詩集 「ロ号33番」 永井和子 -28-

 詩人 永井和子(1934~2015年)の処女詩集。かつて私と暮らしをともにしたなかで、身辺に起きた様々な出来事を詩に刻んだ。全55篇からなる詩集だが日を追ってお手元に届けたい。
画像
       誕 生 日 
 
 誰もいってくれないから
 そっと自分でいってみる
 「今日はママの誕生日」

 だけど花はかざらなかった
 だけどケーキは作らなかった

 熱を出して寝ている息子
 遊べないお兄ちゃんに焦(じ)れている娘
 顔を曇らせている夫

 みんな花を忘れていた
 みんなケーキを忘れていた
 三十回目の誕生日

 なにか気が咎めるようで
 そっと一人でいってみる
 「消えてしまった誕生日」
           64・6・21

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