戦後70年 「平和の俳句」 東京新聞 -21-

東京新聞の「平和の俳句」も今月で21週目に入る、今回は5・17~23日の7句。多数の投稿の中から選ばれただけに「ハッ」とさせられるものばかり、ご覧ありたい。なお、来月分搭載の選考会が行われ、その模様が20日付の紙面で報じられている。先ずはご紹介しよう。

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   若い世代 もっと寄せて <いとうさん>
   戦争体験の視点で選ぶ  <金子さん>

 
 「平和の俳句」選考会が19日開かれた。金子さん、いとうさんが3816通の応募作品から掲載分を選んだ。選考後、いとうさんは「回を重ね、ぐんと厚みのある句がでてきた。今後は、大学生など若い世代の句が多くなるといいと思う」と評価した。月に一度は福島に赴くといういとうさんは「福島の原発事故や沖縄の基地問題も平和の俳句のだいざいになる」とか語った。
 戦争体験がある金子さんは「たとえば世間に忘却されてれきしに埋もれかけているシベリア抑留の句を選ぶなど、自分だからこそ注目する句を意識している」と説明。いとうさんが戦後世代であることに触れ、「役割分担して、うまいバランスで選べていると思う」と話した。
 句の余白にびっしりと体験談や思いが書かれているはがきも少なくない。2人は「ひしひしと思いが伝わってくる文章は、貴重な第一級の歴史資料。大事にしたい」と口をそろえた。


文旦の中裂くやうな九条論 伊藤 斉(74) 浜松市中区 2015・5・17

】<金子兜太。現政府の九条の扱いは乱暴極まりない、と憤る作者。同感。 <いとうせいこう>中身を変え、無意味化することを稀有な比喩であらわした。俳句の力。

へいわとはちきゆうもひともしなぬこと 萩原 拓実(6) 愛知県小牧市 2015・5・18

】<金子兜太>拓実君は小額1年生、六歳。平和は地球も人も死なないことなんだ、と言い切り、しかも地球と人を同時に言うところが鋭い。

同性の恋と平和を祈る春 北谷 雅春(51) 岐阜市 2015・5・19

】<いとうせいこう>渋谷区の条例に呼応して一句が来た。その早さをたたえて選ばせていただきました。異なる感覚を排除しないのは人間の知恵です。祝。

日溜りに猫と私と白い雲 平野 信子(77) 石川県内灘市 2015・5・20

】<金子兜太>日向ぼっこ。空に白い雲と御天道様、私の膝に猫。この猫、白猫です。ささやかな安らぎの時間をいたわる人に平和を。

三猿の呪縛の解けて七十年 片桐伝一郎(76) 滋賀県長浜市 2015・5・21

】<いとうせいこう>表現のすべて、感覚のすべてを押さえ込まれていた時代を反復すまじ。<金子兜太>「見ざる聞かざる・言わざる」から解放されて70年。しかし。

ふざけるなオレはおまえの銃じゃなぇ 石川 芳子(61) 愛知県みよし市 2015・5・22

】<いとうせいこう>このフレーズ、胸がすく。個人同士でも社会に対しても、パシッと響く17文字。無季だが、女性が詠むことで虚構の普遍性が出た。

武器はイヤ」母は雛から刀狩り 吉永 愛子859) 東京都江戸川区 2015・5・23

】<金子兜太>着想がおもしろい。男雛から刀や弓や<戦う構えのもの>はどしどし取り上げている母の率直潔癖な姿が、まことに微笑ましい。

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