詩集 「ロ号33番」 永井和子 ー35-
詩人 永井和子(1934~2015)年の処女詩集。かつて暮らしをともにしたなかで、身辺に起きた細々とした出来事を詩に火山だ。全55篇からなる詩集だが、日々を追って、お手元に届けたい。
あ る 日
ごはんにまじった砂粒を
がじっと噛んだ朝のように
あなたの言葉が奥歯に
がじがじなる日がある。
砂嵐の吹く砂漠に
一人おかれた旅人のように
あなたのそぶりが心に
荒く吹きあたる日がある
64・9・15