いつも心はふるさと沖縄へ 『赤旗・潮流』

歩いているときは、何事にも束縛されない自由な時間。歩き旅は、たちどまり、シャッターを押したくなる場面にたくさん出合える。だから、楽しい・・・▼北海道の宗谷岬から沖縄まで3500㌔を80歳で踏破した報道カメラマンの石川文洋さん。一昨年の7月から11カ月をかけて歩き通した間に撮った3万5千枚もの写真。その中から厳選された120点が今月20日まで横浜の日本新聞博物館で展示されています▼列島の自然や人びとの営み、災害や公害の被災地、原発や基地のまち。20代のころから戦争や社会の矛盾に目を向け、記録し続けてきた文洋さんの写真は温かくも厳しい現実を映します。そしてどこにいても、いつも心はふるさと沖縄へ▼鹿児島からのフェリーで本部(もとぶ)港に近づいたとき、異様な光景が目に入りました。周囲の山が大きく削られ、白い山肌が無残に。採取された砂利は辺野古を埋めるために運ばれる。国策の名のもとに姿を変えられるのは、私たちの美しい湖だけではない、山も・・・▼埋め立てが始まってから、まもなく2年。コロナ禍にあっても、政府は見通しの立たない工事を強行しています。しかし、本紙1日付で報じたように土砂の投入はまだ全体の4%にも満たず、中止に追い込む不屈のたたかいも続いています▼生きているうちに基地のない平和な沖縄を取り戻したいという文洋さん。そのためにも、多くの人や次の世代に自分が見てきた光景を伝えたいと。決してあきらめない夢をかなえる旅は、これからも。(2020・12・3)

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中高年のひきこもり問題『赤旗・潮流』

優しいひびきにを感じます。「こもりびと」と言う言葉。ひきこもりのことを指します。神奈川県大和市が温かみのある呼び方をと名付けました。今や100万人を超えていると調査結果が出ています▼中でも増えているのは中高年のひきこもり。61万人を数えます。80代の親とともに50代の子が孤立していく「8050(はちまる。ごーまる)問題」が起きています。NHKが”こもりびと”と銘打って。ひきこもりを考える企画を展開しました▼中高年のひきこもりと切り離せないのは労働環境です。非正規の不安定雇用や失業、激しい競争。パワハラ。尊厳を傷つけるような実態がひきこもりの要因になっています。動けなくなり、部屋や家から出られなくなる。そんな状態が数年から30年、40年と続きます▼「ひきこもり死」という深刻な事態も生じています。親が施設に入所したり、亡くなるなどして、独りぽっちになり生きる気力を失い、食べることもなく衰弱して死に至るのです。全国の自治体によると、「ひきこもり死」の危険があると推定されるのは300件以上となっています▼自ら自治体に相談に来たのは15・6%、支援を断った例が72%という調査も。働いていない負い目を感じているからです。家族や行政が差し伸べられる手は・・・▼「おはよう」「ただいま」と日常で掛ける一言の大切さ。家や職場ではない、もう一つの居場所の確保も訴えられています。そして何より求められるのは、”自分を責めなくていい”社会の実現です。 (2020・2・2)

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「一陽来復」の文字入れたい 『赤旗・潮流』

はや師走。いつもなら、ゆく年を追いかけながら、くる年を望むとき。しかし、今年はコロナ禍で社会のありさまが一変。面持ちの異なる年がわりです▼賀状づくりをうけおう業者からこんな話を聞きました。疫病払いの妖怪アマエビをあしらう、悪いことが続いた後に運が開くという意味もある一陽来復の文字を入れたい。今年はそういう注文が多く、それとともに、終活を告げる人が例年よりも増えていると▼「このままでは年を越せない」。仕事が激減した中小業者や客が遠のいた飲食店の訴えです。「生活が立ち行かない」。なりわいを奪われた女性や若者の叫びです。政治の支援が届かず、苦境に陥る人びとは後を絶ちません▼この期に及んで国や都は東京五輪・パラリンピックの追加経費に数千億円を負担しようとしています。すでに1兆3500億円までふくらんだ大会経費も組織委員会を含めた3者で負うことになっていますが、みたび感染の波が押し寄せている状況下でさらなる出費とは▼いったいこの国の政権はどちらを向いているのか。ただなりゆきに任せているだけなのか。くらしや営みを守り、医療や検査体制を支える。そのための対策を求め、現実に政治を動かしていうのは市民や野党の声です▼恒例の今年の漢字には禍や病、疫を予想する人が多いといいます。ウイルスがもたらした未曾有を映していますが、世には禍い転じて福となすという教えも。ここは危機をのりこえ、新しい政治や社会を築く「望」としたい。(2020・12・1)

