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zoom RSS 公主嶺小同窓会誌 第6章 エピソード −8−

<<   作成日時 : 2016/11/29 06:34   >>

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 夏休みを利用して虚弱児のために熊岳城温泉で合宿が行われていた。4、5校共同の温泉聚樂は、町はずれの林の中にあった。赤い立葵の花、ガマの穂のゆれる小川の岸、暖かな温泉の湧く砂地、バラックの合宿所、おぼろに見えてくる遠き思い出、それはすべて幼き日の美しいメルヘンである。(記念誌211頁)

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    メルヘンの地熊岳城
        野坂和子(24回生)

 
 砂湯の中に埋めこまれた私たちは首だけ出して、砂をかける先生のスコップを眺めていた。「いい気持ちだろう」松原先生の黒い髭が笑った。
 花火やお話や楽しい一日が終わって大きい蚊帳の中に子供達の夢路が訪れる。朝の目覚めは味噌汁の匂いと小鳥の声。「また葱!」「Aちゃんコンビーフ開けてる。先生に云ってやるぞ」喧噪(けんそう)と歓声の中に一日が始まる。
 望小山の遠足も楽しかった。岩襞(ひだ)に見つけた貝の化石は今も残っているだろうか。母と子の愛の伝説は今も彼の地に語りつがれているだろうか。
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 はるかに思える時の流れも、瞼に浮ぶ森羅万象、悠久の自然の中にすべてはうたかた、けれども私は幼き日の己の残像に今、中国の子供達の姿を重ね合わせてほほえむ。なつかしい熊岳城の永久の平和を祈りつゝ。

【注】熊岳城(ゆうがくじょう)=中国東北部の南地にある温泉地。公主嶺農事試験場の分場があった。

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