「戦場体験者ー沈黙の記録」 保坂正康

 戦後70年の2015年に単行本として出された本書が、手軽に手に取れる文庫本として発効された。40年以上にわたって戦争体験者から話を聞いてきた著者が、兵士の戦場体験と自らの戦争に対する考えをつづっている。戦争体験の中で最も重要なのは戦場体験であるが、これまで詳細に語られることはなかったという。(日中友好新聞・2018・10・25日付)
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 憲法改定や国防軍創設を声高に主張する勢力が台頭しており、戦場体験者の記録をもう一度初期の段階から進めなければ、日本は軍事主導の非歴史的観念に振り回され、進むべき道を間違える事態になりかねない、と警鐘を鳴らす。
 そうした視点で、日中戦争での平頂山事件や強制連行、「満州国」などでの加害行為、学徒兵や軍医、衛生兵、さらにはインドネシアでの島民虐殺事件などを紹介。
 戦場体験を見つめることは「記憶を父とし、記録を母として、教訓(あるいは知恵)という子を生み、そして、育てて次代に託していく」ことだという信念にたどり着いたと説き、説得力がある。
 日中友好協会は1990年代、中国帰還者連絡会の元兵士から、中国での加害体験を聞きDVDとして記録に残した。当時でさえ、元兵士は70代から80代で、今ではほとんどの方が鬼籍に入っている。戦場の直接体験者から直接聞くことができなくなった現在、記録、映像を伝えていくことの大事さを改めて思った。 ちくま文庫・800円・税別(高杉貞明)

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