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2020年の英単語の一つ 『東京新聞・筆洗』

 「KAREN」(カレン)という女性の名前を聞いて、悪いイメージを抱く日本人はあまりいないだろう▼世代によっては兄妹デュオのカーペンターズのカレン・カーペンターの美しい歌声を思い出すかもしれぬ。あるいは大滝詠一さんの「恋するカレン」を口ずさむか。日本語の「可憐」(かれん)と言う言葉を連想する人もいるだろう▼「カレン」の名前も2020年の英単語の一つに選ばれたそうだ。毎年、その年を象徴する単語を選ぶ英国オックスフオード辞典の「今年の言葉」である▼一つの言葉が選ばれるのが通例だが、今年はコロナ関連などの新語も抱負で、複数が選ばれた。「パンデミック」「ロックダウン」「BLM](ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大切)とともに選ばれた、「カレン」とはいったい誰のことだろうか▼特定の人物ではなく、自分本位で人を見下すような差別的な白人女性の総称だそうだ。米国で今年、犬にリードをつけてと頼んだ黒人男性に腹を立て、暴力を振るわれたと虚偽の通報をし、その後、大問題になった女性がいたが、こういうタイプの女性のイメージらしい▼語源はよく分からない。世界中のカレンさんには迷惑な話で、同情を禁じ得ないが、人々が鼻持ちならない言動を慎む同期にはなるかもしれない。誰だって、自分の大切な名前で不名誉な流行語なんぞ作られたくはない。(2020・11・30)

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「滝川事件」そっくりだ 『赤旗・潮流』

菅首相による日本学術会議の会員任命拒否は「学問の自由」を奪ったことで知られる戦前の「滝川事件」(1933年)とそっくりだと国会でも取り上げられました▼滝川事件は、京都帝国大学の滝川幸辰(ゆきとき)教授の書いたものをマルクス主義、危険思想だと決めつけ、文部大臣が「求職」=解職を押し付けた思想弾圧です。ねらいは、当時の斎藤実首相みずから、大学の「人事行政」の実験を文相が握ることにあると明かしています▼この暴挙に、戦前最大で最後といわれる学生運動がおこりました。東大では、当局と警察の取り締まりの中、『大学の自治、学問研究の自由擁護』『滝川教授の復職、文相の辞職』を求めて立ち上がりました▼運動の頂点は、6月の法学・経済・文学部の合同学生大会です。美濃部達吉の憲法学の講義に700人の学生が集まり、学生大会に切り替えました。その外では2000人が見守ったといいます▼多くの学生たちは歴史の分岐点だと感じ取っていました。回想集『私たちの瀧川事件』で藤本武氏は、「大きな戦争準備のための小手調べであることを鋭く本能的に嗅ぎとっていた」と書きました▼共産青年同盟(共青)東大細胞の50人近い同盟員が、運動の推進力だったことも明らかになりました。侵略戦争・ファシズム阻止の防波堤になろうと「『赤旗』(せっき)を読み、自分たちの頭で考え、経験の蓄積はなかったが、協力共同して活動した」。指導者の一人で、戦後民商の創設に参加した佐々木恵真氏の回想です。(2020・11・28)

