な豪雨によって氾濫し、住民の命をうばい、町を一変させてしまいました▼もともと三大急流の一つに数えられ、たびたび洪水に見舞われてきた流域。球磨村では支流の近くにある特養老人ホームが水につかり、多くの高齢者が巻き込まれました。津波のように押し寄せ、施設内はすぐに身動きがとれなくなったという証言も▼数年前にも川沿いの高齢者施設が被災する事例がありましたが、早めに手を打つことはできなかったのか。いつ、だれが、何をするか。それを事前に定めた防災の行動計画をつくっていたそうですが、はたして機能していたのか。もとよりそれを上回る規模だったか。検証がまたれます▼大量の雨に襲われる時代。堤防などでは追いつかない現実もありあす。どこでも災害にたいする認識を改め、準備や避難の体制を整えておく。水とともに生きてきたこの国が率先してやるべきことです。痛ましい姿をくり返さないためにも。(2020・7・6) 【今日の出来事】1535トマス。モア斬首される 1944…

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問われる「災害」との向きあい方 『赤旗・潮流』

記録的な大雨によって広い地域に避難指示が出された日の夜でした。安倍首相をはじめ、自民党の国会議員が酒を酌み交わしていた「赤坂自民亭」から2年。西日本豪雨はそのすさまじさとともにだらけた政権への怒りが記憶されています▼河川の氾濫や堤防の決壊、土砂崩れやなだれこんだ大量の木や石、濁流にのみこまれた街や家々。目の前にひろがる無残な光景に被災者は一様に。「まさか、わが身にこんなことが起きるとは・・・」▼九州北部の集中豪雨も3年前と、最近はこの時期にくり返し発生する大雨。今年もまた、熊本や鹿児島で多くの犠牲者、浸水や土砂崩れなどの深刻な被害をもたらしました。一刻も早い救助、支援がまたれます▼次つぎと列島を襲う災害は新しい対応を求めています。激甚災害となった昨年の台風19号のような流域型洪水は、広い地域にわたり大規模な被害をうみました。いまや未経験の猛威を想定した行政、インフラ整備が欠かせません▼しかもコロナ禍のさなか。非難の仕方や避難所のあり方も問われています。こうした危機に際したときほど、政治がどこを向いているかがくっきりと、災害との向きあい方、備え方、被災した人びとのためにどれだけ力を注ぐか。そこから国のかたちがみえてくると、防災の専門家も指摘します▼共通している被災者の叫びはもう一つ。「この国の政治は、国民の命を守ろうとしているのか」。何よりも、そこに重きを置く政治。それは今も、この先にもつながるはずです。(2020・7・5) 【今日の出来事】1949年国鉄争議の渦中、下山事件起きる 【注】185…

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あした投票日を迎える日本 『赤旗・潮流』

自分は何者なのか。それを考えるとき、国に根ざす人びと多いが、自分たちはこの場所にあるー。何年か前にSEALDsのメンバーと対談したした香港の学生運動家が話していました▼植民地の長い時代をふくめ、複雑な歴史をたどる地。返還以降そこで”香港人”としてのアイデンティティーを確立するようになった。そして、言論の自由や政治への抗議デモといった守り継ぐべきもののために、声をあげていると▼「絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強くいきなければなりません」(周庭さん)。中国で許されないことは香港でも許されない。そんな抑圧法が強行されるなか、民主的な活動つづける若者たちは厳しいたたかいを余儀なくされています▼「香港独立」の旗を掲げた市民が逮捕される現実。大国によって奪われようとしている大事なもの、自由に生きることへの希望さえも▼あした都知事選の投票日を迎える日本、どんな首都東京をつくるのか。都民の命とくらしを託せう人は誰なのか。周庭さんは以前、選挙に行くことの意味を私たちに呼びかけています。「香港人はずっと民主的な選挙制度を求めてきた、あなたたちがもっている権利を大切にして」▼先の対談を本にまとめた「日本✗香港✗台湾 若者はあきらめない」。彼らはこんな言葉で連帯の思いを。「きみたちの世界なんだ。きみたちの国なんだ。きみたちが問われているんだ」。(2020・7・4) 【今日の出来事】1776年アメリカ独立宣言 1946年フイリピン独立 【注】1934年キュリー夫人死す

