見送る女子学生を雨がぬらした

東京新聞に「あけくれ」という投稿コラムがある。文字通り日常の暮らしのなかでのホッとするようなエピソードがつづられ読み手の心を和ませてくれる。昨年の今頃だったか「姉の“老春”」という一文が載せられ、ほのぼのとした気持ちにさせられた。80代半ばの姉のトキメキと「学徒出陣」が重ねられていて同世代の思いに迫ってくる。
◆東京新聞「あけくれ」⇒
【追記】ペンを銃に持ち替えて
十月になると思いだします。「征(ゆ)け学徒、勝利は兄弟の鉄腕に」「もとより、生還を期せず」「我等の屍(しかばね)を乗り越えて諸君も続け」。昭和18年10月21日、そぼふる雨の明治神宮外苑競技場。この日の東京夕刊各紙は、一斉に書き立てました。

昭和16年12月の開戦以来2年。18年になると太平洋の各地で敗色濃厚の軍部は即戦力としての学徒の徴兵に踏み切りました。この日は東京のみならず全国各地で、更に植民地だった満州(ハルビン)、台湾(台北)で、、そして中国(上海)で「学徒出陣壮行会」が一斉に行われました。これを機にして出陣学徒の総数は推定10万人といわれています。
兵力を補うため、あるいは、幹部士官の不足のために学舎(まなびや)を去りペン、を銃に持ち替えることを余儀なくされた学徒たち。一人ひとりは、どのような想いで戦場へ赴いたのでしょうか。そして、それが不帰の旅となった若者たちの数は何人だったのでしょう。
私の兄もその中の一人だった。10月21日という日は、決して忘れられない。あれから来年は70年。(永井至正)
【リンク】惜別の唄 http://www.utagoekissa.com/sekibetsu.html
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