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ロマンあふれる未来を展望 『赤旗・潮流』

いまでもロマンチックだとお考えかー。先日の志位委員長の記者会見でこんな質問が出ました。20年前、委員長に就いたときの発言を念頭に聞いたものです▼「日本共産党という名前は、ロマンチックな人類史的名前だというふうに考えていて、大いにロマンある雄大な名前として大事に使っていきたい」。当時のCS放送でそう語っていた志位さん。資本主義で人類の歴史を閉じ込めてしまうようなそういう歴史観に私たちはたっていないとも▼いまも考えに変わりはなく、共産主義というのはひとことでいえば「人間の自由。人間の解放」だと答えていました。労働時間の短縮がもたらす、すべての人間の能力の開花。それが大きな力になって社会全体が発展していく。そんな未来を展望することはロマンにあふれていると▼感染症の世界的な爆発を表すパンデミック。いまそれを、人類史の大きな転換期として位置づける学者や識者は多い▼グローバル化した資本主義や、目先の利益ばかりを追い求める新自由主義の終わり。コロナ危機を人類の進歩の機会ととらえ、新しい社会像を示すことは先の見えない不安のただなかにいる私たちに勇気と希望を与えてくれます▼感染対策とともに、いま国のリーダーには、考え方やめざす理想を発することも求められているはず、なにも語れない首相が居座る日本は不幸です。このやっかいなウイルスによる分断のなかで人類はどんな世界に向かうべきなのか。キーワードとなるのは、自由と連帯です。(2020・11・29)

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「釣りキチ三平」の矢口高雄さん 『赤旗・潮流』

「秋田県の山奥にあった中学。懐かしくも楽しかったあの時代を漫画エッセーとして描きたい」。「釣りキチ三平」で人気を不動のものにしていた矢口高雄さんに、赤旗日曜版編集部の漫画担当者として、連載をお願いした時の構想です▼矢口さんは「ボクの作風では2ページ10段は必要だ」とも。題名は、♪蛍の光 窓の雪 ふみ読む月日・・・と重ねた「螢雪時代」です。1991年2月24日号から2年半続けた連載は、単行本となり代表作に▼突然の訃報は次女のツイッターで知りました。「ことし5月に膵臓がんが見つかり、約半年病気と闘っていました。すごく辛くて苦しかったはずだけど、涙も見せず頑張りました」と▼野山や小川で遊び、手塚治虫にあこがれる漫画少年でした。地元銀行をやめ30祭で上京し漫画家をめざすいきさつについで「自由に、自分の思ったことを堂々とコメントできるような人間になりたいとの思いもあっリ、『ボクには漫画がある』と辞表を出した」と日曜版のインタビューで答えています▼「漫画は芸術」が持論。卓越した画力や構成力で「自然派」という漫画世界を確立。イワナ棲む清流や豊かな森林を破壊する開発を止める環境問題の公園も増えたと▼散逸する漫画家の原画の保全にも尽力しました。故郷・横手市の「まんが美術館」には40万以上の原画を所蔵。いまの「鬼滅の刃」ブームに至る漫画芸術の土台を狙った矢口さん。次女の言葉にならい「ありがとうございます。そして、お疲れさまでした」。(2020・11・27)

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安倍政権の国会での虚偽答弁 『赤旗・潮流』

事実=ゼロ・エンマ大王、事実と認めるには不確かな要素がある=1エンマ、発言に根拠はあるものの必ずしも事実ではない=2エンマ、事実ではない=3エンマ、真っ赤なうそ=4エンマ▼ファクトチエックにとりくむNPO法人がその度合を、うそをついた人の舌を抜く地獄の大王の顔で示したものです。政治家の発言や情報の真偽を検証する動きは米国で先行し日本ではまだ新しい▼この人は4エンマがふさわしいか。「桜を見る会」の前夜祭についての安倍前首相の国会答弁がことごとく、うそだったことが明らかになりました費用は参加者の自己負担、安倍事務所や後援会としての収入や支出は一切ない、ホテル側の明細書もない・・・。そのすべてが関係者の証言でくつがえりました▼国民にたいし虚偽説明をくり返したことに加え法違反にもあたり、議員資格も問われる事態。森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題でも、安倍政権が事実と異なる答弁を139回もしていたことが衆院調査局の調べでわかりました▼首相が数々の疑惑にまみれ、事実を全体でごまかし、虚偽を押し通した前政権。要の官房長官として偽りを垂れ流してきた菅首相の責任も思い。それに加担した面々が閣僚席に居座る現政権▼インターネットの普及とともに昨今はフェイクニュースもひろがります。そのなかで事実を大事にする社会づくりは民主主義を根づかせることにもつながるでしょう。権力のうそを見破るのはエンマの役割ではなく市民です。(2020・11・