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ロシアの憲法改正 『東京新聞・筆洗』

謎の中にあって、謎に包まれた謎であると英首相チャーチルは、その国を評したという。ロシアである。政治指導者や体制はかわるが・時の権力の道理に反した振る舞いが、しばしばまかり通る。「アネクドート」と呼ばれる風刺小話の多くも、そのあたりから生み出されてきた▼最近、ネットで教わった一つはこうだ。二人の会話。「プーチンは大統領の座を手放すのだろうか」「もちろんだ」「いつ」「即位すればすぐにね」▼ロシアなら驚くことはないのかもしれないが、永世の権力者の”即位”に道を開くかのような改正が実現した。プーチン氏の大統領としての在職期間はこれで、ゼロに戻って勘定されることになり、再選に関する任期制限には、引っかからなくなるのだという▼最長で83歳、2036年まで続投できるようになった。権力の座にある長さは、スターリンを超えるかもしれないそうだ▼景気の後退や石油需要の鈍化のなかで、任期満了が近づく。衰える求心力を取り戻す狙いもあるらしい。長年の利権の構造を守りたい人がいるのだとは聞くが、全国投票で支持した人々の心情も、なかなかはかりがたい▼大統領選の際に知った小話。「大統領、いい知らせです。再選されました。悪い知らせもあります。誰もあなたに投票していなかった」あくまでジョークであるが、謎の国らしさが伝わる。(2020・7・3) 【今日の出来事】1979年にしドイツ、ナチスを含めた殺人犯の時効廃止

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「『お登紀さん』あなたの出番でしょ」 『赤旗・潮流』

歌と共に時代を駆け抜けた歌手ならではの決断でした。東京・渋谷のオーチャードホールで、緊急事態宣言解除後、初の大規模コンサートを行った加藤登紀子さん。先陣を切った挑戦に大きな注目が集まりました▼観客は全員マスク姿で市松模様を描くように着席。無観客でもやろう、と決めた時、東京都から「1000人以下、かつ収容定員の半分以下」の目安の緩和が示されました。「『お登紀さん、あなた(の出番)でしょ』と天から声が降ってきたような気がして・・・」。できることがあれば動く。その心意気に観客も大きな拍手でこたえます▼2月末、政府のイベント自粛要請に、いち早くこたえたのがライブ・エンターティメント業界でした。ぴあ総研の調べでは、2月から5月末までに中止・延期したイベントは19万8000本。しかし損失補償はされず、多くの関係者が生活苦に直面しました▼「2,3カ月、経済がストップしただけで、多くの人が生きられないレベルの困窮に陥る社会は世界でも恥ずかしい」。これだけは書いてほしい、と本紙日曜版で加藤さんが語った言葉です▼NHK番組では、英国ロイヤルバレエ団で最高位のプリンシパルを歴任した吉田都さんが、日本ではダンサーが職業として守られていない、と話します。「芸術は生きる喜び、悲しみ、魂の叫びを表現・・・。人間が人間らしくあるために必用」▼コロナ禍であらわになる日本の政治の貧困。文化芸術をどう位置付けるか。国のあり方が問われています。(2020・7・2) 【今日の出来事】1950年金閣寺炎上 1964年アメリカ、公民権法成立…

