一刻も早く土俵を降りるべき 『赤旗・潮流』

相撲用語のひとつに「痛み分け」があります。取り組み中に力士が負傷し、続けられないと判断された場合に宣告されます。行司が「かたやに痛み、引き分け預かりおきます」と口上をのべ、「痛分」の幕が上がります▼審判と行司の協議で決めますが、このとき相手力士にうけいれるか伺いをを立てるそうです。競技性が増した戦後はほとんど出ていませんが、本来は引き分けにして痛みを分かち合うという意味が込められていたのでしょう▼コロナ禍のいま、痛みを共有することが大切といわれます。自分のことだけを考えずに、ひとの痛みや苦しみに寄り添って行動する。それが危機をのりこえる何よりの力になると。ところが、国の施設はどうか▼菅政権の遅きに失した「Go To トラベル」の停止。年末年始の利用者は大混乱、書き入れ時の予約が次々に消えていく旅行業や観光業は悲鳴を挙げています。その対応もドタバタなときに首相は高級ステーキ店で開食していました。しかも5人以上、恒例の人たちと集まって▼止まらない感染拡大で医療の崩壊が差し迫り、なりわいが立ちゆかない人びとは途方に暮れたままです。そもそも大勢が旅行の余裕も機会もないなか、こうした公費の使い方は不公平との声もでています▼だいたい、あの「勝負の3週間」とは何だったのか。一方で旅行や会食を奨励しながら危機感を訴えても国民に響くはずがありません。こちらは痛み分けとならず、勝敗がはっきり。一刻も早く土俵を降りるべきです。(2020・12・17)

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