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「民主主義は行動である」 『赤旗・潮流』

自分は生まれてからほとんどいつも何かしらとたたかっていた。自由のため、平等のため、基本的人権のために。いまそれは若い世代に引き継がれている・・・▼今年7月に80歳で亡くなった米下院議員ジョン・ルイスさんは公民権運動の闘士でした。非暴力の学生組織の委員長を努め多くの運動に参加。1963年のワシントン大行進では23歳の最年少演説者として「目覚めよ、アメリカ。私たちはもう待てない」と訴えました▼頭の骨を折られたアラバマ州セルマのデモ行進。「血の日曜日」といわれ、警察の激しい暴行が暴かれたことは、後の投票権法の成立を後おししました。彼の道のりは全米図書館(児童文学部門)を受けたコミック『MARCH』に描かれ、次世代の手にとられています▼人びとを「ブラック・ライブズ・マター(黒人命は大切)」運動に立ち上がらせたジョージ・フロイドさんの死から半年。いまも新たな目覚めをもとめる声は米国をはじめ世界でも▼初の女性副大統領となるカマラ・ハリスさんは、勝利演説のなかで民主党の大先輩でもあるルイスさんの言葉を引いて呼びかけました。「民主主義は状態ではなく、行動である」▼自由と平等と正義をかちとる未完のたたかい。闘病の最後の日々でさえ。それを受け継ぐ若者たちを励ましていたというルイスさん。「あきらめてはいけない、絶望してもいけない。知識と勇気をもって」。苦難をのりこえてきた先人のマーチ。それは歴史が進むことを教えてくれます。(2020・11・25)

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「未来のために過去がある」 『赤旗・潮流』

鴨川のほとりで古都の歴史を刻んできた上賀茂神社。そこである戦国武将の書状が特別公開されています。達筆で均整がとれた文体からはイメージと異なる姿が浮かんできます▼織田信長を討った5日後に出したとされる明智光秀の文書。当神社の領内で乱暴や放火、軍用金や兵糧米を徴収することを軍勢に禁じた禁制です。乱の直後に神社が光秀に銭を贈った記録もあり、当時の緊迫した様子が伝わります▼今年の大河ドラマの主人公でもある光秀。これまで謀反人や逆賊といった悪者の印象が強かったですが、研究がすすみ見直されています。教養高く医学にも通じ、足利将軍家に重用された。礼儀正しく部下思い、領民からの評判も上々。そんな人物像がみえてきました▼光秀といえば日本史最大の謎の一つとされる本能寺の変です。怨恨(えんこん)や野望、単独や黒幕、信長の暴走阻止や四国問題・・・。さまざまな説がとりあげられてきましたが、どれも決め手を欠き、いくつもの動機が重なったと説く史家も▼戦国の時代は英雄扱いされてきた信長。秀吉、家康の天下取りを中心に描かれてきました。しかしその周りの人々や民との関係にも視野をひろげ、何を導き出すか。歴史の大事な検証でしょう▼光秀を特集した雑誌『現代思想』の対談のなかでドラマの時代考証を努めた小和田哲男さんが語っていました。「歴史は鏡。そこに過去を映して未来を照らす。未来のために過去がある。その過去を明らかにせずに未来の指針をつくることはできない」(2020・11・24)

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「柳美里さんの希望の物語」 『赤旗・潮流』

「私は在日韓国人として最下層で育ち、日本にも韓国にもどちらにも属せないという立場にあります。ですから一貫して、居場所のない人のために書いていきたいと思っています▼2014年の春、小説『JR上の駅公園口』を出版した柳美里(ゆうみり)さんにインタビューした時、こう切り出されことを覚えています。痛みのこもった言葉でした▼出稼ぎを繰り返した末にホームレスとなった福島県出身の男を主人公に、敗戦から原発事故に至る日本社会のゆがみと差別構造を描き切った渾身の作。19日、アメリカで最も権威のある文学賞の一つ、全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞しました▼柳さんが本紙文化面に連載エッセー「南相馬 柳美里が出会う」を始めたのは、鎌倉から福島県南相馬市に移住した直後の2015年6月でした。喪失の苦しみのただ中でも。為(な)すべきことを為して生きる被災地の人たちの姿を3年間にわたって伝えてくれました▼そんな人たちと共にある暮らしの中で柳さんは「矛盾をはらむ日々を一つ一つの問題に対処しながら、丹念に生きる貴さを学んだ」と語っていました。作家生活30周年の2016年、出版した小説『ねこのおうち』が南相馬の書店でベストセラーになり、立て看板に「南相馬在住作家の最新作」と書かれた時には、その新しい肩書が誇らしい▼そして、この地に人々の交流と創造の場を取り戻すため、本屋と劇場を作りました。確かな居場をを築いた柳さんの希望の物語はここから始まるのでしょう。(2020・11・23) 