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今日からレジ袋有料化へ 『赤旗・潮流』

穏やかな海に大小の島が浮かぶ瀬戸内。そこで、10年以上も前から海洋ゴミを減らすとりくみをつづけている若者たちがいます。岡山にある山陽女子中学・高校の地歴部の生徒です▼海上を漂い、海底に積もり、島に流れ着く大量のごみ。それを回収し、分析した情報を地域や社会に発信しています。多くは生活から出るプラスチックごみ。みんなの意識を変えることがきれいな海につながると啓発しています▼きょうからレジ袋が有料化されます。年間で300億枚以上が消費されるという日本。他にも容器やトレー、ペットボトル・・・。国民一人あたりのプラごみ廃棄量は米国に次ぐ世界2位です。削減に向けた一歩にしたいものですが、このコロナ禍で需要が増える逆風も▼人体や生物への影響、環境汚染の深刻さをみれば削減は待ったなしの課題です。このままでは、2050年には海洋プラごみが魚の量を上回るという専門家も。自分たちが捨てたごみを自分の口に入れているかもしれないと▼国民に負担させるだけでは解決しないでしょう。つくってから捨てるまで企業に責任をもたせる。大量生産、大量消費、大量廃棄から脱皮し、国は循環型社会への道筋をつける。その点でいえば、日本政府の対策は大きく立ち遅れています▼「つくる責任 つかう責任」。持続可能な世界をめざすために国連が掲げた目標の一つです。地球や社会のあり方が問われている時代。先の生徒の一人が述べていました。「身近な問題に無関心ではいけない」(2020・7・1) 【今日の出来事】1890年第1回衆議院総選挙 1944年戦後の国際経済秩…

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「神田川」と横丁の風呂屋 『赤旗・潮流』

コロナ禍で臨時休業していた文学館や美術館、博物館が開き始めています。木々の緑が輝く梅雨の晴れ間、東京・小金井公園内にある江戸東京たてもの園で開催中の「ぬくもりと希望の空間 大銭湯展」に出かけました▼上京して下宿暮らしをした大学時代、銭湯通いは生活の一部でした。当時入浴料は200円前後。「横丁の風呂屋」の思い出を歌った「神田川」が大ヒットしたのはずっと前でしたが、モデルになった銭湯だといわれていました▼銭湯の起源は6世紀の仏教伝来で、僧侶が身を清めたり病を治療するための寺院の温浴室が布教の一環として一般にも開放され広まったとか。江戸時代には交流と憩いの場ともなり、明治維新後、富国強兵策の下で国民の健康増進に入浴が奨励され、人口が集中する東京で銭湯は急増しました▼同園では東京・足立区で1929年から88年まで営業していた「子宝湯」の建物も保存・公開しています。神社仏閣のような壮大な構え。店先の欄間には七福神の彫刻、脱衣所と浴室は天井が高く爽快です。縁起物やおとぎ話を描いたタイル絵に、正面の壁には富士山と大海原のペンキ絵▼現在、東京の銭湯は最盛期の約2割、500軒ほどが営業しているといいます。緊急事態宣言下でも社会生活維持と公衆衛生の観点から休業要請は受けませんでした▼銭湯の歴史の一端に触れて、日本の文化や地域社会のあり方を考えたひととき。温故知新の豊かさは文化施設の空間があればこそ、との思いを強くしました。(2020・6・30) 【今日の出来事】1944年学童疎開開始を閣議決定 1945年秋田、花岡…

