別の時代に憧れたらしい 『東京新聞・筆洗』

自分が現在と別の時代に生まれたとしたら、ウディ・アレン監督の映画「ミッドナイト・イン・パリ」では作家志望の男が1920年代のパリに迷い込む▼そこで出会ったのは当時パリにいたヘミングウェー。フイッツジェラルド、フォークナー。男にとって、憧れの作家たちである。彼らと語り酒を酌み交わす時間。画家のピカソもいる。コール・ポーターが歌っている▼人が過去に憧れるのは現在への不満のせいだと悟った男は現在に生きることを選ぶのだが、パリ解放後の40年代から50年代のこの町なら、やはり迷い込んでみたいという人もいるか▼哲学者のサルトルとボーボワールが食事をしている。作家のカミュが誰かと議論している。コクトーがいて、マイルス・デイビスも米国からやって来た。その真ん中にいた女神が亡くなった。「日曜日はきらいよ」などの歌手ジュリエット・グレコさん。93歳▼デビューはサルトル作詞の「ブラン・マントー通り」。味のある声と少々投げやりな歌い方。「母親に愛されたことがない」という不幸な生い立ちや戦争中、ドイツ軍に拘束された過酷な体験。数々の恋愛体験が歌に深みを与えたか。二十世紀の歌声が遠ざかる▼ビートルズの名曲「ミッシェル」はグレコをイメージして書いたと、ポール・マッカートニーが語っていた。この人も別の時代に憧れたらしい。(2020・9・27)
追記】カタカナの名前がいっぱい。懐かしい。だから今日は「潮流」でなくて「筆洗」を選んだ。

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