詩集 ロ号33番 永井和子 -21-

 詩人永井和子(1934~2015)年、彼女の処女詩集。身辺に起きた細々とした出来事を詩に刻んだ。全55編からなる長編だが順次お手元に届けたい。
画像
  椿

 植木鉢の小さな椿が
 今年も少し背のびをした
 せいいっぱい両手をひろげた
 萌えでた新芽は
 五月の光のような碧いろ
 風が笑っていた
           64・5・9

    
      たそがれの空に 
 
 あおむいて見あげたあたりから
 地平線へむかって
 少しずつ・・・・・・目立たないぐらい少しずつ
 色を変えていく空がある
 そして地平線は光のまじった灰色
 そこにはもう梅雨がきている
 風は
 萌えひろがった若葉の匂いでいっぱいなのに

 昔 書いたお伽話
  梅雨晴れの
  空の青さにこがれた娘が
  ある日
  空の青みに身を投げた・・・・・・
 その梅雨晴れの美しい季節が
 またかえってくる
 娘はもういないのに・・・・・・
            64・5・9>

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