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「神よりほかに知る者がない」 『赤旗・潮流』

罪に問われる死の宣告を受けた古代の哲学者は、こう言い残しました。「去るべき時が来た。私は死ぬために、諸君は生きつづけるために。しかし、どちらがよりよき運命に出あうか。それは神よりほかに知る者がない」▼プラトンが配した『ソクラテスの弁明』の最後の一節は「神のみぞ知る・・・」。コロナ対策を担う西村担当相の発言です▼いまの政府の無策ぶりを象徴する無責任さ。第3波が襲い全国で感染がひろがっているのに、呼びかけるのは会食の仕方ばかり。やれマスクをしてだの、静かに食べてだの。そんなことしか発信できないのか▼ようやく「Go To」事業の見直しを言いだしましたが、行楽シーズンの連休で人出は各地に。これまで散々あおっておきながら、はしごを外された不信感が募る人も多い▼ここにきて中高年層への感染が増え、医療現場は緊迫しています。病床や人員、検査体制をどう確保するか。そうした支援に尽力するわけでもなければ、感染を抑え込む戦略もみえない。国民のために何をなすべきか、根本となる考えがないからでしょう▼知らないことを自覚するー。ソクラテスは「無知の知」を己の哲学の出発点としました。それは、ただ生きるのではなく、より良く生きるための指針でもあったといいます。そんな人類の知恵や教訓を説いたところで、恥を知らない政権いは響かないか。(2020・11・22) 【注】ソクラテス

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その頃はもうペーパーレス時代かも

 東京新聞の「発言欄」に「卒様式に『海ゆかば』を歌った」と題して投稿したら掲載され、謝礼として「図書券(1000円)」が送られてきた。よくよく見ると、有効期限は2032年12月31日と書いてある。小生、1932年生まれだから、最終年に本を購入すると100歳になっている。「ウーン」とうなっていたら、横合いから息子が「100までがんばれ、ということだよ! でもそのころはもうペーパーレス時代かもな」と口をはさんで笑った。

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コロナ禍の中で子どもたちは 『赤旗・潮流』

コロナ禍の中で子どもたちはどんな状態に置かれ、どんな支援が求められているのか・・・。埼玉県で生活困窮世帯の子どもへの支援をしている「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の白鳥勲さんが、さいたま教育文化研究所発行の雑誌に経験を書いています▼同ネットワークは県内の貧困世帯の小・中・高校生に対し、無料の学習教室の運営、家庭訪問、食事の提供などで支援をしています。3月からの休校時は学習教室も開けなくなりました。そこで97人の常駐スタッフが手分けをし、支援対象の1500世帯に週1回、電話をしました▼給食がなくなって1日1食しか食べていない。学校から出された課題ができず教えてくれるおとなもいない。昼夜逆転や家庭内暴力、引きこもりも。そんな深刻な実態がわかりました▼スタッフが感染対策をしっかりとって訪問し、弁当を届けたり、一緒に課題をやったりしました。家に閉じこもっていた子どもとは散歩やドッジボールをしました▼保護者や子どもからは大いに喜ばれました。白鳥さんは「明らかになったことはこのような災難があったときに犠牲になるのは社会的弱者だということ」とつづっています▼再開した学校では、遅れた分を取り戻そうと授業がとても早く進み、ついていけない子が多くなっていると白鳥さんはいいます。学習教室に来る子どもたちに丁寧に教えると同時に、「わからないときに聞く力をつけたい」と取り組んでいます。弱者に寄り添った貴重な活動です。(2020・11・20)