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広がる人種差別反対の運動 『赤旗・潮流』

アメリカでの警官による黒人殺害を機に世界で人種差別反対の運動が広がっています。イギリスでは、オックスフォード大学の建物正面の外壁にあるセシル・ローズの像の撤去が決まりました▼大学にはアフリカ出身者や黒人学生も多く、数年前から「ローズは倒れなければならない」運動が起こりました。撤去のオンライン署名には15万人以上が賛同。当局は、討議と熟考を経て、英国と世界に与える影響を十分意識して決定したといいます▼セシル・ローズといえば、アフリカ大陸を南北に大きくまたぐ巨人の挿絵を覚えている人もいるのでは。現行の中学社会科教科書にも登場し、列強が植民地の資源や市場を求めて侵略を進めた象徴として扱われています▼太平洋戦争の始まった年に出版された本に『セシル・ローズと南アフリカ』(鈴木正四著)があります。ダイヤモンド、金の独占企業で大金持ちとなり、その力で本国面積の数倍の支配者となった。「南アフリカのナポレオン」。日本への批判もこめられていました▼ローズいわく、「私たちが第一等の人種、私たちの住む世界が広がれば広がるほど人類は幸福である」。アングロサクソン民族優越の植民地主義者で、夜空に惑星を見れば「併合したいと考えた」とも▼青年ローズが初上陸したのが、南アのダーバン。2001年に同地で開かれた世界会議は「ダーバン宣言」を採択しました。植民地主義は「いつであれ、どこであれ非難されねばならない」と。像の撤去決定は、その一つです。(2020・6・29) 【今日の出来事】1907年足尾鉱毒事件の影響で谷中ムラ強制廃村 1…

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コロナ禍と学校生活 『赤旗・潮流』

安倍首相の一声による一律休校。子どもの意見などまったく聞くことなく突然始まり、長期間に及びました。当事者はどう思っているのでしょうか。民主教育研究所がホームページで、北海道の高校生へのアンケート結果を公表しています▼「コロナ休校について考えたことは?」との問いにたいし、目立つのは「これからの授業、学校生活がどうなってしまうのか」という声。授業や学校祭などの学校行事、部活がどうなるのか。「この先無理やり授業を詰め込まれるのではないか」という危惧もあります▼「ちゃんと進学できるか不安」など進学や就職への心配も深刻です。「コロナ世代」などと差別されるのではないかと考える高校生もいます。「コロナはいつ収まるのか」「第2波、第3波がきたとき危険」と今後への不安も大きい▼学校が再開され「友達に会えるからうれしい」。でも分散登校から40人学級に戻り、「いきなり40人になって大丈夫なのかな」「ソーシアルディスタンス(社会的距離)を守ってとかいわれるけど席が近い時点で無理だと思う」。もっともな意見です▼同研究所事務局長の鈴木敏則さんは「これからの学校をどうするか、一番の当事者であり学習権を持つ子ども、高校生の思いや願いを聞き、それにどうこたえるか彼らと一緒に考えていきたい」といいます。▼新型コロナは学校の在り方についても見直しを迫っています。教育にとって本当に大切なことは何か、子どもたちとともに議論を深めたいものです。(2020・6・28) 【今日の出来事】1712年ルソー生誕 1919年ヴェルサイユ条約締結、第…

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「法も民主主義もそっちのけ」『赤旗・潮流』

数は力・金こそ力。金権政治の代名詞といわれた田中角栄・元首相。とくに1974年の参院選はヘリコプターで全国を回り、巨額をばらまいて集票。買収などで多くの逮捕者を出し、金権政治と批判されました▼政治と事業と目し、派閥をつくり、選挙やポストを使って権力の中心に居座りつづける。相手との「信頼関係」はカネによって築く。自民党のなかに歴然と横たわる金権体質です▼「安倍さんから」「二人の約束」。前法相の河合克行、妻案里の両国会議員による買収容疑で、現金のうけとりを認める地元議員が相次いでいます。首長も辞職し、広島の政界は混乱を極めています▼自民党本部が投入した異例の1億5千万円。しかも本紙が報じたように、安倍首相と克行氏は昨年なんども面会。その前後に自民党から多額の資金提供がくり返されていました。もともと両者はべったりの間柄。首相の際立つ肩入れがこれだけの買収事件を招いた責任は重い▼2人だけの秘密と胸元にねじ込まれたという広島市議は家族や支援者に話がおよぶと涙ながらに謝罪。「きれいごとが通じるような政治になれば」と。モリ・カケや桜をはじめ、周りを次々と不幸に突き落とす。”アベ案件”がどれほど罪深いか▼「(河合夫妻のようなことは)みんあやっている」。安倍チルドレンと呼ばれた元衆院議員の発言は、いまもつづくこの党の金券腐敗ぶりをあらわに。それとともに表れているのが、法も民主主義もそっちのけの安倍政治のゆがんだ姿です。(2020・6・27) 【今日の出来事】1968年チェコで「二千語宣言」発表 【注】1880年…

