戦後70年 「平和の俳句」 東京新聞 -33-

東京新聞掲載の「平和の俳句」が今回で33週目に入った。昨日は「終戦記念日」。紙面は「平和の俳句」を軸に、多彩な企画、句の英訳あり、瀬戸内寂聴さんへのインタビューありで、読み応え充分の編集だった。ここでは11日に行われた9月掲載分についての選者の感想を冒頭に紹介しよう。
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       中高生ならではの句  金子さん
       深く考えた作品多い   いとうさん

 
 東京新聞一面通年企画でで毎日掲載されている「平和の俳句」ほ9月掲載分の選考会が8月11日、開かれた。俳壇の長老金子兜田さん8959と作家のいとうせいこうさん(549が、4721通の応募作品から掲載句を選んだ。
 今回は夏休み中の中高生の俳句が多く寄せられた。平和学習の一環で俳句をつくった生徒たちや、部活単位での応募もあった。
 いとうさんは「ただ五七五をつくるというのではなく、平和とは何か、真剣に深く考えて詠んだ句が多かった。上っ面ではない内容で、読みでがあった」とたたえた。金子さんは「この年代ならでっはの句が面白い」と話しながら選句し、「子どもや若者にこそ、平和の俳句をぜひつくってほしい」と話した。
 選考委員二人は、何度でも選ばれるような”平和の俳人”の出現に期待を込めている。一方で、いとうさんは「初めて俳句に挑戦したのだろうなと感じる作品もたくさんあった。年内にあt3回の選考会がある。新しい人にどんどん参加してほしい」と語った。


郭公が啼く原爆などいらない 小川 千里(65) 東京都小平市 2015・8・9

】<いとうせいこう>「北杜夫さんと同じ精神の病と付き合ってくらしています」というご夫婦より。郭公の声は倫理の呼び声かもしれぬ。そのひと声。

過去に目を閉ざすものらの還る夏 上谷 純代(54) 名古屋市東区 2015・8・10

】<いとうせいこう>過去に目を閉ざせば未来が見えなくなる。だから余計に過去へと向かう。 <金子兜太>戦争をやりたい奴(やつ)らが戻りつつある。70年前の大敗北を無視して。

米兵の遺族も悲し終戦日 宮司 孝男(64) 静岡県湖西市 2015・8・11

】<金子兜太>昔から言われてきた「汝の敵を愛せよ」には、戦争肯定の裏打ちが潜むが、この句の根は戦争反対。憎むべき戦争の犠牲ゆえに。

レクィエムとして吹く軍歌終戦日 福沢 一敏(87) 浜松市中区 2015・8・12

】<金子兜太>鎮魂曲として吹奏するミサ曲。終戦否敗戦の日の軍歌の悲しさよ。 <いとうせいこう> 生者の高揚でなく死者への葬送として作者の耳は聞く。抵抗の聴覚。

毛髪と爪が父なり終戦日 原だ 尚子(72) 岐阜県高山市 2015・8・13

評】<いとうせいこう>この事実は何度でも言われていい。出生前に残せたのは毛髪と爪。 <金子兜太>戦争が終わり、戦士の父の毛髪と爪だけが残った。この無念を知れ。平和を。

戦争の命日八月十五日 岩谷 隆司(73) 三重県亀山市 2015・8・14

】<金子兜太。今次大戦に大敗北した日が戦争が死んだ日と思え。平和の曙光を浴びた日なのだ。 <いとうせいこう>敗戦とともに戦争を終わらせることでしか、我々の勝利はないのだから。

千枚の青田に千の平和あり 浅田 正文(74) 金沢市 2015・8・15

】<いとうせいこう>作者は福島県の旧緊急時避難準備区域から金沢に仮住まいする。 <金子兜太>棚田が連なる能登の千枚田。作者はそこに平和を感じている。


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