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「ノーベル平和賞受賞の誤謬」 『東京新聞・筆洗』

 古代ユダヤの学校では、一年生を「賢者」と読んだそうだ。二年目には「哲学者」、最終学年の三年生で「学生」と呼ばれる▼賢さをたたえられても本当に尊敬されるには、その先が大切で、謙虚に学び続けることを知らなければならない。呼び名にはそんな戒めが込められていたようだ。マービン・トケィヤー著『ユダヤ処世術』にある▼エチオピアのアビー首相は、就任わずか一年あまりで2019年のノーベル平和賞受賞に選ばれた。「新星」「希望」などと呼ばれた人である。どうやら、国際社会から尊敬され続けることには成功していないようだ。受賞から一年のいま、「失望」も聞かれる▼41歳で首相になると、隣国エリトリアとの長かった紛争を集結に導いている。ノーベル平和賞授賞式の誇らしそうな笑顔は印象的だった。だが平和は維持することも難しかった。今度は連邦政府と北部ティグレ州政府の軍事衝突が激化する。双方が避難し合っている。アビー氏は空爆に踏み切った。民間人に犠牲者も出ているようで、先行きが心配である▼アビー氏に対しての苦言に違いない。平和賞を贈ることを決めたノーベル賞委員会が数日前、平和的手段での解決を求める異例の声明を出した▼欧州メディアからは、平和賞は「早すぎた」の声もあがっている。ノーベル賞級の努力が、いま一度求められているだろう。(2020・11・20)

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「福島の今を伝えます」 東京新聞・片山夏子記者

 東京新聞福島特別支局の支局長に、特報部の片山夏子記者=写真=が八月一日付で就任しました。片山新支局長は「事故から十年。福島で生活できることはうれしいです。住んでみないと分からないことがたくさんあると感じています。所信に返って取材したいです」と抱負を語っています。  片山記者は、現場の最前線で収束作業に取り組む原発作業員の取材を続け、2011年八月から124回にわたって「福島作業員日誌」を掲載、直接取材が難しい作業員に粘り強く接触、連載では新型コロナウイルス感染拡大の影響で防護服が不足する現状、最前線で働く現場の過酷さ、離れて暮らす家族への思いなどを赤裸々に伝え、読者の強い支持を得ています。

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少人数学級は長年の悲願 『赤旗・潮流』

決して、ぜいたくを言っているわけじゃない。今まで間違っていたことを、正しくしてほしいだけ・・・▼少人数学級は長年の悲願、切望でした。教職員や保護者が先頭に立ち、毎年たくさんの署名を寄せました。その粘り強いとりくみが世論となって、国に実現を求める意見書を採択する議会が一気に広がっています。政治が、国が大きく動いています▼少人数学級化を求める教育研究者の有志は署名が18万人になったと発表。できたてほやほやのパンフレットを手に「さらに署名を」と呼びかけました。「学力だけじゃない。子どもたちにもっと元気になってもらいたい」「子どもの詰め込みと学習内容の詰め込みをやめよう」と思いを口々に。いま実現しないでどうするのか・・・。気迫の訴えです▼「不退転の決意でのぞむ。勇気をもらっった」。日本共産党の畑野君枝衆院議員にたいし、萩生田光一文科相がこう答えたのは13日のことでした。ちょうど同じ日。「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」が会見。正規教員で少人数学級を実現するための試算を発表しました▼同会事務局長の 山崎洋介さんは言います。「必要最小限の『正人数』学級を保障してほしい、とお願いしているだけ」なのだと。国は長年にわたり、子どもたちが豊かに育つためのお金を出し惜しみしてきました。「教育は自己責任」と思わせてきた。その罪はとても重い▼のびのびと生き、学び合う学校へ。当たり前となる。そんな国を、子どもたちに。(2020・11・19)