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「あじさいになった男」『赤旗・潮流』

梅雨空に、しっとりと映えるアジサイ。七変化といわれる色合いのなかでも濃淡の青が染み入ります。まどう心をおちつかせ、なごませるように▼日本原産といわれるアジサイは中国や西洋で改良され、逆輸入されました。漢詩からあてられた紫陽花は別の花だそうで、万葉集には安治佐為、味狭藍と書かれています。語源をたどると、集真藍(あずさあい)が転じたという説が有力とされています▼いまではこの時期になると各地の名所で催しが開かれますが、今年は中止つづき。時節柄、こんもりと茂る花々を静かにながめながら世の中や人生をはかなむ人もいるのでは▼全国で緊急事態宣言が解かれてから1カ月が過ぎました。東京ではコロナ感染者が解除後、最も多い日も。第2波への警戒や不安が募ります。世界に目を転じれば、感染拡大は減速どころか加速している状況です。人類に降りかかった災いは人間社会のあり方価値観を問い直しています▼変幻の花であり、鎮魂の花である。アジサイ研究の先駆者だった山本武臣さんは、この花から漂う独特の美に魅せられました。なんとなくわびしげで、目立たず地味。しかし、人の心をひきつけ、生の喜びを感じさせる力があると▼コロナ禍の時代。人の世に不変のものなど。果たしてあるのであろうかと自問していた山本さん。自身を描いた小説『アジサイになった男』のなかで感謝の思いを込めて、辞世の句を詠んでいます。(味狭藍の然(さ)るほどもなき一花に/この世の窮み身果つるかも)(2020・6・26) 【今日の出来事】1945年国連憲章調印 1968年小笠原諸島祖国復…

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東北電力女川原発は安全か? 『赤旗・潮流』

政府の原子力防災会議が今週、宮城県にある東北電力女川(おながわ)原発の重大事故を想定した避難計画を了承しました。その場で安倍首相は「被ばく防護措置と感染防止対策の両立も図っています」と発言しています▼感染症対策との「両立」? 避難計画をめぐっては、課題が山積し実効性が問題になっているのに、可能なのか。原発の避難は事故時の放射線から迅速に被ばくを避けるためで、政府が了承した計画は原発から半径30㌔圏内に暮らす19万9千人が対象です▼感染症が流行しているなかでは、「感染者」と「それ以外の者」は別々の車両で避難するとあります。また、バスなどで避難する際は密集を避け、極力分散するとか、自宅などで屋内避難する場合は換気しない・・・▼密集を避けるというものの、1台当たりの乗車人数を想定したバスの必用台数はどうなるのか、避難の受け入れ施設は足りるのか。方針だけで具体化は自治体任せです▼宮城県の試算によると、30㌔圏内の住民が一斉に避難した場合、車両の渋滞に巻き込まれるため、5㌔圏内の1100人の住民のほとんどが避難先に到着するまで5日以上かかるといいます。試算には水や食糧の補給などが含まれておらず、さらに長期化すると指摘されていますこれに感染症対策が必用となれば、さらに時間がかかるのでは▼長時間の避難自体、いのちや健康にかかわることは福島原発事故でさまざま報告されています。住民にとって一番の安全は、机上の空論より再稼働の”自粛”です。(2020・6・25) 【今日の出来事】1950年朝鮮戦争勃発 1958年I…