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平和とはそうやってつくられる 『東京新聞・筆洗』

 脚本家の向田邦子さんが「父の詫び状」の中で子どものころに食べた「おハつ」を書き出している。ビスケット、動物ビスケット。鈴カステラ。ミルク・キャラメル。グリコ、かつぶし飴、芋せんべい、棒チョコ、板チョコ・・・。計三十四品。そんなに書き連ねることもなかろうにお菓子の思い出が止まらなくなったのだろう▼キャラメルは、「グリコ」派で「おまけ」に心をひかれたそうだが、森永びいきの父親にはしかられた。「飴なら飴、玩具なら玩具を買え。飴も食べたい、玩具もほしいというのはさもし了見だ」▼向田さんでなくとも幼きころに味わったお菓子にまつわる記憶というのはいつまでも消えぬものだろう、味やかおりが思い出を深くさせるのか▼お菓子をめぐる思い出話をアジアの人とも共有できる日が来るのかもしれぬと想像する。日本や中国、韓国、インドネシアなどの十五カ国が協定を結んだRCEP(地域的な包括的経済連携)である。東アジアでの貿易自由化が進む▼日本のチョコレートやお菓子の関税を引き下げられそうだ。アジアでの日本のお菓子の人気は高く、RCEPでますます広まっていくだろう▼言葉や育った環境は違っても、同じお菓子を食べ、笑顔になった思い出を持つ人がいる、そう思えば、お互いの心の距離もぐっと縮まっていくようである。平和とはそうやってつくられる。(2020・11・18)

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「国=政府」ではないのだ 保坂和志

 政権や体制に批判的な文化・芸術・研究に補助金を出す必要はない、という理屈がいつ頃からか当たり前になっている。「国を批判する者に補助金を出す必要はない」というこの理屈は間違いだ。こういうことを言う人たちは、<国=政府>だと思っている。<国>は政府のものでは全然ない。<国>は国民のもので、国民にはいろいろな人がいるものなのだ、みんながみんな、政府のすることを良いと思っているわけがない。これまで国がしてきたこと(つまり歴史)に全面的に賛成の人ばかりでないのは言うまでもない。  国の現状や歴史を批判する人も国民なんだから国から補助金や研究費をもらうことは少しもおかしくない。繰り返すが「国から」というのは「政府から」ではない。政府は国のいくつもある機関の一つでしかない。学問・芸術活動している人はそのお金を政府からもらっているわけではないのだ。その人たちは、国民の自由や幸福のため、この国が間違った方向に進まないためにやっているんだから、国からお金をもらうのは正当な報酬だ。  そもそも批判することのどこがいけないのか。いけなくない。批判と否定は同じではない。最近みんな、批判することと誹謗中傷を混同していないか? 批判は間違いや誤解を指摘して糺(ただ)すことだ。批判を受け止めるプロセスを経て、考え方やシステムは良くなってゆく。批判は例えれば、科学の実験やスポーツのトレーニングのようなものだ。トレーニングなんて失敗の繰り返しだ。トレーニングで失敗するたびに自分が否定されたと思っていたら技術は向上しない。 …

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女性が輝く社会づくりを 『赤旗・潮流』

アメリカ史上初めての女性副大統領となるカマラ・ハリスさん。外電は「世界で最も高いガラスの天井の一つを破った」と伝えました▼最近米国で もう一つ天井が破られました。長い歴史をもつプロ野球大リーグで女性のゼネラルマネージャー(GM)が誕生。マイアミ・マーリンズのキム・アングさんです。北米の四大プロスポーツをみても球団運営のトップであるGMの職に女性が就くのは初めてだといいます▼30年前から球界にかかわってきた彼女は、複数の球団でトレードや契約交渉の担当などを歴任。豊富な経験実績から、いつGMになってもおかしくないと評されていました ▼「私がこの世界に入ったとき、女性が大リーグの球団を率いるなど。ありえないと思われていた」と語るアングさん。大リーグの最高責任者は「すべてのプロスポーツ界で新たな歴史をつくり、野球やソフトボールを愛する多くの女性や少女にとても重要な例になる」▼さまざまな分野で女性の登用が進むことへの期待が高まる米国。一方、日本はどうか。例えば今秋の叙勲。制度自体に問題はあるものの女性が過去最高の割合に。ところが。わずか1割です▼女性が輝く社会づくりを掲げながらおとしめる政権党をはじめ、いまだ進出を阻む壁は厚い。「私は自分の目標のために根気強くがんばってきた」とアングさん。「私が最後ではない」と呼びかけるハリスさん。一つ一つ、偏見や差別の天井を打ち破る。それは、次の世代の夢や希望につながります。(2020・11・17)

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