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「人柄が信頼できないから」 『赤旗・潮流』

支持しないと答えた人は49%で、第2次安倍内閣発足以降、最も高くなったー。直近の世論調査をNHKが伝えました。安倍首相の自民党総裁4選に「反対」が69%。こちらは朝日新聞です▼もっともだ、自分の考えとは違う・・・。報じられた結果に持論を重ねながら、世の動きや見方に思いをめぐらす。人びとの声を反映させる世論調査は民意の指標、社会のミニチュアともいわれます▼「民主主義日本への基底は輿論(よろん)の尊重にあり」(「毎日」)。戦後早くから、GHQの後押しで新聞がこぞって始めた世論調査。それは、国家に屈服し国民を戦争に駆り立てた報道機関にとって、再建のシンボルでもありました。(『「世論調査のゆくえ』)▼いまでは毎週のように。時の政権をゆるがす裏付けになっているのが、メディアへの信用や信頼です。それを根底から覆す不正が、フジテレビと産経新聞の合同調査で行われていました。業務を再委託された会社が電話をかけず、架空の回答を入力していたと▼メディアとしての存在自体が問われる事態。ただでさえ安倍応援団と目されているだけに不信はひろがります。命ともいえる公正・公平さをゆがめたことはメディア全体の信用を損ねます。徹底した検証が必要でしょう▼為政者を正し、権力を監視する国民の”武器”にもなりえる世論調査。それが操作されるなら民意の誘導にもつながります。内閣を支持しない理由として一貫して最も多いのが「人柄が信頼できないから」。そこに信用できるか。(2020・6・24) 【今日の出来事】1948年ソ連によるベルリン封鎖 19…

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『いまもその島は』 永井和子

昔その島は 日本の最後の盾だった 数百万の銃火に盾は破れた 海のようにあふれた血潮に 染るぼろも残らぬほど 昔その島は 日本の最初の踏み石だった 文字通り石はふみにじられた ひそかに流された血も泥に汚れ 空までどす黒くかげるほど いまもその島は 日本の恥ずかしい捨て子だ 新しい人殺しの道具も 人間を虫のように扱う方法も 平気で人の国も盗みにいく兵士たちも まっさきに持ち込まれる 【注】生涯をかけて沖縄に心を寄せ続けた詩人の永井和子(1934~2015)。その島の平和を壊した者たちに、あふれる思いを込めて詩った怒りの一篇。1966年9月に刊行された「沖縄詩集」(P82)の中から採録した。

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きょう「沖縄慰霊の日」『赤旗・潮流』

「あんたもわたしも/おまえもおれも/艦砲の喰(く)残し」。沖縄で歌い継がれる「艦砲ぬ喰ぇー残さー」。鉄の暴風といわれた米軍の艦砲射撃を生き延びた島民の苦難を込めた反戦歌です▼きょう「慰霊の日」に摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で催される追悼式。沖縄戦の研究者で作家の大城将保さんは以前、式典の最中に艦砲弾の破片を拾ったことがあります。それ以来、この島唄が頭から離れなくなったといいます▼現在も、この小さな島に横たわる巨大な米軍基地。沖縄の戦後は、あの悲惨な戦争から地続きの時間として、今に至っています。基地あるがゆえの耐え難い苦痛。その根源となっているのが日米安保条約です▼現行の条約が発効してから60年。世界でも類のない基地負担は変わっていません。日本の法は及ばず、陸でも空でも海でも我が物顔。そのうえ、国民生活そっちのけで莫大な思いやり予算をつぎ込む。まるで植民地のような戦後75年の姿です▼命を削った前沖縄知事の翁長雄志さんは、いっこうに動かない現状を「国の政治の堕落」だと。いつまでも米国につき従い、自ら国民の安全を切り開けない政治。それが主権国家といえるのか▼大城さんは新著『「沖縄人スパイ説」を砕く』のなかで沖縄の心とは何かを問い直しています。「人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する」。平和の礎(いしじ)と結ばれるそれは、日本の心でもあるでしょう。(2020・6・23) 【今日の出来事】1945年沖縄戦敗北 1960年新日米安…

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